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【池谷のぶえの「人生相談の館」】第30回 澤田育子さん(作家・演出家・女優)、藤田記子さん(女優)

むしろこっちが人生相談したい気持ち満々のコラム、「池谷のぶえの人生相談の館」です。

関東にも久しぶりに大きな台風が上陸中の深夜。
荒れ狂う自然の猛威に眠れやしないので、コラムをしたためております。

実家にいたころから雨戸が大好きですが…外界からの遮断感、いつだって夜になれる感、守られてる感…もちろん、いまの家も雨戸ありきの安心感ですが…近年都心などは、雨戸のある物件の方が少ないかもしれないですね。

みなさん、雨戸なしにどのように生きていらっしゃるのでしょう。
雨戸がないなんて、ノーブラのような感覚なのではないでしょうか。
都会のコンクリートジャングルはいまや、ノーブラジャングルな時代なのでしょうか。

なんでしょうか、ノーブラジャングルって。

さて、今回のご相談は、演劇の雨戸なぞ閉めたことがないであろう、なんなら毎回ノーブラジャングルで演劇に挑んでいるお2人からのご相談です。

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のぶちゃん!美魔女代表のぶちゃん!のぶちゃんが帝国劇場に出演したのを観た時の感動は未だ忘れません。記念に頂戴したヒヨコ柄の手ぬぐいも、ヒヨコが半分消えかけるほど愛用しており、未だ現役です!のぶちんとは、偶然街でバッタリ会って、そのままふらりと熱海あたりまで行っちゃったりしちゃったりして2人でダラダラ飲みたいです!美魔女のぶちゃんとのアポなしデートへの欲望は、悩みに溢れてるからこそかもしれません。。。カリスマ相談員のぶちゃん、早速ですが宜しくお願い致します!

私は、悪名高き『1口(ひとくち)オバケ』です。当然食いしん坊なわけですが、質や量より、種類に対する食いしん坊です。例えばお弁当の場合、丼物より松花堂弁当派です。1つの味でお腹を満たすことに抵抗があります。ずーっと同じ味より、可能な限り色んな味を食べたいです。天丼より天麩羅定食、カツ丼よりトンカツ定食!副菜が重要です。もちろん、家族や友人との外食ディナーはシェアを希望します。多くの種類の料理を頂けるのは、大人数での食事の醍醐味ですからネ!しかし、ちょっとしたランチなどの場合、個々人でのオーダーが主となることが多く、シェアがしにくい状況です。しかし、1口オバケは諦めません。遠慮なく、(自分のオーダーと異なる)友人の定食のメインや副菜、パスタやスープに対して、『1口ちょうだい!』とオネダリします。もちろん、私のも存分にあげます。あげることは一向に構いません。1口オバケはケチではないのです。あげるし、もらう。もらえなくても、あげたっていい。世界平和の基本です。しかし、この『1口ちょうだい!』に端を発して、『1口オバケ』と呼ばれ嫌われるわけです。1口オバケへのクレームが聞こえてきます。『自分でオーダーした料理を完食するまでの配分があるから、1口あげるのは嫌だ』『1口あげることで、予想していた胃袋の満たし方が出来なくなる』『他人がオーダーした料理に興味がないので、1口あげた代わりにひとくちもらっても、損した気分しかしない』『自分でオーダーした料理はとにかく1人で全部食べたい』…。
しかし、種類への食いしん坊は止まりません。みんな、色々な種類の料理を食べた方が心が豊かになると思うのですが…。そして、死んでもないのにオバケと呼ばれたくないです。
どうしたら良いのでしょうか。良きアドバイス宜しくお願い致します。

澤田育子さん(作家・演出家・女優)

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たしかにレオちゃん(と、澤田さんを普段の呼び方で呼ばせていただきます)が、食いしん坊だということは、うすうす気づいていました。

なんてったって、料理がべらぼうに上手い。それも、ありものでサササーッとつくってくれてしまう、そのどれもこれもが美味しかった…そんな記憶があります。

料理が上手な人で、食べることが嫌いな人はいません。よって、レオちゃんは確実に食いしん坊であることは間違いありません。

さて、それが1口オバケという現象になっている現状ですが、私も1口ちょうだいとは言わないものの、ラーメン、うどん、丼もの…など、ずっと同じ味が続くものは、2~3口食べたら違うものを食べたくなってしまいます。

なので、いろんなものを食べたい…というレオちゃんの気持ちもわかる一方、自分の頼んだ食事の配分をちゃんと考えたい…という欲望もあるため、途中で食事を分けることが発覚した場合、計画が狂うな…というちょっとしたストレスも感じます。

ということで、私はどちらの気持ちも少しずつわかる程度なのですが、今回のご相談をいただいて調べてみたところ、1口オバケにストレスを抱えている方がわりと多いことに驚きました。

究極、「1口ちょうだい」と言われないために、相手と同じ食べ物を注文している…というツワモノまで。
最強の一口オバケなら、同じ食べ物でさえも「1口ちょうだい」と言えるのかもしれませんが。

レオちゃんも嫌がるように、「オバケ」という名称がついているということは、想定外に少し不安なことをされる…という印象なのかもしれません。

ならば、想定内ならどうでしょうか。
食べ物を注文する前から「私、必ず1口もらうからね。もちろん1口あげるけど」と高らかに宣言する。
「15日の午前2時34分に、白い着物着て、ずぶ濡れで必ず現れますね。もちろん一瞬だけっすから」とオバケから宣言されれば、それほど不安な気持ちにはなりません。
事前に言っておいてもらえれば、1口分ける前提でのメニュー選びも可能です。

もしくはまったく真逆に、「1口ちょうだい」とは言わない。
何も言わずに、まずは自分の1口を相手にあげて恩を売る。その際、「じゃあ私も1口ちょうだい」は厳禁です。
恩のみ。もしくは気。恩と気だけで1口をゲットするのです。
これなら、相手も能動的に1口あげることになるので、自己責任です。

とはいえ、気になる人、気にならない人、いろいろな受け止め方をするのが人間ですから、共存していくのは大変ですよね。

なので私は、レオちゃんに1口カフェもしくは居酒屋をつくっていただきたい。
カウンターに大皿料理をずらっと並べ、それぞれ好きなお料理をちょっとずつ選択でき、さらに選びきれなかったお料理が気になった場合にも、それを食べている人から1口いただくことがオバケと呼ばれないお店を。

私も常々、凹んだ時に叱咤激励してくれるコーチのいるお店や、安心できそうな人に気軽に抱きつけるお店や、とにかく褒めて頭をポンポンしてくれるお店が欲しいとずっと思っていますが、いつになっても誰もつくってはくれません。そろそろ、「ああ、そういうものは自分でつくるしかないんだな…」と思います。

私にはそんな商才ありゃしませんが、レオちゃんなら、お料理も上手だし、社交的だし、いつか本当にできそうな気がします。
お店ののれんに、「ひとくち 澤田」と書かれている未来も見えました。

もし、そんな現実的な回答なんざいらねぇよ! とっくに妄想したわ! というなら、口を5個くらいに小分けにする…という回答もご用意はしています。

同じ食べ物も5つの口に分けて食べれば、飽きないうちに食事も終えられますし、胃はひとつなので満腹にもなります。

ただ、顔以外の4個の口の配置をいろいろ考えないといけません。
顔に全部でもいいですが、いろいろ問題があると思いますし。
歯磨きも大変ですし、キスも大変になると思います。

いやでも、レオちゃんなら「5口ちょうだい!」とか言いそうですが…。

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のぶえさんへ

こんにちは!人生相談の館、いつも楽しく読んでおります!毎回、のぶえさんの的確な回答に舌を巻いております!のぶえさんなら、私を深い闇から救い出してくれるのではないか、と、藁をもすがる思いで相談いたします!何卒宜しくお願い致します!

9月26日から公演いたしますgood morning N°5「どうしようもなくて、衝動。」に向けて、毎日、稽古に勤しんでいるのですが、稽古着が、洗濯や着替えのローテーションの都合で、2日に1回くらい、全身ネズミ色一色になってしまい、脚本・演出の澤田育子さんに、「ネズミ」と呼ばれています。また、「ネズミ役なんて書いてないんだけど!」とか、「そんなにネズミ役やりたいなら、ネズミ役書いたほうがいいのかな。」とか、「藤田さんの役、全部、ネズミ役に書き換えようか?」と言われたりもしています。
私としては、ネズミ役がやりたいわけはなく、本当にたまたま、上下ともネズミ色になってしまっただけで、ネズミ役よりは人間の役の方がやりたいです。
お洒落なブランド物や色鮮やかなジャージを着て稽古をする人もいますが、私は、着心地のよいスウェットを好んで着ているせいもあるかも知れません。また、色もあまり主張がない方が、演出家の方も、目がチカチカしたりせずに、見やすいのではないか、と思ったりしているせいもあるかも知れません。
その結果、稽古着の下は、基本的にネズミ色のスウェットになってしまっています。
ちなみに、上に着るTシャツは、様々な劇団Tシャツです。

どうしたら、ネズミにならずに、人間として、演劇の稽古ができるでしょうか。何卒、ご回答お願い致します!

藤田記子さん(女優)

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稽古着は着心地重視…よくわかります。そして、あまり目立たないデザインにしようという気持ちも。

結果、ぷりたさん(と、藤田さんを普段の呼び方で呼ばせていただきます)の場合は、ネズミ色が多々になってしまうわけですね。

着心地重視とはいえ、結果的にネズミ色を選択してしまっている心理状態から探ってみましょう。

色占いによると、ネズミ色を選択する状態は
「消極的な気分になっている時です。なかなかやる気が出ず、自分を抑えて我慢している状態です。心の中にもやもやとした思いを抱えていて、悩みごとがある時に選びやすい色です」

とのこと。お稽古中などはそんな気持ちだらけですものね…自分でもはっきりしていない不安な気持ちが、ネズミ色の稽古着を選択しがちになってしまっているのかもしれません。

ネズミ色が与える印象は、
「曇り空のイメージがあり、憂鬱さや陰湿な印象を与えます」

とのこと。自分よりも演出家であるレオちゃんの方がネズミ色をずっと目にすることになるので、知らず知らずのうちにどんよりした印象を与えているのかもしれません。

しかし、
「ネズミ色は、コンクリートやアスファルトなどスタイリッシュで都会的なイメージを持ち合わせています」
「ネズミ色は、江戸時代には、粋でおしゃれな渋い色として人気がある色でした」

ともあります。
なんらかのコンクリートジャングルなファッションアイテムを加えることで、一気にスタイリッシュな雰囲気に化ける可能性があり、稽古場を江戸時代にタイムスリップすれば、粋な稽古着となるわけです。
ただし、これらの方法については、私以外の方に改めて相談してみてください。
私の手には負えません。

そして、ネズミ色の効果を最大限に発揮する方法としては、
「ネズミ色はポイントでさりげなく取り入れてこそ、その効果を発揮します。
灰色を目に見える範囲で使いすぎることは風水的にも良くないとされています」

とのことです。

さあ、ここまでくるとだいぶやれることは限られてきました。
ネズミ色が目につく面積を少なくするということだけです。

具体的には、

・ネズミ色の稽古着の面積がさりげない効果になるくらいの、すごい広い稽古場でお稽古する。
・江戸時代にタイムスリップする。
・乳頭、大事な部分だけをネズミ色のスウェット生地で隠す程度にする。

この3点です。

そして今回のご相談でもあったように、レオちゃんは食に限らず、一つの味(色)にも飽きてしまうのかもしれません。
肉、野菜、魚、デザート、お米、パン…一口ずつのアップリケを貼ってみるのもよいでしょう。

しかし、私が最高に見てみたいのは、ぷりさんが裸に全身ネズミ色に塗ってスウェットだって言い張る姿です。

いつか、good morning N°5で観られることを、楽しみにしています。

■ラッキー待ち受け

先日、日帰り旅行の際に出会った居酒屋さん「俺ジナル居酒屋 我むしゃら」。
俺ジナルさも、我むしゃらさもない自分としては、憧れる響きです。
この猛々しく、エネルギッシュな店名を見て、レオちゃんとぷりさんを思い浮かべました。私には到底できない表現力をもっている2人がいつも眩しいです。そして観る度に、自分もしっかりしなきゃ!とパワーをもらいます。
今回もとても楽しみです。お稽古、本番、言われなくたって必要以上にがんばると思うけど、がんばってね。

■澤田育子さん、藤田記子さん今後の予定

good morning N°5「どうしようもなくて、衝動。」
作・演出:澤田育子
音楽:金子隆博
出演:入江雅人
藤田記子/澤田育子
小林健一/千代田信一/野口かおる/岩城直弥/久保田南美/野口裕樹/高橋乱/二木二葉/古今夏海
池田有希子/MINAKO(米米CLUB)
声の友情出演:小林顕作

9/26(木)~10/7(月)
浅草九劇
詳細→ https://gmn5.com/

【筆者プロフィール】
池谷のぶえ
いけたにのぶえ94年より04年の解散まで劇団「猫ニャー」の劇団員として活動。解散後は、ケラリーノ・サンドロヴィッチ作品、NODA・MAP、蜷川幸雄演出作品など数多くの舞台に出演。

[出演情報]
【テレビドラマ】
NHK「LIFE!~人生に捧げるコント~」出演中
東海テレビ・フジテレビ系 土曜23時40分「リカ」10月5日スタート
TBS 火曜22時「G線上のあなたと私」10月15日スタート

▼▼▼今回より前の連載はこちらよりご覧ください。▼▼▼

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