「南座 歌舞伎鑑賞教室」開幕!
南座では「南座 歌舞伎鑑賞教室」が5月12日に初日を迎えた。(5月21日(日)千穐楽)
昨年、7年ぶりに復活し、分かりやすくユーモアあふれた解説と、歌舞伎の名作舞踊の二本立てで好評を博した本公演。今年は講談師の旭堂南龍による『歌舞伎の講釈』、そして『妹背山婦女庭訓』より「願絲縁苧環」という恋が主題の一幕を、上方芸能を継承する出演陣らで上演。上方歌舞伎の次代を担う、片岡千次郎、片岡りき彌、上村吉太朗という清新な配役で、恋がテーマの華やかな舞踊が繰り広げられる。その公演のレポートと舞台写真が届いた。
《舞台の見どころと初日の様子》
幕開けは、講談界の西のホープ、旭堂南龍による『歌舞伎の講釈』。歌舞伎の歴史や舞台機構、隈取や歌舞伎の演出などについて、歌舞伎俳優の片岡當史弥、片岡千太郎とともに講談らしい明快な語り口で紹介します。続いて南龍による講談の語りに合わせて、片岡佑次郎・片岡愛治郎が立廻りを実演。講談と歌舞伎という、本公演ならではのコラボレーションを見せ、観客からは感嘆の声が漏れました。お客様からの質問に答える時間も設けられ、「舞台上でヒヤッとしたこと」など、普段なかなか聞けないエピソードを歌舞伎俳優らが語る場面も。そして南龍が「願絲縁苧環」のあらすじを、ユーモアを交えて語り、注目ポイントなどをご案内しつつ幕となりました。
続く「願絲縁苧環」は、『妹背山婦女庭訓』の中の一場面で、二人の女性が一人の男性を取り合う恋模様を描いた、名作舞踊です。振り落としで春日大社の大道具が現れると、片岡りき彌演じる橘姫を追って、片岡千次郎演じる烏帽子折求女がやってきます。二人が仲睦まじく思いを語り合っているところへ、上村吉太朗演じるお三輪がやってきます。求女と夫婦の約束をしていたお三輪は橘姫を咎めますが、橘姫も負けじと反論し、求女を巡って言い争います。見どころの一つである橘姫とお三輪のクドキの場面では、情感たっぷりに魅せ、観客を一気に引き込みます。
三人そろっての総踊りの場面では、姫と田舎娘の対照的な女性の仕草や、翻弄される求女の様子を見事に演じた俳優陣に、大向うがかかりました。そして、立ち去ろうとする橘姫の振袖に、苧環の赤い糸を結び付け、後を追う求女。お三輪はその求女に白い糸を結びつけ、後を追おうとします。しかし途中で糸が切れてしまい、落胆しますが、それにもめげず、苧環で方角を占いながらこの場を後にします。それぞれの恋模様を、華やかな舞踊で魅せ、客席からは万雷の拍手が送られました。
【公演情報】
「南座 歌舞伎鑑賞教室」
日程:2023年5月12日(金)~21日(日)
◎午前11時~
一、 歌舞伎の講釈
旭堂南龍
二、妹背山婦女庭訓
願絲縁苧環
杉酒屋娘お三輪 上村 吉太朗
入鹿妹橘姫 片岡 りき彌
烏帽子折求女実は藤原淡海 片岡 千次郎
◎午後2時~
一、 歌舞伎の講釈
旭堂南龍
二、妹背山婦女庭訓
願絲縁苧環
杉酒屋娘お三輪 上村 吉太朗
入鹿妹橘姫 片岡 りき彌
烏帽子折求女実は藤原淡海 片岡 千次郎
〈料金〉3,500円(全席指定・税込)
〈チケット問い合わせ〉チケットホン松竹 ☎0570-000-489(10:00~17:00)
または「チケットWeb松竹」で検索(24時間受付)
当日券は南座切符売場で販売中。
〈公式サイト〉https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/minamiza20230512/