お芝居観るならまずはココ!雑誌『えんぶ』の情報サイト。

簒奪者ゴドゥノフの破滅への転落、ロシア・オペラの金字塔『ボリス・ゴドゥノフ』間もなく開幕!

『ボリス・ゴドゥノフ』ボリス・クドルチカのセットプランより

新国立劇場では開場25周年記念公演、オペラ『ボリス・ゴドゥノフ』(ポーランド国立歌劇場共同制作)が、11月15日にオペラパレスで開幕する。

本作はロシア国民楽派「ロシア五人組」のムソルグスキーが完成させた唯一のオペラで、ポーランド国立歌劇場との共同制作により、同劇場芸術監督のマリウシュ・トレリンスキの演出で上演する。『エウゲニ・オネーギン』『夜鳴きうぐいす/イオランタ』に続くロシア・オペラの新制作となる。

『ボリス・ゴドゥノフ』はロシア動乱時代の皇帝ボリス・ゴドゥノフの戴冠から死までを描くプーシキンの戯曲を原作とし、有力者たちの策謀と民衆の叫び、そしてボリスの孤独と苦悩がシェイクスピア史劇のように展開する悲劇。

マリウシュ・トレリンスキ(演出)

演出を手掛けるトレリンスキは映画監督出身、現代的な解釈と美的感覚で音楽の本質的な美しさを引き出し、欧米で目覚ましい活躍をしている演出家。皇位簒奪者ボリス・ゴドゥノフの心理にフォーカスし、権力の頂点に昇り詰めた人間がトラウマに囚われ、破滅していくドラマとして読み解いている。大野和士芸術監督とのタッグは、トレリンスキがインターナショナル・オペラ・アワード最優秀演出家賞を獲得した世界的話題作『炎の天使』以来となる。

ボリス・ゴドゥノフ役:ギド・イェンティンス

ヴァシリー・シュイスキー公役:アーノルド・ベズイエン

ムソルグスキーの音楽は近代性に満ち、ロシア民謡やロシア正教の教会音楽に基づいた斬新な和声が用いられ、ロシア国民音楽の金字塔として輝くだけに。民衆の合唱や人物のモノローグのコントラストも鮮やかで、緊張感に満ちた硬質な音楽とドラマティックな展開が凝縮されている。
性格表現に秀でたギド・イェンティンス、アーノルド・ベズイエンら強力な布陣で、自らの行為によって追い詰められていくボリス・ゴドゥノフの破滅のドラマを届ける。

『ボリス・ゴドゥノフ』ボリス・クドルチカのセットプランより

《Story》
プロローグ/戴冠式を前に群衆が集まっている。ゴドゥノフは最高位の僧ピーメンと緊張関係にあるが、儀礼的にその指輪に口づけをする。幼いドミトリー皇子の死の幻影に慄くゴドゥノフだが、戴冠式の彼の演説は人々の心を掴む。

第1幕/6年後。ピーメンは僧グリゴリーに、自分こそ現皇帝に殺害されたドミトリーの生まれ変わりと信じ込ませていた。宮殿へ向かうグリゴリーは二人の僧と共に宿屋に立ち寄る。追手が到着するが、僧たちに惨殺される。

第2幕/ゴドゥノフは数年の支配に疲れ切っている。娘クセニアは婚約者の死を悼み、息子フョードルは、将来の自分の治世の展望を話して、父の涙を誘う。ゴドゥノフの臣下シュイスキーは、皇帝の弱みに付け込むことを思い立ち、ゴドゥノフにウグリッチで目撃したことを克明に語り聞かせる。彼の地での行為を思い起こすゴドゥノフの前に、死んだドミトリーの天使のような姿の幻影が現れる。宮殿に迫るドミトリーの詐称者は、復讐の天使なのだろうか。

第3幕/ゴドゥノフはまたも悪夢を見る。ウグリッチから来た子供たちがゴドゥノフを取り囲む。フョードルが憎しみに満ちた目で父を見る。父の罪を非難しているのだ。現実にフョードルは高熱で朦朧とし、「ゴドゥノフがドミトリーを殺害した」という聖愚者による糾弾を繰り返している。
無秩序状態の議会へゴドゥノフが登場。シュイスキーは狂乱寸前の皇帝を嘲笑う。ピーメンが人々の病を癒すという亡きドミトリーの幽霊の話をし、ゴドゥノフを挑発する。ゴドゥノフは苦しみながら己の罪を告白する。そこへドミトリーの名を語る詐称者が登場、議会は混乱に陥る。死を悟ったゴドゥノフはフョードルを呼び、お前がすぐ支配者になるだろうと力づける。

フィナーレ/集団の暴動が連鎖する中、ドミトリーの詐称者は自らが新たな皇帝であることを宣言する。

『ボリス・ゴドゥノフ』ボリス・クドルチカのセットプランより

【公演情報】
022/2023シーズン
新国立劇場 開場25周年記念公演
モデスト・ムソルグスキー『ボリス・ゴドゥノフ』(新制作)
プロローグ付き全4幕〈ロシア語上演/日本語及び英語字幕付〉
指揮:大野和士
演出:マリウシュ・トレリンスキ
美術:ボリス・クドルチカ
衣裳:ヴォイチェフ・ジエジッツ
照明:マルク・ハインツ
映像:バルテック・マシス
ドラマトゥルク:マルチン・チェコ
振付:マチコ・プルサク
ヘアメイクデザイン:ヴァルデマル・ポクロムスキ
舞台監督:髙橋尚史
キャスト
ボリス・ゴドゥノフ:ギド・イェンティンス
フョードル:小泉詠子
クセニア:九嶋香奈枝
乳母:金子美香
ヴァシリー・シュイスキー公:アーノルド・ベズイエン
アンドレイ・シチェルカーロフ:秋谷直之
ピーメン:ゴデルジ・ジャネリーゼ
グリゴリー・オトレピエフ(偽ドミトリー):工藤和真
ヴァルラーム:河野鉄平
ミサイール:青地英幸
女主人:清水華澄
聖愚者の声:清水徹太郎
ニキーティチ/役人:駒田敏章
ミチューハ:大塚博章
侍従:濱松孝行
※本プロダクションでは、聖愚者は歌唱のみの出演となります。
合唱指揮:冨平恭平
合唱:新国立劇場合唱団
児童合唱:TOKYO FM 少年合唱団
管弦楽:東京都交響楽団
共同制作:ポーランド国立歌劇場
●11/15、11/17、11/20、11/23、11/26◎ 新国立劇場 オペラパレス
〈料金〉S席27,500円 A席22,000円 B席15,400円 C席8,800円 D席5,500円 Z席1,650円(全席指定・税込)
U25/U39優待チケットを5,000円/11,000円で販売中。
〈お問い合わせ〉新国立劇場ボックスオフィス 03-5352-9999(10時~18時)
〈公式サイト〉https://www.nntt.jac.go.jp/opera/borisgodunov/

『ボリス・ゴドゥノフ』ボリス・クドルチカのセットプランより

 

記事を検索

観劇予報の最新記事

草彅剛・主演のシス・カンパニー公演『シラの恋文』ビジュアル公開!
数学ミステリーミュージカル『浜村渚の計算ノート』開幕!
『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』井上芳雄最終日の写真到着&再演発表!
 「池袋演劇祭」まもなく開幕!
加藤拓也の最新作『いつぞやは』開幕!

旧ブログを見る

INFORMATION演劇キック概要

LINKえんぶの運営サイト

LINK公演情報