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“詩”を通して描く3人の詩人の物語『る・ぽえ』間もなく開幕!稽古場レポート

高村光太郎、萩原朔太郎、中原中也という3人の詩人の物語をオムニバスで繋ぐ舞台『る・ぽえ』が、1月25日~2月2日、新国立劇場小劇場で上演される。

本作は鈴木勝秀 × る・ひまわりの第3弾公演として二人芝居『 ウエアハウス -double-』と同じ期間に、同じ舞台装置で全く異なる作品を上演するというもの。『る・ぽえ』の内容は、高村光太郎、萩原朔太郎、中原中也という“詩”に己を捧げた詩人たちの物語で、鈴木勝秀が上演台本と演出、碓井将大、辻本祐樹、木ノ本嶺浩、林剛史、加藤啓が出演する。

「智恵子抄」 妻・智恵子が狂っていく様を、智恵子が亡くなった後の光太郎の目線で描く静かな愛の告白。
「月に吠える」 独自性を貫き、多趣味な性格で自己を形成し続けた朔太郎と友人たちのバカ騒ぎの日々。
「中也と秀雄」 パンクでロックな“告白者”中也は、親友に女を奪われたとき何を想ったのか。女からひも解く“告白者”の人生。

その公演の開幕を直前に控えた稽古場レポートと稽古場写真が届いた。

【稽古場レポート】

“詩”に己を捧げた詩人たちが紡ぐオムニバス
碓井将大、辻本祐樹、木ノ本嶺浩、林剛史、加藤啓が大はしゃぎ?

ひとり、またひとりと稽古場に訪れる役者たち。にこやかに挨拶を交わし、それぞれに準備を始める──と思いきや、いきなり舞台のど真ん中で木ノ本嶺浩さんが台詞を放つ。と、まるで待っていたかのように碓井将大さん、林剛史さんが台詞を返し、くるくると周りで踊りだす。その様子を気にするでもなく、辻本祐樹さんと加藤啓さんは談笑し、柔軟体操を始める。やがて仮に組まれたステージのそこここから台詞が聴こえ、声が交差し、役者たちが動き回る。ちなみに、まだ稽古は始まっていない。けれどこれが彼らなりの準備なのだろう。
「はい、じゃあ」と静かにスズカツ(鈴木勝秀)さんが言う。とたんに、しん、となり、空気がパリッ、と引き締まる。「一回、通します」その言葉で全員が静かにステージ上の自分の立ち位置へ。今度こそ稽古の始まりだ。

スズカツさんの稽古は怒号が飛び交う……なんていうことはなく、とても静かでていねいだ。木ノ本さんを囲み、にぎやかに踊る碓井さんと林さんに「盛り上げる場面ではあるけれどばらばらすぎる」「個々が勝手に盛り上がるのではなく観客に向けるタイミングをそろえてきれいに」「(林さんは)背が高いから、ふたりがぐにゃぐにゃ動くときにぴんと立っていたほうが際立つよ」と、それぞれの動きと身体の対比とバランスを見極めて、この場面で観客に届けることは何か?  を具体的に言葉にする。役者はその意図を受け取り、解釈し、演じることで自身のものとする。ただ単に騒がしく動いているように見えて、実はとても緻密に繊細に一瞬をあわせていく。その上で、まったくもって野放図に見えるように、演じる。すごい。

それは台詞運びも同じ。「反射的に振り向くのではなくて、この単語を聴いてから振り向いてほしい」とスズカツさん。段取りで動くのではなく、誰かの思いから発せられた言葉に別の誰かが反応し、それがさらに次の反応を呼び、連鎖してうねりとなり物語が生まれていく。もちろん台詞だけでなく、台詞にあわせて飛び出たしぐさに思わず笑いがこぼれる一幕も。名を告げるだけなのに加藤さんの動きがおもしろい。辻本さんと木之本さんが会話しているだけなのにその様子が奇妙で愉快。会話、動き、気配、指先からつま先、視線、そのすべてで作品世界を楽しませるため、全力を尽くす  5 人の役者がそこにいた。

登場するのは高村光太郎、萩原朔太郎、北原白秋、芥川龍之介、森鴎外、そして中原中也などの詩人、文豪たち。「智恵子抄」「月に吠える」「汚れちまった悲しみに・・・・・・」といった広く知られる詩をモチーフに届けられる、鈴木勝秀さんの意欲作がここに。
(撮影・文/おーちようこ)

【公演情報】
『る・ぽえ』
上演台本・演出:鈴木勝秀
出演:碓井将大、辻本祐樹、木ノ本嶺浩、林剛史、加藤啓
●1/25~2/2@新国立劇場 小劇場
〈料金〉 8,500 円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
[アフタートークあり]
1/26、1/29/碓井将大、辻本祐樹、木ノ本嶺浩、林剛史、加藤啓
1/28/小早川俊輔、井澤巧麻、鈴木勝秀
〈お問い合わせ〉  る・ひまわり   03-6277‐6622(平日 11  時~18 時)
〈公式サイト〉http://le-himawari.co.jp

 

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