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音楽劇ライムライト』実咲凜音・矢崎広 インタビュー

矢崎広・実咲凜音

映画『ライムライト』でおなじみのあの世界が再び舞台に戻ってくる。

かつて一世を風靡した老芸人は、人生を悲観し自殺を図った若いバレリーナを助け、再び舞台に立たせる。しかし、スターに上り詰める彼女と入れ替わるように、老芸人は人生の舞台から退場しようとしていた……。

舞台人の儚い宿命と、残酷なまでに美しい愛の物語を、ノスタルジックに描いた不朽の名作。その舞台が、チャップリン生誕130年の記念すべき年に、アカデミー作曲賞を受賞した名曲“エターナリー”にのせて感動を甦らせる!

石丸幹二が、老芸人・カルヴェロ役に再び挑戦。そしてカルヴェロが愛情を注ぎ、想いを託すヒロインのバレリーナ・テリー役に扮する実咲凜音と、テリーに想いを寄せる作曲家・ネヴィル役の矢崎広は、共に今回の再演バージョンで新たに作品に加わる新鮮なキャスト。

片や元宝塚歌劇団宙組のトップ娘役、片やミュージカル界で確かな地歩を固めている若手俳優という2人が、新たに取り組む舞台と、初共演に際してのお互いの印象を語り合ってくれた。

不朽の名作に描かれる切ない人間模様

──音楽劇『ライムライト』に今回新たなキャストとして参加するにあたって、作品についてはどんな印象を?

矢崎 やはり不朽の名作と呼ばれている作品だけに、今観ても全く古さを感じさせないばかりか、逆に斬新だなと感じるものまであって。カルヴェロとテリーが出会った時の関係性がいつしか逆転していく。そこにネヴィルの想いも絡んでいくのですが、複雑な心の機微を描いているのに、ストーリーとしては全く難しくなく、スッと心に入ってくるのが、素晴らしいなと思いました。

実咲 私も物語と美しい曲に惹かれました。映画を観た時にも引きこまれて、あっという間に終わってしまうという感覚がありましたし、初演の舞台をリアルタイムでは拝見できなかったのですが、当時から「とても良かった」「すごく良い作品だよ」と観て来た方が、口々におっしゃっていたのをたくさんお聞きしていたので、今回そんな作品に携われることを、光栄だなと思っています。

──演じる役柄についてはいかがですか?

実咲 私はまず「バレリーナ」というところが挑戦だなと思いました。バレエはやっていましたが、トウシューズを履いてバレリーナとして舞台に立つというのは、やはり技術的に難しいものがあるので、まずそこを克服しなければと。またテリーは「死にたい」と思い詰めるほど精神的に追い込まれているところから始まって、カルヴェロに出会い、生きる力を取り戻し、やがてはそのカルヴェロを励ます側に立つようになる。1人の女性がそこまで変化していくだけの想いをカルヴェロから受け取ったのだと思います。そんな時に初恋の相手であるネヴィルに再会して、やはり揺れるものはあるでしょうし、どちらも嫌いになった訳ではない。そういう繊細な部分を表現したいですし、一言で言うなら本当に切ないなぁと思うので、そういった所をお客様にお届けできるようにしたいです。

矢崎 ネヴィルは売れない作曲家だったところから懸命に努力を重ねて、舞台の作曲ができるまでに至り、きっとこれからどんどん活躍していけるだろう、というところに昔恋い焦がれていた女性がヒロイン役として現れる。まさに彼女と自分は運命で結ばれていると思った時に、カルヴェロとの彼女の絆が見えてくるんですね。ですから演じる上では、石丸さんと自分との関係性もとても重要になってくると思いますが、まず自分としてはネヴィルの誠実さと共に、テリーに対する青年らしい真っ直ぐな恋というものを、きちんと創っていくことで役に近づいていきたいと思っています。物語の中でカルヴェロを中心に見た時には「恋のライバル」ということになるのかも知れませんが、そういう一面的な役割りとしてではなく、人間としてのネヴィルを息づかせていきたいです。

距離感が稽古場で変化していくのを楽しみに

──お互いの印象についてはどうですか?

矢崎 今日この取材の機会が、ほぼ「はじめまして」だったんですが、僕はとても楽しみになりました。すごくしっかりしていらっしゃるし。

実咲 しっかりしていないです!(周りに)しっかりしていないですよね?まだおわかりになっていらっしゃらないだけです。

矢崎 そんな同意を求めなくても(笑)。まぁ僕も「しっかりしてますね!」と言われたら「いや、全然してないです!」って言うと思いますから、そこは一緒ですけど(笑)。でも今日こうして直接作品への想いを聞けたことはとても大きくて、それをお聞きした上で、更に共演できることが楽しみになりました。

実咲 私も同じです。今はお互いに「はじめまして」の距離感ですけれども、お稽古が始まっていくとどんどん変わっていく予感がするので、楽しみにしています。

──初々しいお二人が、石丸さん始め錚々たる初演メンバーに加わることできっと、また新たな舞台が生まれるでしょうね。

実咲 私にとって石丸さんは常に客席から拝見してきた偉大なミュージカルスターで、その方の近くでお芝居をさせて頂ける機会ですから、たくさんのことを学びたいです。荻田先生とは宝塚時代にはご一緒することができなかったので、先生の創られる美しい世界に入っていけることも楽しみにしています。この作品には色々な愛の形が描かれているので、その世界観をたくさんの皆さんに感じて頂けるように、深く濃く作品の中で生きていきたいと思っています。

矢崎 世界初演の貴重な作品の再演ですし、映画でネヴィルを演じているのがチャップリンの息子さんだということを考えても、チャップリンの想いの詰まったこの役をさせて頂けるのは役者冥利に尽きるなと。石丸さん始め出演者の皆さんは尊敬する方達ばかりな上、演出の荻田さんにも、僕がまだ自分が目立つことしか考えていなかった時代からお世話になっているので(笑)、もう飾ることも隠すことも何もないですから、作品の中で精一杯生きて、登場人物それぞれの人生から発せられるメッセージをお届けできるように頑張りたいです。

矢崎広・実咲凜音

みさきりおん○09年宝塚歌劇団入団。歌唱力に優れた娘役として注目を集め、12年『銀河英雄伝説@TAKARAZUKA』のヒルダ役で宙組トップ娘役に。『ベルサイユのばら』のマリー・アントワネット、『王家に捧ぐ歌』のアイーダ、『エリザベート』のエリザベートなど、数々の大役を歴任。17年『王妃の館/VIVA!FESTA!』で退団後女優に転身、舞台を中心に映像へも活動の幅を広げている。近年の主な舞台作品に『屋根の上のヴァイオリン弾き』『ロジャース/ハート』等がある。

やざきひろし○山形県出身。04年『空色匂玉』月代王役でデビュー。舞台、テレビドラマ、映画など幅広く活躍している。近年の主な舞台作品にミュージカル『ロミオとジュリエット』、ミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』『人間風車』『Shakespeare’s R&J ~シェイクスピアのロミオとジュリエット~』ミュージカル『モニタリンGood!~それが大事~』『ジャージー・ボーイズ』『右まわりのおとこ』等がある。

 

【公演情報】

音楽劇『ライムライト』

原作・音楽◇チャールズ・チャップリン

上演台本◇大野裕之

音楽・編曲◇荻野清子

演出◇荻田浩一

出演◇石丸幹二 実咲凜音 矢崎広 

「吉野圭吾 植本純米 保坂知寿 ほか

●4/9~24◎日比谷・シアタークリエ

〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777(9時半~17時半)

[全国ツアー]

4/27~29◎大阪・梅田芸術劇場 シアター・ドラマシティ

5/2~3◎福岡・久留米シティプラザ ザ・グランドホール

5/5~6◎愛知・日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール

https://www.tohostage.com/limelight/

 

【取材・文/橘涼香 撮影/岩村美佳】

 

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