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《TAKARAZUKA NEWS  PICKUP!》その2 宝塚音楽学校第108期生入学式開催!

宝塚音楽学校第108期生入学式開催!と宝塚スターの去就に思う

宝塚歌劇公式ニュースの中から特に注目すべき情報をサイト内で語っていく、《TAKARAZUKA NEWS PICKUP!》の第二回。

6月いっぱいの休演を発表している宝塚歌劇では、数珠つなぎのように次の歌劇団生を指名していく、メッセージ動画が毎日公開されて、そのちょっと意外だったりもする人選をはじめ、自然に人となりがにじみ出るメッセージ内容が、日々興趣を誘ってくれています。特に組を代表するトップコンビをはじめとした、ポスター入りをするスターたちだけではなく、幅広い人選が繰り広げられていて、こんな機会でもなければこうしてSNSを通して、一人ずつの話をゆっくり聞けることは、決して多くなかっただろう生徒さんたちの個性を知ることができる貴重な機会にもなっています。ここから、舞台の幕が開いてくれた暁にはこの人に注目したい…という印象が残る人たちも増えるばかりで、ますます舞台を待ち望む気持ちが高まります。

一方、6月5日、コロナ禍の為戦後初の延期となっていた宝塚歌劇団生を育成する「宝塚音楽学校」第108期生40名の入学式が執り行われました。ソーシャルディスタンスを守る為、私達観客側からはとても馴染み深い宝塚大劇場の入口に向かう大広間のようなロビーを使用し、校歌の斉唱も見送られる中ではあれ、宝塚歌劇団の明日のスターたちが晴れて音楽学校の入学を果たしたのは、とても嬉しいニュースでした。

例年春を告げる風物詩ともなっている合格発表も、今年はインターネット上でのみ行われた108期生ですが、音楽学校の小林公一校長が「異例尽くしの期になったからこそ、入学式から注目を集める期ともなったので、精進を重ね成長して欲しい」という趣旨の挨拶をしたように、確かに例年以上に大きな注目を集める入学式になったのではないかと思います。
何よりこうして、宝塚歌劇団全体が少しずつ前に向かっていることが実感できるニュースには、それ自体に大きな希望があります。エンターテイメントをめぐる環境はまだまだ予断を許しませんが、それでもきっと今日のニュースで久しぶりに見ることのできた宝塚大劇場のロビーに、必ずまた皆で集えると信じられ明るい話題に他なりませんでした。2年後、彼女たちが初舞台に立つ時には「あのコロナ禍の中入学した108期生」としてまたニュースになることは間違いなく、ここから大型のスターがたくさん生まれてくれることを期待したいです。

もちろんそれは、延期となっている花組公演『はいからさんが通る』で初舞台を踏む106期生、今日の入学式で新入生の胸に校章をつける伝統の儀式に臨めなかった107期生も同様で、この時期にじっと根に蓄えた栄養が、それぞれに花開いてくれると信じています。

そんな、静かに未来を見つめている宝塚歌劇では、この《TAKARAZUKA NEWS  PICKUP!》の第一回でお伝えしたように、退団を発表しているスターたちの退団日時も等しく延期になってくれていますが、ただ一人残念ながらこの期間に、宙組の新進男役スターなつ颯都が、宝塚歌劇団を卒業していきました。

なつ颯都は、2015年、劇団関係者から正式に「ちぎみゆ」という呼称が使われたほど、近年の宝塚歌劇でゴールデンコンビぶりで人気を博した早霧せいな&咲妃みゆコンビの退団公演でもあった、雪組公演『幕末太陽傳/Dramatic “S”!』で初舞台を踏んだ103期生。文字通り新進中の新進男役だった人ですが、2018年『異人たちのルネサンス─ダ・ヴィンチが描いた記憶─』(作・演出、田渕大輔)の新人公演で、芹香斗亜演じる重要人物ロレンツォ・デ・メディチ役に大抜擢。続く、2019年芹香主演の『群盗─Die Räuber─』(脚本・演出、小柳奈穂子)でも主人公カールの学友の一人ロルラーを演じて、ソロも取る活躍を見せるなど、早くから大きな注目を集めていた人材でした。
長身の男役揃いの宙組にあっても、全くひけを取らないスラリとしたスタイルも魅力で、今後の活躍がおおいに期待されていただけに、このコロナ禍のなかにあるからこそ、先々の人生設計を変更しにくかったのだろうか…とは思うものの、やはりお別れを言う時間も機会もないままの退団はとても残念なことでした。宙組の同期生夢白あや、亜音有星などの活躍もきっとここから更に、と感じられているだけに、一緒にますます高みに向かっていく姿が見たかったと思います。

もちろん退団はスターたち個人の人生の問題ですし、更に宝塚歌劇団の場合、多くは在団している年月よりも、その先の人生の方がずっと長いのですから、それぞれの決断には本人たちにしかわからない大きな理由や節目があると思います。それを尊重することこそ第一なのはもちろんなのですが、あの輝く舞台の一員になった時点で、誰かが必ず貴方を見ていて、ある意味ではもしかしたら貴方以上に、その宝塚人生に夢を賭け、熱い想いで応援しているということだけは、信じて欲しいと願います。だからこそ、許されるのならば次の人生にも幸多かれとエールを贈る時間をもらえたらなぁと、思わずにはいられません。遅ればせではありますが、なつ颯都さんが新たな人生でも輝いて下さることを祈っています。

そんな風にとても寂しかった退団のニュースが、この休演期間中の最初で最後の退団のお報せでありますようにと願いつつ、宝塚音楽学校始動のニュースに、更に次の、希望に満ちたニュースを心待ちにする今日この頃です。

【文/橘涼香】

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