中村勘九郎・中村七之助「赤坂大歌舞伎」オンライン製作発表会レポート
中村勘九郎と中村七之助が9月24日、、11月にTBS赤坂ACTシアターで上演される「赤坂大歌舞伎」についてのオンライン記者会見を行った。
「赤坂大歌舞伎」は、十八代目中村勘三郎の発案で2008年にスタート。誰にでも親しみやすい演目で幅広く人気を博してきた名物シリーズ。2013年からは中村勘九郎、中村七之助兄弟が亡き父の遺志を継いで公演を続け、さらなる進化を遂げてきた。
昨年5月に予定されていた『怪談 牡丹燈籠』は、新型コロナウイルスの感染拡大により中止。今回、演目も新たに『廓噺山名屋浦里』『越後獅子』『宵赤坂俄廓景色』という3演目での上演となる。
またTBS赤坂ACTシアターは年内から改修工事が行われたあと、当面の間、舞台『ハリー・ポッター』の専用劇場として運営されることが予定されているため、「赤坂大歌舞伎」はここでいったん節目を迎えることになる。
勘九郎と七之助は、会見前に近くの東京・赤坂氷川神社を参拝して公演の安全と盛況を祈願した。勘九郎が赤坂氷川神社に参拝するのは4年前の「赤坂大歌舞伎」以来で、「いよいよ始まるなという思いと、しっかり感染対策をして万全な状態でお客様に楽しんでいただくように気を引き締めないといけないと思いました」と語る。七之助は「山車を見させていただきましたが、残念ながら神社のお祭りが中止になってしまったと聞き、微力ながら私たちが赤坂の街を歌舞伎で盛り上げられたらと思います」と意気込む。
今回上演される『廓噺山名屋浦里』は、江戸時代に名を馳せた花魁「扇屋の花扇」にまつわる実話で、2015年にTBS赤坂ACTシアターにて、笑福亭鶴瓶が落語として披露したものを聞いて、「この落語を歌舞伎にしたい」と熱望した中村勘九郎が、中村七之助らとともに、翌年の歌舞伎座「八月納涼歌舞伎」の一演目として舞台化し、大きな話題となった。
勘九郎はその経緯について「落語を聞いたときに情景が見えて、歌舞伎座の大道具の映像が頭に浮かび、浦里は七之助にぴったりだし、これは歌舞伎にしないといけないと思って、すぐに楽屋で鶴瓶師匠にお願いしたら、いいよと言っていただきました」と感謝。七之助も「ハートフルなお話で、そこまで長くもなく、とても観やすい作品。人と人とのつながりや愛情が全面に出ています。浦里役はとても良い役で、短い時間の中にも動きや表情があり、女方としていろいろな色が見せられる役」と再演できる喜びを表した。
また今回は『越後獅子』に勘九郎の長男・中村勘太郎が、『宵赤坂俄廓景色』に次男・中村長三郎が初登場する。
勘九郎は「この「赤坂大歌舞伎」は父の勘三郎が残してくれたもの。そこに出て、この舞台の空気を記憶に残してほしいので」と語り、手おどり、足拍子、布さらしと、様々な踊りの表現を披露する舞踊だけに、「10歳で1人で踊るというのは、なかなか大変なことですので、ただいま絶賛稽古中です」と顔を引き締めた。
七之助は『宵赤坂俄廓景色』について、「赤坂ACTシアターがこれでひと区切りを迎えますので、これまで赤坂の街の方々に盛り上げていただいた恩返しのつもりで、『俄獅子』という踊りをベースに鳶頭や芸者が登場する華やかな大団円となるような作品にしたい」と熱い思いを語った。
最後に、エンターテイメントの今後について、勘九郎は「新型コロナウイルスで先が見えない中で、主催の方々も我々も手探りでやっていくしかない。でも、いつかまた劇場で満員のお客さんを前に、以前のような熱狂を楽しんでもらえるようになると思っています」と力強く語った。
【公演情報】
TBS開局70周年記念「赤坂大歌舞伎」
一、
『廓噺山名屋浦里』
出演:中村勘九郎 中村七之助 中村虎之介 中村鶴松 片岡亀蔵 中村扇雀
二、
『越後獅子』長唄囃子連中
出演:中村勘太郎
『宵赤坂俄廓景色』長唄囃子連中
出演:中村勘九郎 中村七之助 中村虎之介 中村長三郎 中村鶴松 片岡亀蔵 中村扇雀
●11/11~26◎TBS赤坂ACTシアター
〈料金〉S席13,500円 A席 8,000円 B席4,000円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
〈お問い合わせ〉サンライズプロモーション東京 0570-00-3337 (平日12:00~15:00)
〈公式サイト〉https://www.tbs.co.jp/act/event/akasakadaikabuki2021/