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朗読劇『ラストダンスは私に』~岩谷時子生誕105年記念~ に出演! 凰稀かなめインタビュー 

朗読劇『ラストダンスは私に』~岩谷時子生誕105年記念〜に出演! 凰稀かなめインタビュー

宝塚トップスター越路吹雪に人生を賭けた 《日本の作詞家》《詩人》《翻訳家》岩谷時子。その生誕105年を記念した朗読劇『ラストダンスは私に』~岩谷時子生誕105年記念~が、8月27日~9月2日東京・ニッショーホール (旧ヤクルトホール)で上演される。

この作品は、岩谷時子の生誕105年を記念し、2019年に光文社より出版された「ラストダンスは私に 岩谷時子物語」の著者である村岡恵理が、自作を元に膨大な取材記録をさらに掘り下げ、今まで知られることのなかった岩谷時子の真実も表現しながら脚本化したもの。岩谷時子の生涯を、岩谷が手掛けたヒット曲の数々と共に、オーケストラをバックに、歌唱力と演技力を兼ね備えた出演者が歌と芝居と朗読で綴る、新しい形の朗読劇になっている。

そんな作品で主演の岩谷時子を演じる凰稀かなめが、作品にかける意気込みや、岩谷時子の言葉の魅力について語ってくれた。

岩谷時子その人を描く作品

──凰稀さんはこれまでにも、岩谷時子さんが作詞された楽曲だけで構成されたメモリアルコンサートなどに多数出演されていますが、そもそも岩谷さんとの出会いのきっかけはなんだったのですか?

きっかけと言えば、越路吹雪さんの名曲で綴るアルバムを作るというお話をいただいて、越路さんの歌を歌わせてもらったことですね。そこからいまおっしゃった岩谷さんの作詞された曲を集めたコンサートにも参加させていただくようになっていったので、出会いからはかれこれ5年くらいになると思います。

──そこから、岩谷さんご自身を演じることになったいまのお気持ちは?

これまではどちらかと言うと越路吹雪さんを描いた物語で、越路さんを支えた方として岩谷さんが登場する形のものが多かったと思うのですが、今回は岩谷さんその人の人生を描くということだったので、面白い題材だなと思いました。朗読劇ではあるのですが、動きのある芝居もありますし、沢山の歌なども組み込まれています。特にオーケストラの皆様もお入りになるということで、まだ台本をいただいたばかりなのですが、脚本や、演出の先生に色々な資料も見せていただけて、岩谷さんがインタビューを受けている映像などもお借りできたので、自分のなかで深めていけたらと思っています。とても穏やかな方だったとお伺いしていますし、はんなりという雰囲気なのですが、心のなかには熱いものをお持ちで、それが歌詞にも投影されている。特に越路さんと岩谷さんだけの会話は、お二人だけの、他の方には全く見せない特別なものだっただろうと思うので、そうしたお話も伺っていきたいです。

──その越路吹雪さんを演じられる方達も豪華ですね。

4名の方が演じられるのですが、宝塚の先輩の真琴つばささん、貴城けいさん、映像でもご活躍の酒井法子さん、友近さんと、皆さん私より先輩の方々なので、実際は岩谷さんより越路さんが6歳年下でいらっしゃいますから、そういうお二人の関係が自然に見えるように作り込まなければと、ワクワクしながらも緊張もあって、しっかりしないと、と思っています。きっと皆様それぞれ違う作り込みをされていらっしゃると思いますので、その方お一人おひとりとの空気感を大切にお芝居をさせていただけたらいいですね。

──凰稀さんご自身もWキャストで組み合わせが異なる演目を経験されていますが、やはり演じる人か変わるとお芝居そのものも変わっていきますか?

そうですね。特に今回越路さんと岩谷さんの会話の部分が多くお芝居仕立てになっていますので、それぞれとの面白さが出たらいいなと思っています。

──また、男性陣も個性豊かな方々ですが。

男性陣が越路さんのご主人をはじめとして、色々な役をされるんです。ですから演じる方によって大きな変化があると思いますし、その様々な登場人物とのお芝居もさせていただくので、そちらもお楽しみいただきたいです。

メロディーを聞くと歌詞が降りてくる

──フライヤーのビジュアルが目を引きますが、こちらを撮影された時はいかがでしたか?

撮影の時にこの扮装をしましたら、音楽プロデューサーさんがまるで岩谷さんを相手にしているように、色々と話しかけてこられたんです。でも何のお話なのかが私にはわかりませんから(笑)、「私、わからない」って何度も言ったんです。そうしたら、実際に岩谷さんの晩年の口癖が「私、わからない」だったそうで!「本当にその通りに言っていたよ」と言われて、その一瞬で降りてきた感じがありました。とまで言うと言い過ぎなんですけど(笑)。岩谷さんが20代の時から、71歳までを演じるので、その年月も声で表現できたらいいなと思います。岩谷さんが実際に机で作業されていた時に、絶対に置いていらしたものも置かれるそうですし、直筆の作詞など、今まで世に出していなかった貴重なものが登場します。映像、オーケストラ、歌、芝居、朗読、すべてが入った色々なコラボレーションになりますから、見応えがあると思います。

──その中で、改めて岩谷さんの紡がれた言葉の魅力をどう感じますか?

日記ではないですけれども、岩谷さんがリアルに体感されたことが、そのまま言葉として出てこられているのを感じます。越路さんが歌われる歌の訳詞を最初にされたのが岩谷さんですが、例えば「サン・トワ・マミー」で「二人の恋は終わったのね」と書かれていて、その「終わったのね」という言葉遣いですかと、「〇〇なのよ」という歌詞もたくさんあり、当時の作詞の概念にはない言葉だったので、音楽業界にも衝撃を与えたとお聞きしています。そういう言葉を使われていきながら、ミュージカルの作詞や訳詞もされるようになって。現場で「ちょっとこの言葉が歌いづらい」などの要望があったら、すぐその場で変えられるという柔軟さもおありで。歌っていてもメロディーにリアルに言葉が乗っているなといつも感じています。


「先メロ」と言って、曲が届いてから歌詞を乗せられていたそうなのですが、メロディーを聞くと歌詞が降ってくるんだと脚本家の先生からお聞きしました。考えるのではなくて降りてくるそうなので、天才的な方なんだなと思っています。でもご結婚もなさいませんでしたし、兄弟姉妹もいらっしゃらず、ずっとお一人でいらしたところに、越路吹雪さんと出会い、人生に明かりが灯った、自分には生きる意味があると思ったと言われていたのですが、その越路さんがご結婚されて再び一人になられた時に、その孤独を歌詞にのせていき、そこに生きる意味を見出していかれた。孤独だからこそ思いの全てを歌詞に投影させられるという意味のことをおっしゃっていたそうなので、本当に心で思っていらしたことが歌詞に書かれていたんだろうと歌っていた時にも感じました。

──降りてくるというのは、すごいことですね。

「愛の讃歌」もフランス語はわからないので訳詞はできないとおっしゃったところ、作詞で構わないと言われてはじめて作詞されたものですけれども、「ではメロディーをもう1回聞かせてください」と弾いてもらったら「あなたの燃える手で…」からスーッと全部出てきたそうなんです。

──ちょっと信じられないほどですよね。いま「愛の讃歌」というと、日本人だったらほとんどの人がまず岩谷さんの作詞バージョンを思い起こすだろうな、というほどずっと歌い継がれている名歌詞が、そんな風に生まれ出るなんて。

ですから本当に天才なんだなと思います。先ほど申し上げた「サン・トワ・マミー」も、5年前に歌わせていただいた時と、いままた歌わせていただく時とでは私の歌詞の捉え方が変わっているんですね。もちろんその5年間の間にも何回か歌わせていただいていますが、その都度気持ちが変わっているのを感じたので、どんな年代でも歌える歌詞なんだなと思います。

──凰稀さんご自身が経験を積まれていくことで、歌詞に感じるものが変化していく?

自分の年齢があがっていくこともありますし、色々な役との出会いで考え方なども変わってきているので、そういう変化を特に越路さんの曲、岩谷さんの作詞のものを歌う時には強く感じます。気持ちに刺さるところが変化していく、どんな年代でもそれぞれの捉え方ができるのは本当にすごいなと思っています。

愛されるよりは愛することを

──朗読劇もいま本当に様々なスタイルが生まれるようになりましたね。

はじめは椅子に座って台本を読み合うものが朗読劇だったと思いますが、動きが入ったり、歌が入ったり、どんどん進化していて、いまもまだ進化中なのかなと思っています。今回は映像も入りますし、お芝居感覚で動きも多く、オーケストラをバックに登場人物の皆さんが様々な曲も歌われるので、見ても聞いても楽しいものになっていくと思います。特に生オーケストラでというのはかなり贅沢なんじゃないかなと。

──凰稀さんご自身はお芝居の時と、朗読劇の時で演じるということについては変わりないのでしょうか。

一緒ですね。ただ今回は冒頭が70代の岩谷さんからスタートして、若い時代を回想していき、最終的に越路さんが亡くなられたあとまで続いていくのですが、基本としては回想シーンがお芝居仕立てになっているんです。ですから朗読と芝居が交互にきたりしますので、そのメリハリの付け方ですとか、ご覧になる方に如何にわかりやすく観ていただけるかを、これからどんどんお稽古で詰めていきたいと思っています。

──お話を伺うと、本当に贅沢な舞台になりそうで、まだ難しい時代が続いているからこそ、こうした作品が用意されていることは大きな喜びです。

そう言ってもらえるのは嬉しいですね。やはりコロナ禍になってしまってからの1年半以上、お芝居を上演すること自体に様々なご意見がありました。不要不急のものとも言われましたし、感染を拡大するのでは?という懸念のご意見をいただいたこともあります。確かに感染状況は未だに厳しいですし、上演が延期になっている舞台も色々あります。でもそのなかでも上演できた作品をご覧いただいた方々からは「観られて良かった!」ですとか、「元気をもらいました!」というお声を多くいただけたので、今回も少しでもたくさんの方に楽しい気持ちになっていただきたいと思っています。こういう世の中だからこそ、楽しみがないとやっていけないですから。

──どうしても心が狭くなったり、刺々しくなったりしていることが、こういう舞台空間で違う世界を共有すると晴れるんです。その瞬間心が軽くなって、よし頑張ろうと思えると言うか。

ちょっとしたことで苛立ったりする、イヤな自分になっていっていること自体もイヤじゃないですか。今回の作品のなかでも、岩谷さんが「愛されるよりは愛することを、わたしが求めますように」という平和を求める祈りを聖書から学んで、亡くなるまでそれを貫き通したということも書かれていて。こういう人ってすごいな、こういう人になれたらいいなと思いながら、少しでも近づきたいと思っています。そういうことも舞台から感じていただけたらいいですね。

──内容を伺うほどに拝見できることが楽しみになりますが、ではこの舞台を楽しみにされている方々にメッセージをお願いします。

今回本当に新しい朗読劇になっていますので、是非これは観ていただきたいなと思っています。非常に難しい状況は続いていますが、だからこそ観ていただきたい作品なので、どうぞ観にきてくださいと言い切ります!感染対策はスタッフが総力をあげて頑張ってくださっていますし、私達演者も細心の注意をはらって、お客様に少しでも安心して観劇していだける環境を整えますので、皆で乗り越えていけたらと思っています。是非劇場にいらしてください!

おうきかなめ〇神奈川県出身。2000年宝塚歌劇団に入団。12年宙組トップスターに就任。『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』のラインハルト・フォン・ローエングラム『風と共に去りぬ』のレット・バトラー『うたかたの恋』のルドルフ皇太子『ベルサイユのばら』のオスカルなど、宝塚を代表する数々の作品で主演。15年宝塚歌劇団を退団後、コンサート『THE Beginning』で始動したのちは、舞台のみならず、テレビドラマ、映画、CDなどのアーティスト活動など多岐に渡る活躍を続けている。近年の主な舞台作品に『グッバイ・チャーリー』『モンテ・クリスト伯~黒き将軍とカトリーヌ~』『VOICARION Ⅸ 帝国声歌舞伎~信長の犬~』『屋根の上のバイオリン弾き』『エリザベートTAKARAZUKA25周年スペシャル・ガラ・コンサート』『CLUB SEVEN ZERO III』等があり、10月明治座『擾乱 THE PRINCESS OF SNOW AND BLOOD~陽いづる雪月花編~』への出演も控えている。18年『さよなら、チャーリー』の演技により第73回『文化庁芸術祭』新人賞受賞。

 

【公演情報】

朗読劇『ラストダンスは私に』~岩谷時子生誕105年記念~
脚本:村岡恵理
演出:門田頼枚
出演:(五十音順)
凰稀かなめ
酒井法子 / 貴城けい / 友近 / 真琴つばさ
井澤勇貴 / 岡幸二郎 / 藤田玲 / 横山だいすけ
かんこ / 空乃みゆ / 美翔かずき / 吉田来深
演奏:東京ニューシティ管弦楽団
●8/27~9/2◎ニッショーホール (旧ヤクルトホール)
※8/30休演日
※キャストスケジュールは公式サイトにて要確認
〈料金〉S席11,000円A席8,800円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
〈公式サイト〉https://www.jrock.jp/news/lastdance-iwatanitokiko-3/
〈公式Twitter〉https://twitter.com/iwatani_roudoku
〈お問い合わせ〉株式会社ジェイロック 03-5485-5555 (平日11:00~17:00)

 

【取材・文/橘涼香 撮影/中田智章】

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