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「レジェンドたちのシャンソン2019シリーズ」~歌と朗読で綴るシャンソン・ド・パリ~ 夏樹陽子インタビュー 

宝塚出身の大スター越路吹雪がデビューしたことで知られるヤマハホールで、2012年にスタートした「シャンソンコンサートシリーズ」は、越路と仲が良かったペギー葉山や宮城まり子などのスターが集まったことがきっかけとなって始まった。そして今では、宝塚歌劇団元トップスターたちも加わって繰り広げられる絢爛豪華なステージが、初夏の銀座の風物詩となっている。2019年は6月3日にスタート、7月公演では「朗誦(レシタシオン)」と演奏の共演が楽しめる企画になっている。

そのシリーズの7月20日のステージに夏樹陽子の出演が決定した。数多くの映画やドラマに出演し、女優としてのキャリアは誰もが知るところだが、シャンソン歌手としても活躍していて、夏樹が歌うシャンソンは軽妙で洒脱、エスプリが効いていると評価する人も多い。今回は、「シャンソン歌手」としての夏樹陽子に、シャンソンとの出会い、これからの目標などについて語ってもらった。

心に詞と思いが伝わる歌それがシャンソンだった

──「レジェンドたちのシャンソン2019シリーズ」に出演することになった経緯は?
このシリーズのプロデューサーの方から声をかけていただいたのがきっかけです。私は女優ですが、実は20年近く歌い続けていまして、私の歌を聴いてくださった『シャンソンマガジン』の編集長が「夏樹さんは上手い」と言ってくださったそうなんです。そのプロデューサーさんは、かつて越路さんのために作られた語り歌や芝居のような歌シリーズを上手く歌える人を探していたということで、私に声をかけてくださり、ぜひやらせてくださいということになりました。

──夏樹さんは女優としてのイメージが強かったので、歌を歌っていらっしゃったのは意外でした。
私は東映からデビューしたのですが、当時の東映では、女優も歌うものだという雰囲気があったので、デビューの時から歌っていました。例えば東映が主催するパーティ―で歌ったり、東映が経営していたゴルフ場のオープニングのショーを頼まれて、30分から1時間のショーを作ったこともありました。その頃からショーの構成はもちろん、譜面を頼むところから全部自分でやっていました。一時期構成作家に頼んだこともありましたが、結局自分で作ったほうがイメージ通りできるので、現在もミュージシャン選びからすべて自分自身で行っています。

──女優の仕事もしながら、すべてに関わるというのは大変そうですね。
でも私がやりたいことですし、自分の歌に関しては私自身が一番分かっていますから。もちろんプロの方にお願いするところもありますが、ライブの時は会場での自分の歌を確認して、「ここはピアノを立ててほしい」「ベースの音が小さすぎるからあげてほしい」など、必ず調整をしています。

──シャンソンというジャンルを選んだのは何か理由があるのでしょうか?
ジャズ、ミュージカル等も歌いますが、私は女優ですので、ただ歌うだけでなく、詞を伝える、気持ちや心を伝えるということがベースにないとダメだし、私らしくないと考えました。それを表現するにはシャンソンの世界が一番だと思ったのです。私は、ライブでは曲によっては歌う前に詩を語るようにしているんです。例えば『百万本のバラ』であれば、最初にナイチンゲールという小鳥の恋物語を皆さんに聞いていただくことで、心の中にイメージができて、より歌の世界に入ってもらいやすくなります。すべての歌がリズムに押されて終わってしまうのではなく、ちゃんと心に詞と思いが伝わる歌を歌っていきたいと思ったので、それにはシャンソンがぴったりなのです。

美輪明宏さんは師匠のような存在

──歌うことと演じることに違いはありますか?
同じです。私はデビューして数年後に美輪明宏さんと出会ったのですが、それからずっと美輪さんのコンサートやお芝居を欠かさず観て、勝手に師匠のような存在だと思ってきました。歌いながら演じるという点で、美輪さんの場合1曲1曲が一つのドラマになっているので、学ぶべきところが多いんです。私が歌う曲の中には、『ろくでなし』など越路吹雪さんの歌もあって、越路さんは華やかでステージングがすごくきれいで、吸収するところが多かったです。早くに亡くなられてしまってとても残念です。

──夏樹さんが歌う『愛の讃歌』を聴いて、女優さんが歌うと歌詞を伝える力がすごいと感じました。生のライブだとなおさらでしょうね。
あの『愛の讃歌』は、美輪さんの訳詞で歌っているんですよ。私はライブで歌う時に、なぜこの曲を選んだのかということをお客さまにお話しするようにしています。来てくださる方も、それを聞くことで人間性が垣間見えたりするのがいいような気がしますし、皆さんそれぞれに思い出があると思うので、そういうところに触れることができると思っています。

──「レジェンドたちのシャンソン2019シリーズ」で歌う曲は、『わが麗しき恋物語』『サンジャンの私の恋人』『霧笛』等4曲と聞いています。それぞれの曲のセレクトの理由は?
『わが麗しき恋物語』は一つの物語になっているところがいいですよね。『サンジャンの私の恋人』は美輪さんがずっと歌っていらして、とてもおしゃれな曲です。『霧笛』は、前回のライブで初めて歌いました。皆さんから「ドラマチックで夏樹さんに絶対合っている。」と感想を言われました。この曲はポルトガルのファドという民族歌謡で、アマリア・ロドリゲスの『難船』を日本語にしたものです。曲のメロディーに哀愁があるので、ライブで歌った時はギターの音色を生かしてみました。

アズナヴールのステージに「これを目指さなくては」と

──今回共演される方々は初共演ですか?
いいえ、皆さんと共演したことがありますからとても楽しみです。佐久間良子さんは本当にお久しぶりですし、中原丈雄さんとはドラマ、峰さを理さんはミュージカル『雪のプリンセス』で共演しました。安奈淳さんは歌のコンサートでご一緒しました。

──夏樹さんは宝石デザイナーとしても活躍していたり、国際C級ライセンスを持っていたり、本当に多才ですが、これからやってみたいことはありますか?
今与えられていることを精一杯、一生懸命やるということが大事だと思います。今、芽が出てきたものを、大事に育てていくという感覚ですね。実は7月に行うディナーショーでは、アコーディオンを弾きます。フランスのアコーディオン奏者、ミシェル・グラスコが、名古屋と横浜の公演を手伝ってくれることになったので、だったらミシェルとコラボしようと考えました。私が持っているのは鍵盤だけのアコーディオンなので、『パリの空の下』を演奏する予定なのですが、時間がないので大変ですね。でもアコーディオンを持っているだけで絵になるのじゃないかと(笑)。

──シャンソンに対する偏見をお持ちの方もいるかもしれませんが、そういう人たちに何を伝えたいですか?
シャンソンを歌っている人の中には眉間にしわを寄せて歌う方もいて、そういうふうに泥臭いものだと思っている人もいるかもしれません。でも昨年9月に有名なシャンソン歌手のシャルル・アズナヴールが来日したので、ライブに行ったのですが、すごく上品で、これが本物だと感じました。音の作り方がとても新しく、現代的でしたし、マイクの持ち方も、私がお手本にしている口元を隠さない持ち方です。そして『ラ・ボエーム』を歌った時に、ハンカチを持ってきて、腕にかけて絵描きを演じながら歌うんです。ちょっとしたさりげない小道具をうまく使っていましたね。そして一番驚いたのは94歳なのに、休まずに1時間45分歌いっぱなしというパワーで、椅子に一度軽く座っただけのステージでした。これにはびっくり。ところがこのコンサートの1週間後にアズナヴールは亡くなってしまって、結局最後のステージとなってしまいましたが。

──本物のシャンソンを伝えていきたいということですね。それでは公演にかける意気込みをお願いいたします。
人生と愛とを、歌を通して思い出とともに皆さんに楽しんでいただければと思います。これだけ俳優さんがそろっているコンサートも珍しいですし、俳優が歌うとこんなふうになるんだなという、新しい発見をしていただけるのではないかと思います。

【公演情報】

レジェンドたちのシャンソン2019シリーズ
~歌と朗読で綴るシャンソン・ド・パリ~
7月19日(金)15:00/18:30
7月20日(土)13:00/14:00
会場:銀座ヤマハホール

出演:
7月19日/水谷八重子、安奈淳、中原丈雄、高汐巴、日向薫、三浦浩一(昼公演のみ)、松村雄基(夜公演のみ)、美翔かずき、鳳真由(夜のみ)、輝城みつる
7月20日/佐久間良子(特別出演)、安奈淳、中原丈雄、夏樹陽子、峰さを理、平野りり子、美翔かずき、天宮菜生、輝城みつる

〈お問い合わせ〉https://apeople.world/prm/legend-chanson/2019/

 

【取材・文/咲田真菜 撮影/友澤綾乃 協力/マーサーブランチハウストウキョウ】

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