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【池谷のぶえの「人生相談の館」】第33回 川上友里さん(女優・「はえぎわ」「ほりぶん」)

むしろこっちが人生相談したい気持ち満々のコラム、「池谷のぶえの人生相談の館」です。

月影番外地その6「あれよとサニーは死んだのさ」、無事閉幕。
ご来場いただいたみなさま、お気にかけていただいたみなさま、ありがとうございました。

さて、ここからは月影のみなさまへ、ラブレターです。

正直、台本をいただいた時は、「どうしろってんだ!!」と、途方に暮れる気持ちでいっぱいでした。でもそのおかげで、稽古期間のことをあまり覚えていないくらい、この作品をどうしたらいいか? ということに集中できました。贅沢で素敵なことです。公演が終わったいま、演劇を創るということの大変さと光を体験させてくれたことを感謝しています。ありがとうございました、ノゾエさん。

この方を嫌いな人なんてこの世にいないんじゃないだろうか? というくらい慈悲深くて、そのくせ変なことが大好きで、いつも暖かく待っていてくれるような…私にとってはなぜかノスタルジーな存在で。13年ぶりに共演できて本当に嬉しかったです。この方の存在そのものが月影で、みんながそこへ自ずと集いたくなるのだと思います。本当に素敵。ありがとうございました、聖子さん。

初めてのお酒の席で、共通の悪口で盛り上がるというカタルシスを得た頃から早10年。共演はあれどまったく絡みがないという、ある意味奇跡が続きますね。
今回この方の演技を観客のように観ていて、その大らかな可笑しみを改めてリスペクトです。今回は、私が無責任に発する言葉を補正して下さったり、援護して下さったり、お世話になりました。ありがとうございました、いりぽん先輩。

コント師、というイメージが強かったので、飄々と淡々と表現されるのかと思いきや、今回初めてご一緒して、こんなに真面目に、じっくり考えて、チャレンジして…という姿に出会うとは思っていませんでした。今回、自ら発する場面の印象が多い中、相手役を支える場面では「紳士!!」と女子楽屋で評判でした。またいつかコントとかでもご一緒したいですね。ありがとうございました、竹ちゃん。

クールな表現の若い役者さんが多い昨今、不思議な熱量の役者さんだなぁという印象でしたが、共演してみて、お芝居への愛情とこだわりの熱量なのだなと感じました。この先もいろんなタイプのお芝居に出会って、ますます素敵になっていって下さいね。今回、私のような初老とあれこれな場面苦痛だったでしょう。性犯罪者のような罪悪感で一杯でした。ごめんなさいね。ありがとう、佐助くん。

生まれ変わったら、この方か八嶋さんになってみたいというのが私のひそかな夢です。今回久しぶりに演出を受けて、作品づくりを楽しむ姿、何としても導かんとする姿、いろんなことを柔軟に受け入れる姿。改めて、本当に信頼できる演出家さんだと思いました。人なんていつ会えなくなるかわからないので、絶対にまた一緒にお芝居やらせて下さい。本当にありがとうございました、木野さん。

舞台を毎回気にしていただいて、時折救い上げるように連絡を下さって、「〇〇さんがこう言って下さってたわよ」と励みになる言葉を伝えて下さって、そんなことが何年か続き、本当に久しぶりにご一緒させていただけました。現場でも、この公演を本当に楽しみにしてくださっている空気感と、常に見守って下さってる姿に安心して取り組めました。本当にありがとうございました、岩間さん。

そしてスタッフの皆さま、お稽古中からあれこれ無責任なアイデアを口にしてしまい、本当にご迷惑をおかけしました。見守り、実現してくださっていた姿に、ただただ感謝です。月影がこうして多くの素晴らしいスタッフのみなさんに支えられて成り立っているのだということを、13年前はあまり気にかけていなかったように思います。今回改めて、近くに感じることができました。ありがとうございました。

では、最後にもうひとり。

*****

のぶえさま

月影番外地では、大変お世話になりありがとうございました!月影番外地では、木野花さん、高田聖子さん、池谷のぶえさんという私の憧れの女優さんたちとご一緒ということで、嫌われたくない、好かれたいという気持ちが急性胃腸炎に繋がったのだと思います。ただただお芝居のことを考えていれば良かったんだと反省しております。

今回は相談の機会を与えてくださりありがとうございます。
私は、姉と兄と私の三人兄弟なのですが、兄ともう25年以上はまともに会話しておりません。最後に話したのは、学生時代兄の友達からの電話を代わる時の「おにい電話」だったと思います。何故会話が無くなったかは、兄が中学生くらいの頃から反抗期のせいでしょうか家で荒れておりまして怖くなって会話しなくなりました。兄は私以外の家族とも会話は少ないです。
しかし、私は兄が大好きなのです。優しいのです。実家の猫は一番兄に懐いていました、父と母の為に月に一回高い肉を買ってくれてます、20代の頃は、私が実家に帰る度に、「となりのトトロ」のカンタくんがサツキちゃんに傘を貸してくれる時のような感じで一万円をくれていました。
いつかは話をするようになろうと思ってたのですが、私ももうすぐ40歳になります。いつかと言っていられなくなりました、そろそろ勇気を出したいと思ってます。
なんか本気の相談ですみません。でも明るい感じでお答え頂けたら嬉しいです。

川上友里さん(女優・「はえぎわ」「ほりぶん」)

*****

正直私は、世間で「凄い」と賛辞される女優さんにも「凄い」と思えないことも多く、お酒の席などでそうした話題になった時には、事を荒立ててもあれなので、うっすら微笑みをたたえてただそこにいたりしています。

そんな私の中で、これだけは誰もできねぇ…と、清々しく諦めるしかないのが、川上友里ちゃんです。

友里ちゃんの1公演分は、普通の女優さんの10公演分くらいに値するのではないか? くらいのエネルギーと、執念みたいなものを、劇場の床、壁、空中、共演者、客席に投げつけまくる。今回近くで共演して、笑けるくらいの怖さでした。
大丈夫、褒めてるのよ、友里ちゃん、また急性胃腸炎にならないでね。

さて、そんな友里ちゃんから、繊細なご相談。
兄弟というのも不思議なもので、長く離れるとどんなことを話したらいいのか難しくもなってきますよね。

私も、友里ちゃんと同い年くらいの妹と離れて暮らして20年ほどになりますが、実家に帰っても大した話もしません。

ただ、私にとってはいつまでも小さい頃の妹の印象で、本当は妹のお尻を枕にしてゴロゴロしてみたり、嫌がることをしつこくけしかけては泣くまでからかったりしてみたいのですが、いい大人であるいまは大迷惑でしょう。

全ての兄姉がそうとは思いませんが、少なからずお兄さんにとって友里ちゃんも、どこかの年齢の印象で止まっているかもしれません。
もしかしたら、「おにい電話」の頃から止まっているのかもね。

そんな妹にかまってほしい私の、現在の唯一の手段は、LINEです。
本当は、電話とかで話せたらいいのでしょうけど、お互いクールを装いたい性質を持って生まれてしまったため、電話なんかかけたらこっちの負けだ的なセオリーがある。

LINEでは、なぜかリラックマ等のファンシーなスタンプを使って、辛辣なやりとりをする…というコミュニケーションが数年続いています。なんなら、ほぼ毎日何かしらのひどいLINEが送られてきます。

お兄さんは、そうしたものを使ってらっしゃるのかな。
もし使っていたら、友里ちゃんからの一方的なものでもいいので、美味しかったものの写真やら、観た映画やらドラマやら、なにやら時々送ってみるのはどうでしょう。
もしもうやっているようなら、もう少し頻繁に。そして、ちょっとした言葉も時々。

私も言葉にしてコミュニケーションを取ることに苦手意識があるので、急に面と向かってしゃべれ! と言われても、それこそ急性胃腸炎になってしまいそうです。

次に実家に帰って実際に面と向かって話す前に、LINEなどで軽いジャブを打っておけたら、話しやすくなるかもしれませんね。

楽屋でおしゃべりしている時、友里ちゃんが実家帰省の際買っていくお土産のお菓子を、お兄さんはモグモグ食べると言ってましたね。

実家全体へのお土産とは別に、お兄さんのためだけのお土産を用意していってみてはどうですか?
カンタくんがサツキちゃんに傘を貸してくれる時のような感じで、今度は友里ちゃんがお兄さんに、そっとお菓子を渡してみて下さい。

会話といっても、声に出せば会話かというと、そればっかりじゃないと思います。
会って、気持ちを交わすことも、十分会話だと思う。
25年もブランクがあるのに急に喋りまくるのも、お互い怖いですものね。

意外とちゃんと準備したがりの友里ちゃんなので、そっとお菓子を渡すことに緊張しまた胃腸炎になられても困るので、ここは本番の舞台の上だと思って、お兄さんにバーン!とお菓子を渡して「食べな!!」と一歩を踏み出してみてください。

舞台上の友里ちゃんは、ガシガシと一歩を踏み出すことができてるのよ。

■ラッキー待ち受け

今回、友里ちゃんはたくさん写真を撮ってくれて、折に触れ送ってくれましたが、その中の1枚。なぜ後方の聖子さんと私がこんなに笑顔なのか、まったく覚えていませんが、友里ちゃんの表情と顔の比率と相まって妙に可笑しい写真。女子楽屋、楽しかったね。いや、気をつかわせてしまっていたかな? またいつか一緒の楽屋で楽しくすごせますように。

■川上友里さん今後の予定ニッポン放送プロデュース
はえぎわ番外公演「お化けの進くん」
作・演出:ノゾエ征爾
音楽:田中馨(Hei Tanaka)
2020年2/28(金)〜3/10(火)
会場:ニッポン放送 イマジン・スタジオ
詳細 → https://haegiwa.net

【筆者プロフィール】
池谷のぶえ
いけたにのぶえ94年より04年の解散まで劇団「猫ニャー」の劇団員として活動。解散後は、ケラリーノ・サンドロヴィッチ作品、NODA・MAP、蜷川幸雄演出作品など数多くの舞台に出演。

[出演情報]
【舞台】
「お勢、断行」(原案:江戸川乱歩、作・演出:倉持裕、音楽:斎藤ネコ)
2020年2月28日(金)〜3月11日 (水) 世田谷パブリックシアター ほか、愛知・島根・兵庫・香川・長野公演あり

【映画】
「屍人荘の殺人」(監督:木村ひさし)上演中

「グッドバイ〜嘘から始まる人生喜劇〜」(監督:成島出)
2020年2月14日(金)全国公開

【テレビ】
NHK「LIFE! presents 忍べ!右左エ門 〜THE SKY ATTACK〜」12月26日(木)22:00〜
NHK「LIFE!〜人生に捧げるコント〜」準レギュラー

 

▼▼▼今回より前の連載はこちらよりご覧ください。▼▼▼

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