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華麗なるバロック・オペラ『ジュリオ・チェーザレ』間もなく開幕!

パリ・オペラ座公演より ©Agathe Poupen

新国立劇場は2022年10月、開場25周年を迎える。記念すべき2022/2023オペラシーズンの開幕は、華麗なるバロック・オペラ、ヘンデルの『ジュリオ・チェーザレ』で、10月2日に幕を開ける。本作は2020年4月に公演を予定していたが、新型コロナウイルス感染症拡大による公演中止となり、今回は2年半の時を経ての復活となる。

世界のオペラ界では、バロック音楽ブームを受けてバロック・オペラの魅力が見直され、最先端の創造的アートとして、作品に新たな光を当てた上演が人気を博している。大野和士芸術監督は2018年の新国立劇場着任時より、世界的潮流であるバロック・オペラを新国立劇場のレパートリーに取り入れることを表明し、大いに注目された。

今回の演出はオペラ界で人気絶頂の演出家ロラン・ペリー。人間の影の部分と陽の部分双方に光を当て、作品の本質を引き出して観客を魅了することに長けたロラン・ペリーは、この『ジュリオ・チェーザレ』に人間の歴史や芸術へのリスペクトを込め、ユーモアをもって描き出している。

現代のエジプト・カイロの博物館のバックヤードを舞台に設定し、巨大な彫像や絵画が次々と現れる。歴史上の人物に息を吹き込むのは、現代の博物館員たち。全編を通じて彼らの仕事への誇りや収蔵品への敬意が自然と滲み、深い奥行きを与える。

装飾と虚栄に満ちたバロック的価値観と壮大な歴史劇という作品背景を逆手に取った秀逸な演出は、まさに21世紀の“バロック祭り”。バロックならではの百花繚乱の世界に観客を誘い、深い感興を誘う芸術讃歌となっている。

『ジュリオ・チェーザレ』の物語は、古代ローマのジュリアス・シーザーと古代エジプトの美貌の女王クレオパトラの有名な史実。野心家でリーダーシップに溢れる一方で情にも色香にも弱いチェーザレ(シーザー)、聡明で勝気、体を張って政局を乗り切りながら一途な恋心も見せるクレオパトラ、クレオパトラと一進一退の争いを続ける策略家の弟トロメーオ(プトレマイオス)、それにトロメーオの側近の剛勇アキッラ(アキレス)といった歴史上の有名人が次々登場する。

上段/リナルド・アレッサンドリーニ 藤木大地 森谷真理  中段/加納悦子 マリアンネ・ベアーテ・キーランド 村松稔之  下段/金子美香 ヴィタリ・ユシュマノフ 駒田敏章

チェーザレにはバロックで特に評価されるノルウェーのメゾ、マリアンネ・ベアーテ・キーランド。クレオパトラにはメトロポリタン歌劇場をはじめ世界の歌劇場で活躍する日本人ソプラノ森谷真理が出演。トロメーオを歌うのは、カウンターテナーとして世界的に活躍する藤木大地。ストーリーの鍵を握るポンペーオの妻コルネーリアとその息子セストには加納悦子、金子美香と日本を代表するメゾ二人の豪華コンビ。剛勇アキッラ役は『夜鳴きうぐいす』『イオランタ』で好評を博したバリトン、ヴィタリ・ユシュマノフ。クレオパトラの小姓ニレーノを演じるカウンターテナーの村松稔之は新国立劇場に初登場となる。

指揮にはバロック音楽の世界的第一人者リナルド・アレッサンドリーニが登場。まさに必見必聴の贅沢な上演となっている。

パリ・オペラ座公演より ©Agathe Poupen

【ものがたり】
【第1幕】ローマの将軍チェーザレは、政敵ポンペーオを追ってエジプトへ来る。エジプトの将軍アキッラがトロメーオ王からとポンペーオの首を差し出す。悲嘆にくれるポンペーオの妻コルネーリア。息子セストは復讐を誓い、チェーザレも暴挙に憤る。クレオパトラは弟トロメーオから王座を奪うべく、チェーザレへの接近を図っていた。アキッラはチェーザレの様子をトロメーオに報告、チェーザレ暗殺を唆し、報酬にコルネーリアを要求する。クレオパトラが侍女リディアと身を偽ってチェーザレを訪れると、彼はまんまと魅了され、クレオパトラは狂喜する。トロメーオは宴にチェーザレを招く。そこへ忍び込んだコルネーリアとセストは捕えられる。

【第2幕】クレオパトラのもとを従者ニレーノの手引きでチェーザレが訪れる。アキッラはコルネーリアに愛を迫るが拒否される。トロメーオもコルネーリアを口説くが拒絶される。コルネーリアは誇り高く自害しようとするが、ニレーノに導かれたセストが現れ、命を取り留める。クレオパトラとチェーザレが愛を交わしているとトロメーオのチェーザレ暗殺の動きが知らされ、チェーザレは出陣する。

【第3幕】アキッラはクレオパトラへ寝返る決心をする。クレオパトラはトロメーオに捕らえられ、絶望している。追い詰められ海へ飛び込んだチェーザレが生還。瀕死の傷を負ったアキッラは、自らがポンペーオ殺害を唆し、コルネーリアを得るべくチェーザレ暗殺を諮ったことをセストに告白する。死を覚悟したクレオパトラの前へチェーザレが現れ助け出す。なおもコルネーリアに言い寄るトロメーオの前にセストが現れ、ついに復讐を果たす。クレオパトラとチェーザレ、コルネーリア、セストを人々が讃え、幕となる。

パリ・オペラ座公演より ©Agathe Poupen

この公演はU25、U39の優待チケットも絶賛販売中
https://mktg.nntt.jac.go.jp/mypage/regist/TTRbRbgRggss3TRQ

【公演情報】
新国立劇場2022/2023シーズンオペラ
ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル『ジュリオ・チェーザレ』《新制作》
Giulio Cesare / Georg Friedrich Händel
全3幕〈イタリア語上演/日本語及び英語字幕付〉
約4時間15分(休憩含む)
指揮:リナルド・アレッサンドリーニ
演出・衣裳:ロラン・ペリー
美術:シャンタル・トマ
照明:ジョエル・アダム
ドラマトゥルク:アガテ・メリナン
演出補:ローリー・フェルドマン
舞台監督:髙橋尚史
出演
ジュリオ・チェーザレ:マリアンネ・ベアーテ・キーランド
クーリオ:駒田敏章
コルネーリア:加納悦子
セスト:金子美香
クレオパトラ:森谷真理
トロメーオ:藤木大地
アキッラ:ヴィタリ・ユシュマノフ
ニレーノ:村松稔之
合唱:新国立劇場合唱団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
●10/2、10/5、10/8、10/10◎新国立劇場オペラパレス
〈料金〉S席27,500円 A席22,000円 B席15,400円 C席8,800円 D席5,500円 Z席1,620円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉新国立劇場ボックスオフィス 03-5352-9999(10時~18時)
〈公式サイト〉https://www.nntt.jac.go.jp/opera/giuliocesare/

 

【舞台写真:©Agathe Poupeney(パリ・オペラ座公演より)】

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