お芝居観るならまずはココ!雑誌『えんぶ』の情報サイト。

シアター・ドラマシティ30周年記念コンサート『Dramatic City“夢”』麻路さき・稔幸・愛月ひかる インタビュー!

宝塚歌劇団の様々な公演から、海外との大型プロジェクトなどの革新的公演までを次々と製作し、大阪の文化発信基地としての大きな役割を果たしている、大阪・梅田茶屋町の梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ。

1992年の開場から様々なエンターティメントを世に送り出してきたこの劇場が、今年映えある開場30周年を迎えるのを記念して、同劇場に縁の深い宝塚OGが集い、この劇場から発信さたれ作品の懐かしい楽曲、宝塚定番のナンバー、また新たな挑戦の楽曲を散りばめたスペシャルコンサート、シアター・ドラマシティ30周年記念コンサート『Dramatic City“夢”』が9月9日、10日東京建物Brillia HALLでの東京公演に続き、9月16日~18日大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演される。

この祝祭に満ちた公演を率いる、元宝塚歌劇団星組トップスターの麻路さきと稔幸、そして宝塚退団後、大きな新作舞台に初出演となる元星組男役スターの愛月ひかるが、シアター・ドラマシティの思い出や、新たなカンパニーで臨む舞台への抱負を語りあってくれた(※取材は稽古開始前に行われたものです)

愛月ひかる 麻路さき 稔幸

30年の歴史への驚きと嬉しさ

──シアター・ドラマシティ開場30周年とお聞きになった時の気持ちから教えて下さい。

麻路 私はシアター・ドラマシティのこけら落としから早い時期に、出させていただいていたので、月日が経つ早さをしみじみと感じました。確かに計算したら30年なんですけど、もうそんなに経ったのか、なんて早いんだろうという驚きがあって。初めてシアター・ドラマシティの舞台に立たせていただいたのが『ライト&シャドウ』という作品で、まだ星組の二番手男役時代でしたが、真新しい劇場を観ていますから、あれから30年か…という感慨があります。

 私もびっくりしました、30年なんですね。自分が退団して20年を昨年迎えて、それにもびっくりしたんですけど、さらにシアター・ドラマシティが30年ということで、歳をごまかしてきていたのにばれちゃったみたいな(爆笑)。

愛月 大好きな劇場なので、できてからそんなに経っているんだということにとても驚きました。ファン時代って大劇場公演以外の舞台までは、気持ちはあってもなかなか観にこられませんでしたから、そんなにも歴史ある劇場に立たせていただいていたんだな、ということに改めて驚いています。

──今のようになんでも中継してくれる時代ではなかったですから、東京のファンはプログラムだけを買って想像するのが精一杯でしたよね。その30周年記念という素晴らしい公演に参加されることになった時にはいかがでしたか?

麻路 まず呼んでいただいたことにすごく感謝しました。本当に30年間とても多くの公演数がある中から、私たちが出させていただけるということなので。私は『ライト&シャドウ』のあと、星組のトップスターになってから『Action!』という作品をシアター・ドラマシティでさせていただいているのですが、本当に楽しい思い出しかない、これでいいのか?と思うくらい、毎日笑いがいっぱいのなかで演じさせてもらっていたので、その頃のことも思い出してより楽しい気持ちになっています。

 私も『Action!』の時に、初めてシアター・ドラマシティに立たせていただいたのですが、やはり大劇場公演とは全く違った楽しさがあって。宝塚大劇場ではできないことに挑戦できる、役者として嬉しいシチュエーションでもありました。その後『聖夜物語─クリスマス・ストーリー-』と『Love Insurance』という自分の主演公演もさせていただきましたが、こんなこともやっちゃうんだ!というぐらいの内容にもチャレンジできたので、マリコさん(麻路の愛称)もおっしゃったように楽しい思い出しかない劇場です。ですから今回のお話をいただいて、そうした作品を思い出せるいい機会ですし、実はちょうど同じ時期に自分のソロコンサートの企画を立てていたのですが「ごめんなさい、ドラマシティ30周年公演に出させていだきます!」と、スケジュールを組み直しました。それくらい嬉しいお話でした。

愛月 私もまず本当にお声がけいただけたことが大変嬉しかったです。自分が宝塚に入るきっかけになった時代と言いますか、星組さんの公演はずっと観てきて「宝塚に入りたい!」と思ったので、大尊敬する先輩方と共演させていただけることが本当に嬉しくて「出たいです!」とすぐお返事させていただきました。

 

麻路さき

広い空間なのに客席をとても近く感じられる

──歌われる曲について、いまお話しできる範囲で教えていただけますか?

麻路 私は先ほどもお話した、シアター・ドラマシティでの出演作『ライト&シャドウ』の主題歌と、『Action!』からメドレーをやる予定です。あとは、チャレンジコーナーのようなものがありまして、歌ってみたい曲を訊いていただけたので、紅白歌合戦で感銘を受けた竹内まりやさんの「いのちの歌」を歌わせていただきます。これが私にとっては一番の挑戦になるかなと思っています。

 私も主演作の『聖夜物語─クリスマス・ストーリー-』の主題歌と、『Love Insurance』の劇中歌で、退団公演のサヨナラショーでも歌わせてもらった「風」という曲も歌わせていただきます。またシアター・ドラマシティを建てようとまず発案されたのが、小林公平先生で、今年が十三回忌にあたられるので、小林先生の作詞家名「公文健」作詞の楽曲を歌うコーナーもあって、そこでは「青い星の上で」を歌わせていただきます。

愛月 私は主演させていただいた木村信司先生の作品『不滅の棘』と、真風涼帆さん主演の『ヴァンパイア・サクセション』からの楽曲を歌わせていただきます。また小林先生のコーナーでは、唯一原案から手がけられた『コインブラ物語』の主題歌にチャレンジさせてもらえることになって。在団中に共演の機会もいただいた尊敬する轟悠さん主演公演の楽曲なので、精一杯頑張りたいです。

──懐かしい曲はもちろん、皆様それぞれにチャレンジの楽曲もあるということで期待がふくらみますが、シアター・ドラマシティという劇場そのものに対する思い出や、舞台に立って感じることはどうですか

麻路 私たちの時代は大劇場以外の公演自体がまだとても少なかったですし、公演期間も短かったので、少しずつ温まっていくと言うよりは、初日からとにかく全力でぶつかっていったという感覚でしたが、バウホールよりはかなり広いのですが、不思議に客席が近い印象があるんです。

 スタジアム形式なので、一番後ろの席までよく見えますよね。

麻路 そうなの。客席の皆様のお顔も本当によく見えます。

 『聖夜物語─クリスマス・ストーリー-』で最初に主演させていただいた時に、客席から出る場面が何回かあったりもして、バウホールは小劇場、シアター・ドラマシティは中劇場という感覚で捉えていますが、お客様とのコミュニケーションが取れる独特の空気感を楽しめた記憶があります。

愛月 お二人がおっしゃった通りなのですが、バウホールはとてもお芝居がしやすい劇場というイメージがありますが、シアター・ドラマシティはずっと規模が大きいのに、お芝居をしていてお客様の反応や、感じてくださっている雰囲気が伝わってくる劇場なので、私も大好きです。

──遠すぎず、近すぎずという感覚なのですね。

麻路 セットをしっかり組める広さがありつつ、お芝居をしていて小劇場と変わらない感覚になれるのが、本当に貴重だと思います。

 

稔幸

時代を超えて同じ舞台を作れる宝塚ならではの世界

──麻路さんと稔さんは現役時代からの盟友でいらっしゃいますが、今回退団されて間もない愛月さんも入られる座組で楽しみにしていることはどうですか?

 私はいつもマリコさんがいてくださるのが安心です。

麻路 ノルちゃん(稔の愛称)とは現役時代から、本当に一緒に歩いてきましたし、退団後もこうしたOG公演の場だけではなく、プライベートでもずっと親交が続いているのですが、これまで参加させていただいてきたOG公演には先輩方が大勢いらしたので、フライヤーをみてまずびっくりしたのが、私が最上級生?ということで(笑)。これまでは先輩方に任せて自分のことを一生懸命やっていれば良かった部分もあったので、今回はまず全員が団結して進めるカンパニーになれるように頑張らないと!と思っています。でも先ほど愛月さんが撮影しているのを見ていたら、やっぱり退団したばかりの方だから、体に現役時代の感覚が染みついているなぁと!私もとにかく、まずその記憶を取り戻さなければいけないと思いました。

 いやいや、全然変わってないから!

麻路 そんなことない!(笑)30年前とは全てが変わってしまっているので、同じことはできなくても、若い人たちのパワーを浴びてね!公演回数は少ないですが、せっかくこのカンパニーでできるので全員で集中してやれたらと思っています。一番上として、皆で仲良くやろうね!ということと、どんどん話し合っていける雰囲気を作っていきたいです。組長なので!

 私もメンバーが全員発表された時には驚いたのですが、時代を超えて星組の舞台に立ってきた愛月さんとこういう形でご縁ができるのがすごく嬉しいです。最近の舞台を客席から観ていたスターさんですから!

愛月 そんな、そんな!

 本当にそうよ!星組のバトンをつないでくれた北翔海莉さんもいらっしゃるし、時を超えて同じ舞台を作れるって、宝塚ならではの世界だと思いますので、お客様と共に楽しみながらひとつの作品を作り上げていけたらなと思っています。

愛月 私は一ファンに戻らないように、たくさん学ばせいただかなければ!と思っています。短い期間ですけれども、宝塚を退団して、新しい作品の舞台に一から関わらせていただくのはこの作品がはじめてなので、憧れの先輩方とご一緒に、新たに学びながら表現させていただける場があるのは本当に幸せだなと思っています。色々教えていただきたいです。

愛月ひかる

──また今回の演出は中村一徳先生ですが、演出に期待されているところは?

麻路 『エリザベート・ガラ・コンサート』の時に大変お世話になったのですが、現役時代は中村先生が新人公演の演出を担当されはじめた時に、私たちは新人公演をちょうど卒業したので、もちろんよく存じ上げてはいましたが、直接演出を受ける機会があまりありませんでしたから、すごく楽しみにしています。ただ中村先生は私たちにはすごく遠慮してくださって……私たち怖い?

愛月 そんなことはないです!!怖くないです!!

麻路 そう?(笑)中村先生は私たちには「これをやっていただけるでしょうか?」という感じなのよ!私は素直に「はいわかりました!」って申し上げるんだけどね(笑)。先生に楽に作っていただけるように頑張ります!

 私はディナーショーを担当していただいたことがあって、すごく情熱的な作品だったんですね。自分で初めて作詞した曲を歌わせていただいたり、ドラマ仕立てのシーンも作ったり、と、先生と色々ディスカッションをした記憶があります。今回も名曲を歌うだけではなく、とてもショーらしい場面もあるので、中村先生のショーはとても華やかですから期待しています。

愛月 私も退団する少し前の宝塚巴里祭を演出していただいたり、ショー作品でもご一緒させていただいていますが、中村先生は「どうやりたいか?」「どう作りたいか?」と生徒の意見をすごく聞いてくださる方なので、先生とまた色々お話しながら作っていけることがとても楽しみです。

──宝塚の舞台ですと、80人ぐらいの方が出ていらっしゃるなかで、スターさんはもちろんですが、できる限り全員の方に見せ場があるようにと腐心してくださる演出家さんですよね。

愛月 そうなんです。銀橋も本当に贅沢に使って、下級生までがちゃんと渡れるようにしてくださるなど、いつも本当に生徒一人ひとりのことを考えてくださいます。

──まして今回は少数精鋭の舞台ですから、皆さんがどれほどキラキラされているのかが、大変楽しみですが、では改めて楽しみに待たれている方々にメッセージをお願いします。

愛月 シアター・ドラマシティ30周年の素晴らしい記念の公演に出させていただけてとても幸せです。この気持ちを一番大切に、懐かしさと共に新しい曲にも挑戦させていただくので、皆さまにまた違ってものもお観せできるように頑張ってお稽古していきたいと思います。

 数々のOG公演に出演させていだだいてきましたが、シアター・ドラマシティにフォーカスした公演は初めてなので、私自身もシアター・ドラマシティでの楽しい思い出を胸に出演して、皆様と作品を盛り上げていきたいです。小林公平先生の十三回忌ということもあって、先生の宝塚に対する思いと、エンターティメントに対する情熱も込めて、時代を超えたタカラジェンヌたちが共演できることで、小林先生にも恩返しができるかなと思いますし、次の世代に繋げていけたらと思います。

麻路 ほとんど二人が言ってくれたので、私からはシアター・ドラマシティ30年分の様々な曲、私自身も聞いてみたいなと思う、これまであまり歌われてこなかった曲がたくさんありますから、お客様と同じドキドキ感を持ちながら、新しい舞台をこのカンパニーで作っていけたらと思っています。自分としても『ライト&シャドウ』や『Action!』の楽曲は、退団後ほぼほぼ使ったことがないので、それを劇場で歌えるのは本当に幸せですから、是非皆様とこの幸せを共有できたらと思っています。東京建物 Brillia HALLでの東京公演もありますので、それも併せて是非劇場にいらしてください!

■PROFILE■


あさじさき〇1983年宝塚歌劇団に入団。月組、星組を経て95年阪神淡路大震災後宝塚大劇場復興第一作目の『国境のない地図』で星組トップスターに就任。若手時代から定評のあった包容力あふれる骨太の男役として『エリザベート』『誠の群像』『ダルレークの恋』などで活躍した。98年退団後は結婚のためブラジルサンパウロに移住。03年に舞台復帰し、以後OG公演を中心に数々の舞台で活躍している。

みのるこう〇1985年宝塚劇団に入団。90年にNYラジオシティ公演選抜メンバーに選ばれるなど、若手時代から頭角を現し、98年星組トップスターに就任。『WEST SIDE STORY』『我が愛は山の彼方に』『花の業平』『ベルサイユのばら』など多数の作品で大きな足跡を残した。01年退団後は、OG公演を中心に活躍しながら画家、ガラス工芸作家等、アーティストとして活動している。

あいづきひかる〇2007年宝塚歌劇団に入団、宙組に配属。二枚目から悪役まで幅広い役を演じ分ける稀有な男役スターとして人気を博す。専科を経て星組に組替後も組の中核メンバーとして活躍し、21年『柳生忍法帖/モアー・ダンディズム!』で退団。22年「珠城りょう1stコンサート『CUORE』」にゲスト出演したのち、本作が退団後初の本格的舞台作品出演となる。10月ミュージカル『ファンタスティックス』エル・ガヨ役での出演が控えている。

【公演情報】
シアター・ドラマシティ30周年記念コンサート
『Dramatic City “夢”』
構成・演出:中村一徳(宝塚歌劇団)
出演:麻路さき 稔幸 和央ようか 風花舞  大鳥れい 北翔海莉 愛月ひかる
羽純るい 夢妃杏瑠 星吹彩翔 彩月つくし
●9/9~10◎東京建物 Brillia HALL(豊島区立芸術文化劇場)
〈料金〉S席11,500円 A席7,000円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
〈お問い合わせ〉梅田芸術劇場 0570-077-039(10:00~18:00)
●9/16~18◎梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
〈料金〉 11,500円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
〈お問い合わせ〉梅田芸術劇場 06-6377-3888(10:00~18:00)
〈公式サイト〉https://www.takarazuka-live-next.co.jp/stage/2022/dramacity30/

 

【取材・文/橘涼香 撮影/岩田えり】

記事を検索

宝塚ジャーナルの最新記事

『ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル』井上芳雄最終日の写真到着&再演発表!
稲垣吾郎主演舞台『多重露光』追加キャスト決定!
まもなく開幕!ミュージカル『アナスタシア』稽古場レポート&写真到着!
ミュージカル・ピカレスク『LUPIN ~カリオストロ伯爵夫人~』のメインビジュアル公開! 
「祭シリーズ」9年ぶりに出演!上口耕平インタビュー

旧ブログを見る

INFORMATION演劇キック概要

LINKえんぶの運営サイト

LINK公演情報