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明後日HR(ホームルーム)#2『じりりた』~おじさんとたまごの諸事情~ 間もなく開幕! 渡辺哲・酒井敏也 インタビュー

明後日HR#2『じりりた』~おじさんとたまごの諸事情~が、2023年2月22日~3月1日に新宿シアタートップスにて上演される。

明後日HR(ホームルーム)は、様々なジャンルでこれからの新しい才能と共に実験的な試みが出来る場所として、株式会社明後日が立ち上げた企画だ。

第2弾となる今回は、作・演出に自身のユニット「カミナリフラッシュバックス」で全作品の脚本・演出を担当し、最近ではドラマや映画などの脚本も多数手がけるニシオカ・ト・ニールを迎えた。

とある施設を舞台に、プライドの高い元大学教授の男と、若い頃から職を転々としてきた自由人な男の出会いから始まる「おじさん」たちの優しい物語で、元大学教授の男を渡辺哲、自由人な男を酒井敏也が演じる。

出演した作品は数知れずのベテラン俳優、渡辺哲と酒井敏也に今作に挑む思いを聞いた。

酒井敏也 渡辺哲

二人は陶芸デートをする仲

──これまで舞台も映像作品も数えきれないほど多くの作品にご出演されてきたお二人ですが、共演経験はあるのでしょうか。

渡辺 一回あります。2002年に水谷龍二さんの作・演出で『麗しき三兄妹』という一人芝居三本立て興業がありまして、僕と酒井ちゃんと麻乃佳世さんがそれぞれに一人芝居をやったんですが、三人の間に関係性があるというものだったんです。

酒井 もう20年以上前ですね。

──お互いの印象をお聞かせいただけますか。

渡辺 酒井ちゃんは、すごくかわいい人ですね。

酒井 哲さんはパワフルな人だな、って思います。

渡辺 ハハハ! だからね、酒井ちゃんのことは好きです。

酒井 僕もです。一緒に陶芸教室に行ったことありますよね。

渡辺 プライベートで二人で行ったね。酒井ちゃんは陶芸がうまいんですよ。僕はやきものの盛んな常滑の出身だけど、なかなかうまくいかなくてダメでしたね。一応、とこなめ観光親善大使なんだけどな(笑)。

酒井 僕は岐阜県土岐市の出身なんですけど、美濃焼で有名なやきものの町なんですよ。

──ご出身がお二人ともやきものの町という共通点があるのは面白いですね。

酒井 お互いそういう町で育ったんですよね。

渡辺 それで酒井ちゃんに陶芸教室に連れて行ってもらってね。デートですよ(笑)。

酒井 二人っきりでドライブしてね(笑)。

──そんな仲良しのお二人ですが、共演は本当に久しぶりということになります。

酒井 先ほど話に出た21年前の舞台で一回ご一緒しただけで、映像でも共演はありませんでしたね。僕は哲さんが出演している星屑の会が好きでよく観に行ってましたけど。

渡辺 星屑の会は水谷龍二さんが中心となっている演劇ユニットです。代表作の『星屑の町』シリーズは映画にもなったので、ご存じの方も多いかな。

ニシオカさんは発想が面白い

──今作の台本を読んだときの感想をお聞かせください。

渡辺 最初に読んだときは、僕はあまり読解力がなくて(笑)、理解ができなかったのですが、何度も読んでいくうちにだんだんわかってきて、今はとても面白い本だなと思います。僕は元々理数系の人間だからあまり想像力がなくて、実際に立ってやってみないとわからないところがある。稽古をしていくうちに読み解けるようになってきて、ものすごく楽しくなってきました。

酒井 とにかく発想が面白い作品だなと思いました。おじさんがたまごを温める、なんてなかなか思いつかないですよね。

──作・演出のニシオカさんと舞台のお仕事をされるのは、お二人とも初めてだとうかがいました。

渡辺 僕はニシオカさんが書いたテレビドラマに出演したことが一回あります。『エ・キ・ス・ト・ラ!!!』という作品で、あれも面白い作品でした。そのときはニシオカさんが舞台をやっている人だと知らなかったんですよ。ドラマに出演した後からニシオカさんの舞台を観るようになりましたが、発想が面白いから「この人は何を考えているんだろう」って毎回気になります(笑)。

──演出家としてのニシオカさんはいかがでしょうか。

渡辺 優しいです。その分僕は、いろいろ考えながらやっていますね。優しい分、自分が頑張らなきゃいけないな、という気持ちになる。それはプレッシャーではなくて、その優しさに応えたい、という感じかな。演出家のおかげで稽古場の空気がすごく良くて、助けられています。

酒井 今は自由にさせてもらっていますね。僕はあまり考えられないというか、感じたままにやるタイプなので、これでいいのかな、と思うときもありますが、でも演出家がそれを受け入れてくれているから、きっとこれでいいんでしょうね。

渡辺 そういえば今回、出演者は男性のみですが、スタッフは女性のほうが多い。僕は女性の演出家と一緒にやるのは今回が初めてです。演劇業界全体見ても、演出家も含めてスタッフも女性が増えてきたなという感じがありますね。

酒井 僕も女性の演出家はこれまで一回しか仕事したことないな。

渡辺 でも「ニシオカ・ト・ニール」って名前だけ見たら、男性だと思う人もいるかもしれないですね。

酒井 僕は最初「ニシオカ」と「ニール」の二人なのかと思ってました(笑)。

渡辺 なるほどね! 僕は、どこか外国の血筋が入っている人なのかな、と思いました。

──キャストが20代から70代まで幅広い年代の方が集まっていますが、稽古場の雰囲気はいかがですか。

渡辺 皆さん達者だから、本当に助けられています。セリフもちゃんと入っているし、そういう点では僕はちょっと皆さんに甘えています(笑)。

酒井 僕もめっちゃ甘えてますね。

渡辺 皆さん優秀で、いい稽古場ですよ。

酒井 今回の出演者の中で一番若い、20代の星野勇太くんがとある提案をしたときに、それをニシオカさんが「天才少年あらわる! それにしよう!」って嬉しそうに採用していたのがとても印象的でした。

渡辺 ニシオカさんは許容量が広いから、いいですよね。

酒井 他の現場だったらヒヤヒヤしちゃう場合もありますもんね。「若造が言うなよ」と思う人も中にはいるから。

渡辺 そういう現場もあると思います。でもニシオカさんはもちろん、僕も酒井ちゃんもそういう風には思わないから、この現場は大丈夫だね。

優しい人は絶滅した?

──今作は「優しさって何だろう」ということを考えさせられる内容です。

渡辺 すべて優しければいいわけじゃない、優しくても駄目だ、という結果論があるから難しいですよね。優しさを持ってやったことなのに、相手の受け取り方によって結果論として優しくなかった、ということもあるわけだから。やっぱり、今作のセリフに出て来る通り「優しい人は絶滅した」んですよ(笑)。これはすごいセリフだなと思います。優しさって難しいけど、この作品を観て「優しくある」ということについて、お客さんが何か感じてくれたらいいですよね。あと、自分もたまごを育ててみようと思ってくれる人がいたらいいな(笑)。

酒井 僕は最近優しいですよ。2年前からワンちゃんと一緒に暮らしていて、「パンダ」と「希林」という名前でどちらもシーズーなんですが、希林は保護犬なので、最初は人間に対して警戒心が強くて、玄関でしか寝てくれなかったんです。でも日が経つにつれて足元で寝てくれるようになって、遊んでくれるようになって、と距離がだんだん縮まっていったんです。それが嬉しくて優しくしちゃいますね。

──酒井さんが愛情を注いだ分、ワンちゃんもそれに応えてくれたんですね。

酒井 愛情を注げば注ぐほど返って来ますね。初めてしっぽを振ってくれたときも嬉しかったな。家に帰ると「おかえり!」って感じで寄って来てくれるし、触ってあげると嬉しそうにしているし。

渡辺 そういうの、いいよね。人間とは違うよなぁ。

──人間同士だとなかなかワンちゃんのような純粋な優しさというのは難しいですよね。

渡辺 人間はどんどん背中かがめて、スマホとかばっかり見る世の中になってきちゃいましたからね。どんどん周囲のことがわからなくなってきていて、難しいかもしれませんね。下ばかり見ているのはあまりよくないとも思いますけど。

──舞台を観ている時間は、目線を上げて、日常を忘れてもらいたいですね

酒井 (大きくうなずきながら)本当にそう思います。

渡辺 今の話を聞いていると、日常的に優しさに触れられる酒井ちゃんが羨ましいですね。そんなふうに優しさを実感できることってあまりないなぁ、と思ってしまいます。でも、今作に臨んでいるおかげで、本当の優しさって何だろう、ということを日常的に感じるようになれたことは、本当に嬉しいと思っています。かといって僕自身、そんな簡単に変われるものじゃないですけどね。聖人君子ではないわけだから(笑)。

──確かに年齢を重ねてくると、なかなか人間変われないな、ということは実感してしまいますね

渡辺 はい、変われません(笑)。またこのタイトルがいいですよね。最初に見たときは意味が分からなかったけど、調べたら「自利利他」って仏教用語でしょう。でもひらがなにすることで、すごくキャッチー。タイトル通り、自分の幸せと他人の幸せについて考えられる作品になっていると思いますよ。

──最後にお客様へのメッセージをお願いします。

渡辺 とにかく楽しい作品なので、まずは観てもらいたいです。そして、ニシオカさんが考えている優しさとか愛とかいろいろあります。それをどこかで感じてほしいです。考えるというより感じられることが面白いと思うので、人それぞれいろいろあるでしょうが、感じるためにぜひ観に来てください。

酒井 本当に哲さんがおっしゃったとおり、劇場でお待ちしております。僕の役は、哲さんに対する愛情があふれているので、そこもぜひ見てもらいたいです(笑)。愛と優しさがいっぱいの作品ですから。

酒井敏也 渡辺哲

■PROFILE
わたなべてつ○愛知県出身。1975年、劇団シェイクスピアシアターの設立に参加。85年、『乱』で映画デビュー。以降、映画、ドラマ、舞台、声優など幅広く活動中。現在、映画「茶飲友達」が公開中。2023年公開待機作に映画「ベイビーわるきゅーれ2ベイビー」「そして、優子II」「喜劇釜石ラーメン物語」オムニバス映画~THEATERS~「colerful」などがある。

さかいとしや○岐阜県出身。つかこうへい事務所のオーディションに合格、テレビドラマ『弟よ!』でデビュー。近藤芳正が主宰する劇団ダンダンブエノにも参加。映像や舞台、バラエティ番組でも活躍。近年の出演舞台は『サザエさん』(19年)『ぼくらの七日間戦争』(20年)『錦田警部はどろぼうがお好き』(21年) 舞台『ROOKIES』(21年)舞台版『ちびまる子ちゃん』(22年)『新選組始末記』(22年)舞台『ぴーすおぶけーき』(23年)など。

【公演情報】
明後日HR#2『じりりた』~おじさんとたまごの諸事情~
作・演出:ニシオカ・ト・ニール
音楽:あがた森魚
出演:渡辺 哲 酒井敏也/町田水城(はえぎわ) 森崎健康(KAKUTA) 星野勇太
●2/22~3/1◎新宿シアタートップス
〈料金〉一般5,800円  U-22:2,000円 HRチケット:500円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
※U-22チケット(当日指定引換券/枚数限定/要証明書提示/税込)
※HR チケット(10 代以下対象/当日指定引換券/枚数限定/要証明書提示/税込)
〈チケット問い合わせ〉 Mitt:03-6265-3201(平日 12:00~17:00)
〈公演問い合わせ〉株式会社明後日:03-6412-7205(平日 11:00~18:00)
〈公式サイト〉https://asatte.tokyo/home_room-02/

 

【取材・文/久田絢子 撮影/中田智章】

 

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