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『A列車に乗っていこう』間もなく開幕! 石田ひかり・日澤雄介 インタビュー

北村想の最新作を劇団チョコレートケーキの日澤雄介が演出するという刺激的な舞台が、7月20日~28日、東京芸術劇場 シアターウエスト上演される。(そののち全国公演あり)

作品は『A列車に乗っていこう』。登場人物は二人きりで、難病を患っていた少女そら、そして少女の看護師でもあり個人教師でもある時枝。二人は列車に乗って行くあてのない旅に出る。その旅はひどく破天荒であり、幻想的であり、可笑しく、切なく、明るいものであり暗闇と光りの射す方を行き来する旅路であった。
そして、二人は一体どこにむかうのかーーー。

北村想ならではの詩的で哲学的な台詞が散りばめられたこの作品について、演出の日澤雄介と出演者の石田ひかりに語り合ってもらった「えんぶ8月号」のインタビューを別バージョンの写真とともにご紹介する。

石田ひかり・日澤雄介

日常の話から哲学的でアカデミックな話題まで

──台本を読んだ時の印象から聞かせてください。

石田 最初の印象は不思議な世界だなと。そして北村想さんらしい奥深くて素敵な言葉がいっぱいで、役者として挑戦しがいのある作品だと思いました。

日澤 石田さんもおっしゃるように、一読しただけでは摑みきれない世界だと思いました。女性二人の間で交わされる会話なのですが、出てくる話題が現代の日常の話から哲学的でアカデミックな話にまで広がって行く。その言葉が知的で洗練されていて、すごく面白いなと。

──二人の関係は、難病患者らしい10代の女の子と、その看護と教育を担当する年上の女性という設定ですね。

石田 この女の子、そらさんは具体的な病名などは出て来ませんが、おそらく長い闘病生活のせいで、本を読んでいる時間がすごく多くて、だから知識も表現する言葉もとても豊かなんです。でも、それにちゃんとつきあえる看護師の時枝さんもすごい人だなと。「理屈っぽいことでも話しましょうか」という台詞があるのですが、あえて理屈っぽさを楽しんだりするんですよね。

日澤 そらには、この年齢特有の生意気さみたいなものと、ずっと入院していたことで、情報でしか知らない世間というものへの違和感と戸惑いを持っているような部分があります。そして時枝は、外の世界で生きてきた皮膚感覚を持っている大人の女性で、そらという小生意気というか頭でっかちになっている中途半端な存在を、どう導くのか、それとも教えるのかわからないですけど、どういう眼差しでみているのか、そこがとても重要になってくると思います。

二人は何処にいて、何処にいこうとしているだろう?

──石田さんは映像の印象が強いのですが、舞台についてはどんなふうに捉えていますか?

石田 子どもが大きくなるまでは、お稽古の1ヵ月というスケジュールが取りにくかったので、ちょっと遠ざかっていたのですが、子ども達ももう手がかからなくなってきたので、興味を惹かれる作品にできるだけ参加したいなと。私にとって舞台は一番難しいし、一番試されます。そして一番鍛えられるのが板の上だと思っています。

──日澤さんが石田さんに抱いていた印象は?

日澤 僕はドラマでいつも拝見してた世代ですので、まさかあの石田ひかりさんとこうしてご一緒できるとは(笑)。いつまでも透明感があって新鮮さもある方で、今回この作品の演出をと言われた時に、正直、これキャスティングが大変だぞと思ったんです。でも石田さんが受けてくれたと聞いて、「よし絶対面白くなるぞ!」と。そら役の松風理咲さんが確か18歳で、あまり舞台経験がないのですが、だからこその初々しさもふくめて、このお二人だからこその関係性が作れるのではないかと期待しています。

──では改めて最後に、この作品のアピールをぜひ。

石田 少人数の芝居というのはとってもやってみたかったので、稽古が楽しみで、いつも台本を持ち歩いて読んでいます。皆さんと色々合宿のように稽古をつみ、今はまだはっきりとは見えてはきませんが、お客さまに観て良かったなと思っていただける舞台になるように頑張ります。

日澤 石田さんと松風さんに出逢えたのは、僕にとって奇跡的なことだと思うんです。この奇跡をちゃんと形にして北村想さんの世界観を大いに楽しみたいです。二人だけの舞台ですが、その会話の世界を楽しんでいただくと同時に、この二人は何故こんなに喋っているだろう? そして何処にいて、何処にいこうとしているだろうと。そこを考えていただければいいなと思っています。

石田ひかり 日澤雄介

いしだひかり〇東京都出身。1986年、女優デビュー。映画『ふたり』や、NHK連続テレビ小説『ひらり』、フジテレビ系ドラマ『あすなろ白書』などで主演。舞台は1994年『飛龍伝94 ~いつの日か白き翼に乗って~』が初舞台、最近の出演作は劇団た組。『壁蝨』(2017)など。2016年より『にっぽんの芸能』(NHK Eテレ)でMCをつとめている。

ひさわゆうすけ〇東京都出身。劇団チョコレートケーキ主宰。2000年、駒澤大学OBを中心に劇団チョコレートケーキを結成。以降、俳優として、劇団本公演の他、多数の作品に出演。10年、『サウイフモノニ…』より演出を担当。その後、演出家として劇団内外の様々な作品を手がける。2013年、若手演出家コンクール2012最優秀賞を受賞。2014年、『起て、飢えたる者よ』『治天ノ君』で第21回読売演劇大賞優秀演出家賞を受賞。10月東京芸術劇場にて『治天ノ君』再々演予定。

【公演情報】
トム・プロジェクト プロデュース
『A列車に乗っていこう』
作◇北村想
演出◇日澤雄介
出演◇石田ひかり 松風理咲
●7/20~28◎東京芸術劇場シアターウエスト
〈料金〉一般前売¥4,500 当日¥5,000 U-25(25歳以下)¥2,500 シニア(60歳以上)¥4,000(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
※U-25・シニア券はトム・プロジェクトのみで販売。要身分証明書。前売当日とも同料金
〈お問い合わせ〉トム・プロジェクト 03-5371-1153(平日10:00~18:00)
https://www.tomproject.com/peformance/a.html

【全国公演】
※地方公演は各地域の主催事業となります。お問合せは各問合せ先へお願いします。※公演時間等、決まり次第更新いたします。
●7月31日(水)19:00
岐阜県高山市 こくふ交流センター さくらホール (TEL:0577-34-6550)
●8月3日(土)13:30
山形県大石田町 大石田町町民交流センター
●8月10日(土)14:00
石川県七尾市 能登演劇堂 (TEL:0767-66-2323)
●8月11日(日)14:00
石川県七尾市 能登演劇堂 (TEL:0767-66-2323)
●8月17日(土)15:00
兵庫県西宮市 兵庫県立芸術文化センター (TEL:0798-68-0255)
●8月19日(月)18:30
長崎県南島原市 南島原市ありえコレジヨホール
●8月21日(水)19:00
岡山県岡山市 岡山県天神山文化プラザ (TEL:086-226-5005)
●8月23日(金)19:00
福井県坂井市 みくに未来ホール (TEL:0776-82-7200)
●8月25日(日)14:00
兵庫県小野市 小野市うるおい交流館 エクラ (TEL:0794-62-5080)
●8月26日(月)19:00
島根県雲南市 チェリヴァホール (TEL:0854-42-1155)
●8月28日(水)18:30
群馬県前橋市 昌賢学園まえばしホール 小ホール (TEL:027-221-4321)
●8月31日(土)13:30
愛知県小牧市 小牧市市民会館 (TEL:0568-71-9700)
●9月1日(日)14:00
三重県紀宝町 紀宝町生涯学習センター

 

【構成・文/宮田華子 撮影/田中亜紀】

 

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