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【池谷のぶえの「人生相談の館」】第24回 大久保ニューさん(漫画家)と皆戸麻衣さん(女優)

むしろこっちが人生相談したい気持ち満々のコラム、「池谷のぶえの人生相談の館」です。

前回コラムを執筆したバレンタインの頃は、お仕事がバッタバッタの日々でしたが、今回コラムを執筆しているホワイトデーの頃はゆ~ったりとした日々です。

仕事って寂しがりですよね。なぜにぎゅうっと塊になってやってくるのでしょうか。いくらでも暇な日があるのに。

寂しがりなのは仕事だけではありません。筋肉もです。
膝のリハビリで、2月から毎日、太ももと膝の内側を鍛える体操をしています。
そしてこれが、驚くほど地味で単調でつらい。しかし、筋肉は毎日かまってやらないとすぐに寂しがって拗ねてしまうらしいですね。

めんどくせぇ女子か!!

そしてその、めんどくせぇ女子とのつきあいは一生続くらしく…もう本当にうんざりです。

何が嫌いって、めんどくさいことが一番嫌いなのに…神様ってほんと上手に苦手なものを察知して与えてくれるものですね。

思わず、モヘアのセーターが似合うモテて然るべき女子だけが口にしていい言葉、「神様のいじわる…」という言葉が口をついてしまいそうです。

モテもしないのにそんな言葉を口にした日には、大罪です。一生つつしみます。それもめんどくせぇ…。

そんな極度の面倒くさがりの私にとっては、劇団を旗揚げるなんてとてつもないパワーのいる面倒くささは尊敬に値するわけですが、今回はそんなパワフルな2人の女性からのご相談です。

***

池谷さん、はじめまして☆
漫画家の大久保ニューです。

この春、池谷さんのお友達である皆戸麻衣さんとタッグを組み、劇団を旗揚げすることになりました。48歳にして憧れと勢いだけで結成してみたものの、わからないことだらけです。日々、色々な方々の助けをいただいて、なんとか稽古をしています。感謝&感謝な毎日です。そして、皆戸さんのご縁で、以前から読むのを楽しみにしていた池谷さんのコラムで人生相談ができるとのこと、心よりうれしいです!

先日、駅から稽古場に行く途中、皆戸さんがいきなり「見ました?」と問いかけてきました。何のことかと思ったら、今しがた三遊亭小遊三さんとすれ違ったらしいのです。私はまったく気づけませんでした。去年は、友達にテレビで見た千鳥の大悟さんの可愛さについて熱弁した後、喫茶店へ入って話していたら、友達がさかんに目で合図してくることがありました。ええ、私の隣の席が大悟さんだったのです。東京に住んでいると、よくあることらしいですが、いつも芸能人に気づくのは一緒にいた人で、私が発見できたことは一度もありません。芸能人どころか、友達も発見できません。いつの日か自分から「あ、あの人は!」と気づいてみたいのですが、何か気づけるコツはあるでしょうか。

大久保ニューさん(漫画家)
***

大久保ニューさん、はじめまして。
このような館ではじめてご挨拶させていただく失礼をお許しください。
いつもTwitter、楽しく拝見させていただいております。

この度は、旗揚げおめでとうございます。なんでも大久保さんは「ガラスの仮面」をご愛読とか。私も愛読者です。今度ぜひ熱く語り合いたいです。

せっかくですので、「ガラスの仮面」に例えて回答させていただくと、人は大きく分けると北島マヤか姫川亜弓、どちらかに分類されると思います。

上記のご相談を見るに、大久保さんはマヤ、皆戸さんは亜弓さんなのかもしれません。

例えば、三遊亭小遊三さん役を2人で争っていたとします。稽古の帰り道、亜弓さんは街で三遊亭小遊三さんを見つけ、「マヤ、三遊亭小遊三さんよ!」と伝えますが、その時マヤは「えー、するってぇと…」と三遊亭小遊三さんになりきっているのです。

例えば、千鳥の大悟さん役を2人で争っていたとします。稽古の帰り道、亜弓さんは喫茶店で千鳥の大悟さんを見つけ、「マヤ、千鳥の大悟さんよ!」と伝えますが、その時マヤは水の入ったコップが倒れる瞬間などからヒントを得て、千鳥の大悟さんの「可愛さ」について何かを掴んでいるのです。

きっと、大久保さんは千鳥の大悟さんの「可愛さ」を1位にピックアップしていたため、大久保さんが熱弁していた千鳥の大悟さんという「存在」を1位にピックアップしていたご友人の方が、大悟さんに気づいたのでしょう。

マヤ…どちらも大切よ…。でもあなたにしかできないことがある。うっ…(発作)
月影先生ならそうおっしゃるでしょう。

人と携わる時、その人のどこをどう捉えているか。これによる違いだと思います。
きっと、三遊亭小遊三さんという「存在」を捉えている比率が、大久保さんよりも皆戸さんの方が多かったのでしょう。
皆戸さんとはわりと長い間知り合いなのに、初めて知りましたが。

ただ、人間は一人で完璧な存在ではありません。だからたくさんの人間が必要なのだと思います。
マヤ的素質に秀でた人間と、亜弓的素質に秀でた人間が、互いを羨ましがり、補い合い、生きて行くしかないのだと思います。アルディスとオリゲルドのように。

そういう意味では、今回の劇団で大久保さんと皆戸さんがタッグを組むことは、まさにガラスの仮面ですね。とても楽しみです。

余談ですが、以前電車で向かいの椅子にどうにも叔母にそっくりな人がいて、時々こちらを見つめてきます。私も気になっていたので時々見つめたりしながら30分ほど経って同時に、「おばさん?」「のぶえ?」と確認したことがありました。

血がつながっていてさえ、気づくまでこのざまです。
ある意味、同時に確認できたところは血だなぁ…とも思いますが。

***

のぶえさんこんにちは!私の悩みを聞いてください。
最近なぜだか、よく口の内側を噛むのです。
食事中や、難しいセリフを言っている時ならそれも致し方ないと思うのですが、しょーもない独り言を口ずさもうとした瞬間や、何ならしゃべろうとも思っていない時ですら噛むのです。しかも結構激しめに。
口を開けてもいないのに!!
太ったのかなとも思ったのですが、今日、知り合ってまだ1週間しか経っていない人に「痩せた?』と聞かれたくらいなので、それはないと思います。
憧れのぷっくりほっぺたが手に入った訳でもないのに、どうしてこんな理不尽な目に合わないといけないのでしょうか?
口の内側って、噛むと本当に痛いんですよ!

私は4月の下旬に本番を控えた身です。
「老い」や「たるみ」などのネガティヴな言葉は聞きたくもありません。
どうか明るく夢のある言葉でアドバイスをお願いします。

皆戸麻衣さん(女優)

***

まずはっきり申し上げますと、「老化」です。
皆戸さんは最近、10の位に4という数字がつく素敵な年代に突入したと思いますが、その年代の先輩として言えることがあるとしたら、40代の筋肉はいままでの自分の筋肉と思うな。です。

まさしく、今回の劇団名ホテルニューみなとの、ニューみなとが始まったのだと自覚してください。

これからの筋肉は、いままでの自分とは思いもよらぬ動きをします。はたまた、動かなかったりします。40代からの「自分の筋肉」を、「自分」と同じ存在だと思うと辛い日々を過ごすことになります。「自分の筋肉」と「自分」は違う存在として生きて行くほうがお互いに幸せです。

たとえば、口を噛んでしまうようでしたら、皆戸さんが噛んでしまったのではなく、ニューみなとがそうしたかったのです。

と言ったものの、「老い」とか「たるみ」とかネガティヴな回答は嫌なのですよね。では女性が好きそうなスピリチュアル方面で行きましょう。

口関係にトラブルが起きる時に関係していることは、

・新しいことを受け入れられない。
・心の奥底で誰かを恨んでいる。
・言いたくないことを隠している。
・自分自身の認識や環境の問題。
・嫌悪感や罪悪感

などがあるそうです。
そしてこの中でも、「言いたくないことを隠している」時に口の中を噛むそうです。
隠してるの? ねえ? 隠してるんでしょう?

現実的な見解からだと、舌や口内のむくみが原因で、過剰な飲水や、空腹感を伴わない義務的な飲食をやめることだそうです。
飲んで食べてるの? ねえ? 飲んで食べてるんでしょう?

総合的な原因としては、
「言いたくないことを隠そうと口を塞ぎたい気持ちから、過剰な飲食が行われている」
ということになりますが、それではネガティヴなので、ポジティヴにまとめようと思います。

皆戸さん。
口、もう開けたり閉じたりしないでいいんだよ。
開けっぱなしでいこ☆彡

北島マヤと姫川亜弓、お2人の旗揚げ公演、紫のバラの人としてこっそり拝見させていただきます。

 

■ラッキー待ち受け

「ガラスの仮面」1巻で、真冬の海に落ちてしまった「椿姫」の舞台チケットを、マヤが飛び込んで取りに入った山下公園の海です。
ひどく落ち込んだ時などは、この海に飛び込むほどの情熱がないとお芝居やっちゃいけないんだ…と思ったりするので、このシーンは自分とお芝居のバロメーターになります。ほぼほぼ「んなことできるかい!!」というスタンスですが。
今回のコラムでは、「ガラスの仮面」ありきで回答しておりますので、まだ読んでない方は「?」部分もあったこと、お許しください。そして面白いのでぜひいつか読んでください。

■大久保ニューさんと皆戸麻衣さん今後の予定
ホテルニューみなと 旗揚げ公演
「メガシャークvs四姉妹」
作・演出:大久保ニュー
4/19(金)~21(日)@新宿眼科画廊

公式Twitter
https://twitter.com/hotemina_

 

【筆者プロフィール】
池谷のぶえ
いけたにのぶえ94年より04年の解散まで劇団「猫ニャー」の劇団員として活動。解散後は、ケラリーノ・サンドロヴィッチ作品、NODA・MAP、蜷川幸雄演出作品など数多くの舞台に出演。

[出演情報]
【舞台】
シス・カンパニー公演「恋のヴェネチア狂騒曲」(作:カルロ・ゴルドーニ、上演台本・演出:福田雄一)
7月5日(金)~7月28日(日)新国立劇場 中劇場

【テレビ】
テレビ東京系「執事 西園寺の名推理2」4月19日(金)20時スタート

▼▼▼今回より前の連載はこちらよりご覧ください。▼▼▼

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