魅力的なキャストで生まれ変わるミュージカル『ファントム』製作発表会見レポート!
2014年に主人公エリックを演じ好評を博した城田優が新たに演出も務めることが大きな話題を呼んでいるミュージカル『ファントム』が、11月9日~12月1日まで東京のTBS赤坂ACTシアターで、12月7日~16日、大阪の梅田芸術劇場メインホールで上演される。
ミュージカル『ファントム』は、ガストン・ルルーの怪奇小説「オペラ座の怪人」を原作に、アーサー・コピット脚本、モーリ—・イエストン作詞・作曲で1991年に初演されたミュージカル。先行したケン・ヒル版や、アンドリュー・ロイド=ウェーバー版の『オペラ座の怪人』とは異なり、異形に生まれついた主人公エリックが、なぜオペラ座の地下深くに隠れ潜み、「ファントム」と呼ばれるに至ったか?の人間ドラマに焦点を当てた物語と、美しい音楽が愛され世界各地のプロダクションで上演されている。日本では2004年に宝塚歌劇団宙組で初演され、2006年に花組、2011年に花組、2018年に雪組でと再演が繰り返される人気レパートリーに成長。また2008年には梅田芸術劇場のプロデュース公演もスタートし、男優と女優による上演も2008年、2010年、2014年と回を重ねて来た。
今回の2019年バージョンは、2014年にファントム役を演じて大好評を得た城田優が、ミュージカル『ファントム』としては世界で初めて主演と共に演出を手掛けることが大きな話題で、城田と共にWキャストでファントム役を演じる加藤和樹、ファントムに見出されるヒロインの歌姫クリスティーヌ・ダーエに愛希れいかと木下晴香、クリスティーヌをめぐってファントムの恋敵となるシャンドン伯爵に廣瀬友祐と木村達成という、今、ミュージカル界で最も熱い支持を集める面々がWキャストで登場。多彩な組み合わせと新演出による新たな『ファントム』の登場に、今、大きな期待が集まっている。
そんな作品の製作発表会見が、7月22日に都内で開かれ、城田優、加藤和樹、愛希れいか、木下晴香、廣瀬友祐、木村達成が登壇。公演への抱負を語った。
まず会見は、この会見だけの特別バージョンとして、本編ではファントムとクリスティーヌが歌うデュエットナンバー「You Are Music」= あなたこそ音楽を、加藤&愛希、城田&木下の二組のカップルが同時に歌う歌唱披露からスタート。実際の上演では共に同じ舞台に立つことはない、Wキャストが同時に名曲を歌いあう、貴重な機会に大きな拍手が贈られた。
続いて、主催者を代表して、梅田芸術劇場代表取締役社長木村有裕の挨拶があった。
木村 ミュージカル『ファントム』は91年に初演され、日本では2004年に宝塚歌劇団宙組で本邦初演されてから、昨年の雪組まで4回の上演がございますことは周知のことと存じます。一方で梅田芸術劇場のプロデュース版も2008年の初演以来再演を重ねて参りまして、この度共催各社とご一緒致しまして5年ぶりに4度目の上演をさせて頂けることになりました。前回ファントム役を務められました城田優さんが今回演出もして頂けることになりまして、世界で初めてこの作品で主演と演出を務めるという挑戦をしてくれるということで、本当に嬉しく私自身も期待をしているところでございます。ファントム役を務めた経験があるということで、『ファントム』の世界観を城田さんが身につけていらっしゃいますので、それを基にロンドンで活躍されている若手の衣装デザイナートム・ロジャーズを招聘致しまして、セット、衣装も一新したデザインになるということで、今続々とそのデザインがあがってきているところでございます。その素晴らしさも劇場でご覧いただけるのではないかと思っております。城田さんが主演と演出の二つの大役にチャレンジするということに加えまして、城田さんとWキャストでファントムとエリックという怪人と人間の二面性を表現する役に、新しく加藤和樹さんがチャレンジなさいます。そして愛希れいかさん、木下晴香さんがクリスティーヌ役、今をときめく可憐で華やかな二人が務めてくれます。更にシャンドン役は廣瀬友祐さんと木村達成さんというカッコいい二人が務める、色々な組み合わせで皆様に『ファントム』という作品をお届けできますので、皆様には大いに期待して11月9日の初日を楽しみにして頂きたいと思っております。この公演を大いに盛り上げ、大成功に結び付けるべくご協力を賜りますようどうぞよろしくお願い申し上げます。
続いて、モーリ—・イエストンから「『ファントム』がこうして日本で愛され新たな演出で進化していくのが光栄であり喜びです。城田優は知的であるだけでなく、感情を理解して描写する感受性がとても豊かです。ですからある種Crazyな発想でも良いと思いますので、今までに見たことがない、城田優ならではのオリジナリティが生きた『ファントム』を期待しています」とのコメント映像が寄せられた。
そしてステージは会見場となり、城田、加藤、愛希、木下、廣瀬、木村が改めて登壇。それぞれの挨拶から質疑応答へと引き継がれた。
【登壇者挨拶】
城田 率直に楽しみでしかないです。プレッシャーと言いますか、責任感も非常に重要なのですが、そこをどうにかここに座っていらっしゃる出演者の皆様と、すでに何度も打ち合わせを重ねさせて頂いて、支えてくださっているスタッフの皆様に引き続きサポートして頂きつつ、この『ファントム』という僕自身が愛する作品をより素晴らしい舞台にできるよう、これから11月の初日に向けて精一杯日々取り組んで参りたいと思っております。
加藤 今回城田優の下でこの『ファントム』という作品に携われるということは、自分にとってはとても大きな意味を持つことだと思っています。僕は本当の初舞台の時に彼とご一緒して、そんな彼とまたWキャストで、また演出も受ける。僕を知っている彼だからこそ一緒に作り上げられる役があると思います。それは僕だけではなくて、他の役者さんに対しても彼独自の見方、見え方というもので指導していくと思います。これは彼にもプレッシャーになってしまうし、自分でもプレッシャーになるのですが「今までで1番加藤和樹が良いと言わせる作品にする」と言いましたので!
城田 僕が(言った)ね!
加藤 はい。言いました! なので皆で演出家城田優にとことん向かい合って、最後までついていきたいと思っています。どうぞご期待下さい。
愛希 この『ファントム』という作品、そしてクリスティーヌというお役にはずっと憧れがありました。今回演出の城田優さんをはじめとする素敵なキャストの皆様と一緒にクリスティーヌ役で出演できること、本当に幸せに思っております。Wキャストの木下晴香ちゃんと一緒に精一杯努めて参りたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。
木下 演出の城田さんとたくさんお話させて頂いている中で、ここまでこの作品に対して、ミュージカルに対して熱い想いを持った演出家さんの下でこの作品に携われることの幸せをすごく感じていますし、とても光栄に思っています。私自身の姿としても新しい一面、衝撃的なクリスティーヌを皆さんにお届けできるように精一杯努めて参りたいと思います。よろしくお願い致します。
廣瀬 城田優演出版のミュージカル『ファントム』に出演できることを光栄に、また嬉しく思いますし、とても楽しみにしていました。この作品がこれまでにない新しい、より魅力的な作品になるように、ワン・ピースとして頑張っていきたいと思います。よろしくお願い致します。
木村 まずこの座組の一員として呼んで頂けたことを本当に嬉しく思います。そして今回城田優さんの演出ということで、僕からしたら自分の役を演じるだけで精一杯なのに、城田さんはファントムを演じながら演出もする、こんなに勉強させて頂ける座組はなかなかないので、色々なことを吸収しながらこの作品の一員として、素晴らしい作品にできるように頑張っていきたいと思います。よろしくお願い致します。
【質疑応答】
──モーリ・イエストンさんから力強いエールを受けての演出となりますが、具体的に今どのような演出プランを描かれていますか?
城田 演出プランに関しましては、ここで逐一話してしまうと皆様の楽しみを削いでしまうと言うか、僕的にとっておきたいものがあります。ただこれは演出家としての僕個人の意見ですが、ミュージカルを創る上で1番大事なのは「お芝居の歌」だと僕は思っています。以前に1度演出をさせて頂いた時にも、僕はそれを大前提に掲げていたのですが、歌を歌い上げるミュージカルを創りたいわけではなく、心情を訴えかけるミュージカルを創りたい。そんな中でこの素晴らしい『ファントム』というミュージカルの楽曲も、本当に心を打たれる、涙なしには見られないようなシーンもたくさん出てくるので、それを如何に心に届けられるか?が大事なことだと思っています。ですから出演者の皆様には「今までこんなに歌の感情を言われたことがない」というくらい、もしかしたら僕から注文があるかも知れないですね。1番大事にしたいのは、音楽で心を訴えるということで、それが僕の『ファントム』の第一のテーマです。もちろん他にも城田優ならではの『ファントム』の演出を、と言いましても、正直僕は誰も思いつかないようなことを思い付くような素晴らしい才能を持っているとは思っていませんし、自分なりに一生懸命考えたり、また、一生懸命考えずに浮かび上がったことをどれだけ面白くお伝えできるか。それはスタッフの方々と一緒に今まさに詰める作業をしているのですが、全て1人でやるというよりは、キャスト、スタッフの皆さんと寄り添いながら創っていけること、自分自身が役者をやっているので、そこが1番大事にしたいところではあります。
──加藤さん、今の「演出家・城田優」の話を聞いてどうですか?
加藤 今回の製作発表の為に話をしたのですが、その時にも今のような話を僕ら(パフォーマンスをした)三人に語ってくださって。とても共感できますし、彼自身も言っていたように、今まで経験したことのない現場になるのではないかな?という期待があります。
──城田さんはこの作品に思い入れがあるとのことでしたが、どういう魅力を感じて今回の演出に挑もうとなさっているのですか?
城田 『オペラ座の怪人』という原作に関しては、色々な戯曲が世界中で上演されていますが、僕もほぼほぼ有名なところは観ていると思います。その中でこのモーリー・イエストン版の素晴らしさというのは、やはり家族愛。「エリック」という名前がついている怪人の人生が描かれているところですね。「オペラ座の怪人」日本語に直訳すると「オペラ座のお化け」がどうして誕生したのか、彼がどうしてそうならなければならなかったのか?というところのストーリーが非常に心を打たれる。家族の物語がすごく重要になっているところがこの作品の魅力だと思います。モーリーの音楽が本当にそれを丁寧にかつ色々な切り口で描いていて、ナンバーが様々で、曲によって全く違う世界に連れていってくれるというところがとても好きです。ものすごく派手な演出の『オペラ座の怪人』もありますが、このモーリ—・イエストン版の素晴らしさは、音楽に於いてもただただ派手なだけではなく、哀愁ですとか、言葉にするのが難しいほどの細やかな感情をしっかりと描いているところだと思っています。物語としても同様で、2014年にさせて頂いた時に、まだこの作品をよくできるな、もっとできたなという悔いがありました。そこが再演をさせて頂きたい、更に演出のお話を頂けた時に、自分なりにこの世界を、自分が思う最大限の魅力をしっかりとお客様に伝えられるのではないかと思い、1本しか演出経験のないふつつか者ではありますが、演出・主演という非常に難易度の高いことを引き受けました。
──皆さんご自身の役どころのどこに演じ甲斐を感じていらっしゃいますか?
城田 エリックという役は今申し上げたように人間なんですね。「怪人」という、空想的な幻想的なイメージをもたれている「ファントム」というものにも実は心があって、すごく複雑な環境で育ち今に至る、という生い立ちが描かれていることがこの作品の魅力なのですが、同時に今回僕が描きたいものにエリックの狂気性があります。ただただ可哀想な人なのではなく、ここで育ったからこそ、何も知らないからこその無知故の残酷さ。子供にもよくあることだと思うのですが、そういった部分をより描くことで、人間の複雑な心模様のうつり方を掘り下げていけたらなと思っています。
加藤 僕はもちろん今回のファントムに関して言うと、城田が言うようにお客様に歌を届けるということが、音楽と共に在る彼にとってはすごく重要なことかなと思います。あとは人との関わり、愛し方というものがすごくやり甲斐があるのではないかな?ということを現時点では思っています。先ほど城田が言ったエリックがなぜフントムになっていったのか?という部分を、もっともっと彼(城田)と共に追求していきたいなと思っています。
愛希 クリスティーヌという役は真っ直ぐに夢を見て、純粋な女性なのですけれども、その中にエリックが感じる母性というものが彼女の魅力だなと私は思うので、そのバランスが演じる上ではすごく難しいと思いますが、そこにやり甲斐を感じます。一生懸命お稽古して母性を感じられる女性になったら良いなと思っています。
木下 まずはクリスティーヌの歌がすごく難しい楽曲が多い中で、如何に心をこめて歌うことができるか?というのが大きなチャレンジでもあるのですが、挑戦できることに対してワクワクしている自分もいます。クリスティーヌのキャラクターに関しては、前回2014年版の映像を拝見して印象的だったものに「彼女は無邪気すぎる」という台詞があって。そこが私にとってすごく印象に残った台詞で、彼女はシャンドンに対してもエリックに対しても恋をしたり、「顔を見せてください」と願い、また顔を見てしまった時の複雑な想いと揺れる心、それら全てを成り立たせる為に必要なものが、彼女の無邪気さなのかな?との思いがあります。まだ漠然とはしているのですが、そこを大切に演じていきたいです。
廣瀬 ええと、(城田に)どうなんでしょう?
城田 まだ台本もらってないものね!(笑)
廣瀬 今のところは歩き方を気をつけようかな?と(爆笑)。
城田 いや大事ですよ!大事です!伯爵だからね。
廣瀬 僕ガニ股気味なので(笑)まず歩き方を気をつけながらやっていきたいなと思うのですが、シャンドンはプレイボーイでもあるので、そんな彼が如何にクリスティーヌに惹かれていくところが魅力なんではないかと。(城田に)どうなんでしょう?(笑)
城田 その通りだと思います!プレイボーイのシャンドンがクリスティーヌに惹かれていく、その内心で何を感じているのかを是非見せて下さい!
廣瀬 はい!
木村 ファントムの恋敵の役ですので(ファントム役の)お二人の魅力に負けないように、しっかりとした魅力を舞台上で出して行けるように!
城田 しっかりとした魅力とはどういう?(笑)
木村 やっぱりマスクも良く、身長も高く、歌も演技も最高のお二人なので、そこら辺を負けないように舞台上で闘っていきたいと思います。
──Wキャストのお二人がお互いに感じている魅力は?
城田 先ほど加藤が申しましたが、僕が19歳、彼が20歳の時にご一緒しまして、そこから7、8年の時を経て『ロミオ&ジュリエット』のティボルトという役でまたWキャストで、そして今回初めて演出をさせて頂く。その彼の1番の魅力は、ひたすら真っ直ぐに不器用なところだと思っています。不器用が故にひたすら真っ直ぐに、役柄や作品を追求、探求していく姿には非常に感心させられますし、今回エリックという人間も不器用です。そこが彼の武器になると思っていますし、僕は元々器用な方なので、そこでも色が全く違うエリックができるのではないか?と思っています。そしてその不器用な彼に、「僕が絶対に今までで1番素敵な和樹をつくっていくからと」メッセージを送りました。あとはなんて言ったっけ?
加藤 「色々と言うことがあるかも知れないけれども、信頼してついてきてください」と。
城田 はい、そうでした!やっぱり同じ役を演じる相手に対しては求めるものもすごく上がっていくので、そこがちょっと違う形で取られてしまうとね。嫌われたくないし(笑)、何よりも仲良くやっていきたいので、と少し脱線しましたが、彼のその不器用さとエリックの不器用さを重ね合わせた上で、十数年ミュージカルをやってきている彼の経験値と才能を信じ、新しい加藤和樹にしかできないエリックを是非やってもらいたいなと思っています。
加藤 城田優といえば、僕は最大の魅力は負けず嫌いだと思っていて。
城田 鼻じゃないの?
加藤 鼻じゃないって言うか(笑)もちろん全部魅力的なんですけれども、本当に昔からの付き合いで、昔からとてもとても負けず嫌いで、それを隠さないところがすごく魅力的だなと思います。できなくても何としてでもやってやる!という負けん気が彼のエネルギー源なのかなと思っています。だから彼にできないことなんてないんじゃないか?と思わせてくれるくらい、しかもただ虚勢を張るということだけではなくて、人として弱い部分、感情の部分もちゃんと見せてくれる。彼は人が好きなんです。人を愛するところも彼の魅力だと思いますし、そんな彼だからこそ心から信頼してついて行こうと思っています。愛のある人なところが魅力です。
愛希 まだ晴香ちゃんに会ってから3回目くらいなので、これから彼女をより深く知ることができるのが楽しみなのですけれども、彼女の歌っている姿を拝見して、やはり音楽、歌に対する彼女の愛、情熱というものをすごく感じて本当に素晴らしいなといつも思っているので、そこが素敵だなと勝手に思っています。普段はこんなに可愛らしいのに、歌っている時の目の強さをいつもすごいなと思っています。
木下 ありがとうございます! まずすごく活躍されている方なので、初めてお会いする時にどんな方なのかな?とドキドキしていたのですが、すごくお姉さんなのにチャーミングで「可愛いお姉さん」というのが第一印象でした。でも製作発表の為のお稽古をした時期に、すごく真剣に楽譜と向き合われている姿を拝見して、この努力があって今の素晴らしい姿があるのだなと感じています。存在感や舞台で放つ輝きをたくさん学ばせて頂きたいなと思います。
廣瀬 僕はミュージカル『ロミオ&ジュリエット』という作品で木村君と共演させてもらっているのですが、彼の最大の魅力はたぶん眉毛かなと。
城田 何を言ってるの!(笑)
廣瀬 いや本当に明るくて愛嬌がある、彼の人間力が僕はすごく羨ましくて、それが彼の魅力だと僕は思っています。ステージに立つ技術など以上に人として大きな魅力を常に放っている、人間力を持った人だと思っています。
木村 僕も『ロミオ&ジュリエット』でご一緒だったのですが、淡々と面白いことが言えるじゃないですか。なのでお笑いの師匠だと思っていて、本当に面白い方です。いつも楽屋で笑い合いながらふざけ合っていた善き先輩です。舞台上では僕が突き飛ばさないといけないシーンがあったのですが、僕が本当に突き飛ばさない限りは飛んでくれない。「僕の気持ちをちゃんと動かしてくれよ!」というリアルなお芝居の表現をさせてくださる、熱いハートを持った方だと思います。
──名曲揃いの作品ですが、ご自分が歌われる曲ではなくても良いので、この曲がお気に入りというものを教えてください。
城田 本当に選べないくらいたくさん良い曲があるのですが、自分が歌う曲としては「My Mother Bore Me」 母は僕を産んだというタイトルのものです。ファントムの心情がカチカチと入れ替わっていくのが、恐ろしくもあり愛おしくもあり悲しくもある。また個人的にすごく好きなのは前回から入った新曲の「Beautiful Boy」で、クリスティーヌ、もしくはエリックの母のベラドーヴァが歌う曲なのですが、そこから「You Are Music 」に流れるとろこが思い出しても鳥肌が立つくらいすごく美しいメロディーで、悲しさもあって大好きです。
加藤 僕はファントムとキャリエールが歌う「You Are My Own」がとても印象に残っています。先日宝塚版の『ファントム』を観劇させて頂いた時に、ちょっとウルっときてしまいまして、なんて素敵な関係性なんだろうと、そしてそれを曲の中でちゃんと表現されていて、あぁ、これを自分がやるんだな、果たしてどこまで創り上げていけるだろう、と感じたのをすごく覚えています。
愛希 私も加藤さんと一緒で「You Are My Own」です。あの父と子のシーンは涙なしには見られないので、あの曲をまた聞けるというのが幸せです。
木下 私が歌わせて頂く曲だと「My True Love」が好きで、物語の後半でエリックに仮面を外したお顔を見せてくださいという真摯な想いを伝える曲なのですが、そこがやっぱり物語のポイント、キーになるところだと思うので大切に歌いたいと思う、好きな曲です。
ここで残念ながら時間切れとなり、廣瀬が「(好きな曲は)まだ決めていません」と笑わせる中、最後に城田から「本日はお忙しい中ありがとうございました。短時間ではありましたが恐らく十分に僕らの『ファントム』に対する愛や想いは伝わったと思います。先ほど申しましたように今絶賛制作中と言いますか、頭の中にあるものを具現化する作業の最中なので、まだ自信を持って100%で皆様にお届けできる状態ではないのですが、これからスタッフとキャストと心をひとつに『ファントム』というミュージカルをより素晴らしい、そしてオリジナルな「世界でこんな『ファントム』観たこがない!」という、これまでにやったことがないことをたくさん散りばめていけたらなと思っています。是非ご期待下さい。そしてこの作品を通して、愛や生きる上でのポジティブなエネルギーを、素敵なメッセージをお届けできるように頑張っていきたいと思います」という力強い挨拶で締めくくられ、公演への期待の高まる時間となっていた。
【公演情報】
ミュージカル『ファントム』
原作◇ガストン・ルルー
脚本◇アーサー・コピット
作詞・作曲◇モーリー・イエストン
演出◇城田優
出演◇加藤和樹/城田優(Wキャスト)
愛希れいか/木下晴香(Wキャスト)
廣瀬友祐/木村達也(Wキャスト)
エリアンナ、エハラマサヒロ、佐藤玲
神尾佑、岡田浩暉 他
●11/9~12/1◎東京・TBS赤坂ACTシアター
〈料金〉S席 13,500円 A席 9,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉梅田芸術劇場 0570-077-039(10時~18時)
●12/7~16◎大阪・梅田芸術劇場メインホール
〈料金〉S席 13,500円 A席 9,000円 B席 5,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉梅田芸術劇場 06-6377-3800(10時~18時)
【取材・文・撮影/橘涼香】
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