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ワジディ・ムワワド作の一大叙事詩の集大成『森 フォレ』上演決定!

上段/成河  瀧本美織 岡本健一 麻実れい 中段/栗田桃子 前田亜季 岡本玲 松岡依都美 下段/亀田佳明 小柳友  大鷹明良/

数々の演劇賞を受賞した『炎 アンサンディ』『岸 リトラル』に続く、 “「約束の血」4 部作”の第3弾『森 フォレ』が、7 月に世田谷パブリックシアターで待望の上演を果たす。

世田谷パブリックシアターでは、これまでに『炎 アンサンディ』(2014 年初演、17 年再演)、『岸 リトラル』(17 年戯曲リーディング公演、18 年本公演)と、気鋭の劇作家ワジディ・ムワワドの “「約束の血」4 部作”シリーズを上演してきた。

宗教・戦争・歴史といった、日本人にとっては一筋縄には伝わらない題材ながらも、難解さを超越する作家の世界観、構成力、魅了する台詞、そしてなによりも普遍性を見つめた視点が高く評価され、数々の演劇賞を受賞した。そして2018 年の『岸リトラル』以来、3 年の歳月を経て、ようやく待望の『森 フォレ』の上演が決定した。

演出を手掛けるのは、『炎 アンサンディ』、『岸 リトラル』を数多くの演劇賞受賞へと導いた上村聡史。役の心情のみならず、社会・政治背景まで正確に分析して表現する緻密な演出力を生かし、同シリーズの中でも集大成と言える大作『森 フォレ』に挑む。

出演には、『岸 リトラル』で読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞した岡本健一、『炎 アンサンディ』で菊田一夫演劇賞大賞を受賞した麻実れいほか、栗田桃子、亀田佳明、小柳友といった前2作でその研ぎ澄まされた演技をいかんなく発揮した顔ぶれが並ぶ。

さらに、成河、瀧本美織、岡本玲、松岡依都美、前田亜季、大鷹明良といった、近年の演劇界を牽引するメンバーが加わり、総勢11名の実力派俳優が集結。世界の歴史の背景に翻弄された人間たちの宿命的な生きざまを一大叙事詩として、2021 年の日本にて表出する。

 【あらすじ】
1989 年11月ベルリンの壁崩壊直後、モントリオールに住むエメ(栗田桃子)にてんかんの発作が起き、知るはずもない第一次世界大戦中のフランス兵・リュシアン(亀田佳明)の名前を口にする。その原因として考えられるのは、妊娠中のエメの脳に生じた悪性腫瘍のためであった。エメが健康な状態で生き延びるには、堕胎を選択することだったが、エメは出産を決断し、娘ルーを生む。そしてエメは意識不明の状態に陥り、15年後に死ぬことになる。
20歳に成長した娘ルー(瀧本美織)は、偶然にも母エメと同じ形をした第二次世界大戦時の被害者の頭蓋骨を所持するというフランスの古生物学者ダグラス(成河)の来訪により、母の死の真相を、父バチスト(岡本健一)から聴くことになる。「母エメは双子を妊娠したが、男児の方が、エメの子宮から脳へと移り住み、まるで、その双子の兄弟が悪性腫瘍を引き起こしたよう」と。
そして、ダクラスの説得により、カナダ北部セント・ローレンヌ川の河口に住む、エメを捨てた祖母リュス(麻実れい)に会いに行く。しかしそこで、リュスの母が第二次世界大戦をレジスタンスとして生き、その名がリュディヴィーヌ(松岡依都美)であるということを知る。ルーとダグラスは偶然に導かれながら、自らのルーツを探るために、フランスへと旅立つのだが…。

130 年超にも渡る“血”の物語を紐解くフランスの古生物学者・ダグラス役を演じるのは成河。世田谷パブリックシアター主催公演『子午線の祀り』では、同作の演出・主人公で劇場芸術監督でもある野村萬斎演じる平知盛と対峙する源義経役を、明晰な台詞術と高い身体能力を生かして好演した。著名演出家、脚本家から高い評価を得てきた成河が、初めて「約束の血」シリーズに挑む。

母の死をきっかけに自身のルーツを辿るルーは、世田谷パブリックシアター初登場となる瀧本美織が演じる。ストレートプレイ、ミュージカル、音楽劇など複数の舞台経験を積んだ彼女にとって3年ぶりとなる舞台出演。その瑞々しい演技で、6世代に渡る家族の物語へと誘う。

『炎 アンサンディ』、『岸 リトラル』に続く三作連続出演となるのは岡本健一。『岸 リトラル』では、その高い演技力が評価され、第 26 回読売演劇大賞最優秀男優賞を受賞。
『炎 アンサンディ』ほかの演技で第42回菊田一夫演劇賞大賞を受賞した麻実れいも登場。国、世代など異なる複数役を巧みに演じ分ける。

岡本と同じく三作連続出演となる栗田桃子と小柳友、『岸 リトラル』から続投となる亀田佳明ら、演出者・上村の信頼の厚いメンバーが舞台を引き締めると共に、シリーズ初登場となる松岡依都美、岡本玲、前田亜季、大鷹明良が加わり、さらなるハーモニーを生み出す。

上記 11 人の実力派の布陣が登場人物40人を次々と演じ分け、6世代に渡る壮大な“血”の物語を描き上げる。

上村聡史

【メッセージ】
上村聡史(演出)
再びワジディの台詞に出会えることを大変嬉しく、改めて、想像力というものが、いかに人生にとってかけがえのない産物かということを思わせてくれる氏の世界観に、表現の可能性を感じ、演出できる喜びを噛みしめています。
いつもながらの、個人の小文字の物語と歴史の大文字の物語が交差する作劇は、深遠な想像を喚起することはさることながら、今作は、前二作の中東をイメージした舞台設定から、ヨーロッパへと舞台を移します。時間軸も、
産業革命後の資本社会が台頭する 1870 年から、第一次・第二次世界大戦という戦争の世紀を潜り抜けて、閉塞感漂う神なき現代までの約 150 年が描かれます。
とりわけ、『森 フォレ』は“女性の身体”が重要なキーワードとなっていて、愛や憎しみ、不安や渇望といった普遍的な感情が、脳、血、顎、腹、肌、性器、心臓といった身体のパーツへと反映され、それら身体の神秘と可能性が物語を大きく突き動かしていきます。その純然たる身体と感情の迸りを、“約束の継承”とも言うべきテーマへと繋げ、熱量と詩的な奥行きを感じる、歴史と個人の一大叙事詩として、今の時代に仕立てたいと思います。
これまでの『炎 アンサンディ』『岸 リトラル』を共に創りあげた心強いスタッフ・キャストと、今回が初参加になるキャストとの刺激的かつ鮮度ある組み合わせで、本シリーズの集大成となるべく醍醐味に、どうぞご期待ください。

【公演情報】
『森 フォレ』
作:ワジディ・ムワワド
翻訳:藤井慎太郎
演出:上村聡史
出演:成河  瀧本美織 /
栗田桃子 前田亜季 岡本玲 松岡依都美/亀田佳明 小柳友  大鷹明良/
岡本健一 麻実れい
● 7月◎世田谷パブリックシアター
公演詳細は決定次第、劇場 HP にて告知。
〈ニュースページ〉https://setagaya-pt.jp/news/20210322-93795.html

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