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「狂言劇場 その九」が開幕!野村萬斎のコメント到着

『法螺侍』撮影:政川慎治

世田谷パブリックシアターで6月18日、「狂言劇場 その九」が開幕。野村萬斎のコメントが到着した。また6月26日の公演においてポストトークの開催が決定した。
野村萬斎芸術監督により、古典芸能という枠にとどまらず「“舞台芸術=パフォーミングアーツ”としての狂言」というコンセプトに基づき、2004 年にスタートしたシリーズ「狂言劇場」。

今回は、狂言劇場には初登場となる古典狂言『武悪』『舟渡聟』に加え、『法螺侍』と『鮎』という現代狂言 2 作品が、あらたな配役、あらたな演出で世田谷パブリックシアターに立ち上がった。

【コメント】

野村萬斎(総合演出・出演)
A プログラム
『武悪』は劇場で上演したことで、作品のもつドラマ性がよりはっきりしたのではないでしょうか。一人一人のキャラクターの浮き上がり方や対峙する役者の緊張感が際立ち、よりスリリングな人間ドラマとなりました。常々ドラマとは「生きることを考えること」だと言っていますが、今回の舞台セットを含めた演出でも、「生と死」「生の地続きに死があること」が見えてくるのではないかと思います。

『武悪』撮影:政川慎治

『法螺侍』は(洞田助右衛門は野村万作から野村萬斎へ、太郎冠者は野村萬斎から野村裕基へと)代替わりして、パワフルな作品へと“アップデート”しました。シェイクスピアと狂言のもつ古典的な手法はそのままでも、劇場で演じることで現代性を獲得するという不思議さは、まさに役者によって作品がアップデートされるからだと実感しています。新旧の時空の超え方と東西の文化の越え方を是非目撃していただきたいです。

『法螺侍』撮影:政川慎治

B プログラム
『舟渡聟』は狂言の名作ですが、舞台後方に琵琶湖の風景を出現させたことで、雄大な世界の中で頑張って生きていく人間を描きました。この作品では最年長(野村万作・90 歳)と最年少(野村裕基・21 歳)が船頭と聟を演じていますので、今回の「狂言三代」ならではの面白みを感じていただければと思います。

『鮎』は、劇場という現代的な空間へ移ったことで、原作の小説から感じた「都会と田舎論」を、より具体的且つ象徴的に描くことができ、これもある種の“アップデート”ができたのではないかと思います。狂言の衣装を着て世田谷パブリックシアターという現代の劇場に立つことで、古典と現代が地続きになっていることを自分でも感じることができました。

『鮎』撮影:政川慎治

コロナ禍の現在、都会はある意味抑圧された場所、抑圧されればされるほど魅力的に感じる「毒」のような場所と捉え、非常に複雑な我々の現状を背負いながら、いま『鮎』を上演する意義を感じています。「読後感」のようなものを感じてもらえたなら、現代劇の劇場での狂言の在り方として、一つの手ごたえになると思っています。

《作品紹介》
A プログラム 狂言 『武悪 』/『法螺侍』

『武悪』(ぶあく)
武悪:野村万作 主:石田幸雄  太郎冠者:野村太一郎
武悪の不奉公に怒り心頭の主人は太郎冠者に武悪を討ち取ってくるよう命ずる。太郎冠者はやむなく武悪をだまし討ちにしようとするが、最期に臨み覚悟を決める様子にどうしても討つことができない。太郎冠者は武悪に逃
げることを勧め、主人には武悪が神妙に討たれたと偽りの報告をする。主人はせめて跡を弔ってやろうと東山に向かうが、ちょうどそこへ命拾いのお礼参りに来た武悪と鉢合わせてしまい……。

『武悪』撮影:政川慎治

『法螺侍 』(ほらざむらい)
原作:W.シェイクスピア「ウィンザーの陽気な女房たち」
作:高橋康也  演出:野村万作
洞田助右衛門:野村萬斎
太郎冠者:野村裕基  次郎冠者:中村修一
お松:高野和憲 お竹:内藤連 焼兵衛:深田博治
太鼓:桜井均(6/18・20・27)/吉谷潔(6/26)
笛:一噌幸弘
酒好きで女好きで強がりばかりの洞田助右衛門は身のだらしなさがもとで将軍家を追放され、毎日飲み暮らしていたが、ついに酒も、酒を買う金も底をついてしまう。そこで女を騙して貢がせようと家来の太郎冠者と次郎冠者に命じて、二人の女に同一の恋文を届けさせる。主人の日頃からの勝手な振る舞いに嫌気がさしていた太郎冠者と次郎冠者は、助右衛門を懲らしめるべく計画を練り始めます。狂言劇場では、万作が演じてきた洞田助右衛門を萬斎が演じ、萬斎が演じてきた太郎冠者に野村裕基が挑みます。

『法螺侍』撮影:政川慎治

B プログラム  狂言 『舟渡聟 』/『鮎』
『舟渡聟』(ふなわたしむこ)
船頭・舅:野村万作  聟:野村裕基
姑:野村太一郎(6/19)/岡聡史(6/25)/石田淡朗(6/26)
妻の実家に初めて挨拶に向かう聟が、渡し舟の酒好きの船頭に手土産の酒樽をせがまれ飲まれてしまう。仕方なく、軽くなった酒樽を持って舅宅へ出向く。やがて外出していた舅が帰宅すると、びっくり仰天、舅こそが舟で酒を無理やり振舞わせた船頭だった。舅は姑の勧めで髭を剃り、顔を隠して対面するのだが……

『舟渡聟』撮影:政川慎治

「鮎」(あゆ)
作:池澤夏樹 演出・補綴:野村萬斎
国立能楽堂委嘱作品
小吉:野村萬斎 才助:石田幸雄
大鮎:深田博治  小鮎:月崎晴夫・高野和憲・中村修
一・内藤連・飯田豪  ほか
笛:大野誠(6/19)/竹市学(6/25・26)
小鼓:大倉源次郎(6/19・25)/大山容子(6/26)
清流のほとりで鮎を捕って暮らす才助が釣りにいくと喧嘩をした小吉が逃げ込んでくる。顔を見るとその人の性格や将来がわかってしまう才助は小吉を諭すが、小吉は聞き入れない。才助は小吉を大きな宿屋に紹介、風呂焚きとなった小吉は「忖度」に励みながら出世し、ついに宿屋の主人の座に収まる。ある日、出世した小吉のもとに才助が訪れ頼みごとをするが……。

『鮎』撮影:政川慎治

◎ポストトーク開催決定!
6月26日(土)12:00 Aプログラム 終演後
出演:野村萬斎 野村太一郎 高野和憲 中村修一 内藤連 野村裕基
6月26日(土)17:00 Bプログラム 終演後 ※手話通訳あり
出演:野村萬斎 石田幸雄 深田博治 野村裕基
※開催回のチケットをお持ちの方がご参加いただけます。

【公演情報】
狂言劇場その九 『 武悪 』『 法螺侍 』/『 舟渡聟 』『 鮎 』
総合演出: 野村萬斎
出演:
野村万作 野村萬斎  野村裕基
石田幸雄
深田博治 高野和憲  月崎晴夫  野村太一郎
岡聡史 中村修一  内藤連  飯田豪 石田淡朗
●6/18~27◎ 世田谷パブリックシアター
〈料金〉一般  S席8,500円(1・2階)A 席6,500円(3階) U24・高校生以下S席4,250円/A席3,250円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
※各種割引あり
〈お問い合わせ〉世田谷パブリックシアターチケットセンター03-5432-1515 (10~19 時)
世田谷パブリックシアターオンラインチケット  https://setagaya-pt.jp/
〈劇場HP〉https://setagaya-pt.jp/

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