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2020 年の年忘れに最高のオペレッタ『こうもり』が登場! 新国立劇場オペラ

ウィズコロナの2020 年年末、年の瀬にかかせないオペレッタ『こうもり』が、新しい生活様式に基づき演出の一部を変更の上、11月29日からオペラパレスに登場する。

『こうもり』はワルツ王ヨハン・シュトラウスⅡ世が作曲した最高に素敵なオペレッタ。心躍る有名な序曲からシュトラウスの軽快で洒脱な音楽が続き、美しいワルツやポルカにのせてユーモアいっぱいの喜劇が繰り広げられる。アール・デコ調の華やかな美術・衣裳も大きな見どころ。目に耳にウィーン洗練の美と洒落た風刺が続く『こうもり』は、まさに大人のためのエンターテインメントだ。

『こうもり』が初演された1874 年の前年、ウィーンの町はウィーン万国博覧会に沸く一方でコレラの流行と株の大暴落に見舞われ、作曲したシュトラウス本人も株価暴落で痛手を負っていた。『こうもり』には陽気で軽妙な応酬、素朴な愛があふれる一方で、人生の浮き沈みに対するほろ苦い哲学も込められ、その深みが観客の共感を呼ぶ。舞踏会で人々が唱和する「みな兄弟姉妹となろう」という共生のメッセージは、現在の観客の心にもひと際深く染みることだろう。

『こうもり』の演出は、ウィーン宮廷歌手の名テノール、ハインツ・ツェドニク。2006 年のこの演出でツェドニクは演出家としてデビュー。この後、翌年のウィーン・フォルクスオーパー『こうもり』などの演出を手がけている。ウィーン出身で『こうもり』の4役をレパートリーとする名テノール歌手ツェドニクはウィーン気質を熟知しており、小粋でエレガント、洒脱な仕掛けがたくさん用意された正統的な演出は、『こうもり』の魅力を余すところなく伝える。

ツェドニク演出の『こうもり』は、アール・デコ調の華やかな舞台美術・衣裳も大きな見どころ。舞台の縁を飾る市松模様、背景を優雅に彩る植物のモチーフなど、舞台はアール・デコの感覚で統一してデザインされ、照明の効果で刻々と表情を変える。金色に輝く幾何学模様や、日本の美感を取り入れた優雅で官能的なラインの衣裳など、クリムトを彷彿させるデザインも盛りだくさんで、美術ファンの心も捉えてやまない。

【あらすじ】
第1幕/アイゼンシュタインは公務執行妨害で刑務所に入らねばならず苛立っているが、収監前の気晴らしにと友人ファルケからオルロフスキー公爵邸の夜会へ誘われる。小間使いアデーレも姉イーダから夜会に誘われ、「重病の叔母を見舞うため休みがほしい」とひと芝居打つ。アイゼンシュタインの妻ロザリンデは夫の不在を寂しがるが、その間に昔の恋人のテノール歌手アルフレードと情事を楽しもうと企む。みな表向き悲しみに暮れているが、本心はウキウキ。夫の外出後ロザリンデがさっそくアルフレードと楽しもうとすると刑務所長フランクが来て、人違いでアルフレードを収監してしまう。

第2幕/オルロフスキー公爵の夜会。アイゼンシュタインとフランクが鉢合わせし、お互いフランスの貴族だと自己紹介して、しどろもどろのフランス語で意気投合する。アデーレはロシアの女優になりすまして登場。仮面をつけたハンガリーの貴婦人がやってくるが、実はロザリンデ。正体に気づかないアイゼンシュタインは口説こうとするも、口説き道具の懐中時計を彼女に奪われてしまう。シャンパンで乾杯し、宴もたけなわ。朝6時になり、アイゼンシュタインとフランクは大慌てで館をあとにする。

第3幕/刑務所。夜会の余韻に浸るフランク。アイゼンシュタインが刑務所に行くと、フランクがいてびっくり。お互い正体を明かすが、すでに自分が収監されていると聞き驚くアイゼンシュタイン。そこにロザリンデがやってきた。アイゼンシュタインは妻の不貞を責めるが、彼女は例の懐中時計を差し出す。ここでファルケが、すべては自分が仕組んだ”こうもりの復讐”だったと種明かしし、にぎやかに大団円となる。

【公演情報】
新国立劇場 2020/2021 シーズンオペラ
ヨハン・シュトラウスⅡ世 『こうもり』
全3幕〈ドイツ語上演/日本語及び英語字幕付〉
指揮:クリストファー・フランクリン
演出:ハインツ・ツェドニク
振付:マリア・ルイーズ・ヤスカ
再演演出:澤田康子
合唱指揮 :三澤洋史
合唱:新国立劇場合唱団
バレエ:東京シティバレエ団
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
出演:
ガブリエル・フォン・アイゼンシュタイン・・・ダニエル・シュムッツハルト
ロザリンデ・・・アストリッド・ケスラー
フランク・・・ピョートル・ミチンスキー
オルロフスキー公爵・・・アイグル・アクメチーナ
アルフレード・・・ 村上公太
ファルケ博士・・・ルートヴィヒ・ミッテルハマー
アデーレ・・・ マリア・ナザロワ
ブリント博士・・・大久保光哉
フロッシュ・・・ ペーター・ゲスナー
イーダ・・・平井香織
※フロッシュ役に出演予定のクルト・リドルは、入国制限(入国後14 日間の待機義務)のためスケジュールが合わず、来日が不可能となり、代わりにペーター・ゲスナーが出演。

●11/29、12 /1、12/3 、12/5、12/6◎新国立劇場 オペラパレス
〈料金〉S席24,200円 A席19,800円 B席13,200円 C席7,700円 D席4,400円 Z席1,650円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
* Z席1,650 円:公演当日朝10 時より、新国立劇場Web ボックスオフィスほかで販売。1人1枚。電話予約不可。
* 当日学生割引(50%)、ジュニア割引、高齢者割引、障害者割引、学生割引など各種割引あり。
〈予約・お問い合わせ〉 新国立劇場ボックスオフィス 03-5352-9999 (10:00~18:00)
新国立劇場Webボックスオフィス http://pia.jp/nntt/
〈公式サイト〉 https://www.nntt.jac.go.jp/opera/diefledermaus/

 

【舞台撮影:寺司正彦(新国立劇場「こうもり」2018年公演より)】

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