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【池谷のぶえの「人生相談の館」】第43回 河原雅彦さん(演出家・脚本家・俳優)

むしろこっちが人生相談したい気持ち満々のコラム、「池谷のぶえの人生相談の館」です。

私にとっては、9ヶ月ぶりの舞台、ねずみの三銃士「獣道一直線!!!」が無事開幕しました。

正直、情報解禁になるまでもやれるのか疑ってましたし、稽古予定や台本が送られてきても疑ってましたし、稽古が始まっても疑ってましたし、劇場に入っても疑ってましたし、初日が開いても疑ってましたし、結局いまだって疑ってます。

とても不思議な感覚なのですが、思いっきり本番をやってるのに、本番をやっているような気がしないのです。
どうしよう…なんか変な病気にでもなってしまったのでしょうか。

もちろん、舞台に立ってる最中は興奮しているとは思うのですが、その他の時間がとてもスンッ…としていて、コロナ以前の本番中のザワザワした心持ちが全くない。

あれですかね、飲みに行けないというのも関係するのでしょうかね。
あとは、観に来ていただいたお客様との面会ができないこととか。

コミュニケーションできるのが、お稽古場も本番も全く同じ方々だけという環境だから、本番な気がしないのかもしれません。

とはいえ、初日にたくさんのお客さんが座っている客席を見られて、とても嬉しかったことは本当です。

開場前、たくさんの劇場スタッフさんが劇場内を除菌してくださっている風景、私たちはお稽古や本番でマスクを外すことになりますが、スタッフさんたちはずっとマスク、小道具なども気をつかってティッシュで受け取って下さったり。
以前と違って、演じる側よりも、支えてくださっているスタッフさん側はいろいろお仕事が増えて大変だなぁ…と、お稽古と本番を通して実感します。

どうか、無事千穐楽まで完走できるように、会いたい人に会えないことや、飲みに行きたいのに行けないことをグググと我慢するのが、これからの演劇なのですね。

さて今回は、いままさに作品づくりをご一緒している方からのご相談です。

 

*****

獣道一直線では連日お世話になってます。河原です。
相談です。
辛いものが好きなのですが、食後、ひゃくぱ腹をくだします。
その傾向は強まっていて、食べてからくだすまでの時間が年々早まってきました。
これまでは、朝食べて夜くだす。昼食べて夜中くだす。夜中食べて早朝くだす。だったのに、今は食べてる最中に余裕でくだします。しかも複数回。
まだまだ辛ラーメンとか食べたいんです。
僕はこの先、辛いものとどう折り合いをつけていけばいいのでしょうか?

河原雅彦さん(演出家・脚本家・俳優)

*****

河原さんを初めてちゃんと認識したのは、フジタヴァンテ演劇フェスティバルの公開審査の時だったと思います。
調べたら1996年11月だったようなので、なんと24年前ですね。いま舞台ご一緒中の美月ちゃんが幼稚園に行ってるくらいの頃に、私たちはへんてこりんな演劇やってたんですね…。

審査の最終段階あたりで、参加団体側と審査員側がなにやら話し合いになった時、審査員たちを相手に河原さんが一人闘っていたことをとても覚えています。
闘っていた内容はまったく覚えていないのですが、ロングヘアーに鋭い目つきで頬に星のマークをつけ闘うその姿は、ぼんやりと演劇をやっていた我々の劇団にとっては衝撃的で、「何者なのだ!?」「怖い!!」とザワザワした覚えがあります。

その河原さん率いる「HIGHLEG JESUS」が繰り広げる世界は本当に刺激的で、怖いのに観に行ってしまい、また怖いのに観に行ってしまう…こちらが中毒患者のようになってしまう集団でありました。

とはいえ、何回も言いますがとにかく怖いので、なるべく近づきません。声をかけるなんて絶対しません。そんな風にしながらも、河原さんが講師、私が事務員。同じ作品で共演。河原さんが監督、私が出演でドラマ。など、微妙な距離感を保ちながら、ついに今回の公演へとたどり着きました。

正直、殺される覚悟で挑みましたが、なんて優しいのでしょう。
その優しさは、作品に対する優しさです。
「HIGHLEG JESUS」時代の演劇テロなイメージが強い河原さんが、登場人物の心情の流れにとても丁寧に演出するなんて、びっくりだったのです。そして感動だったのです。

今回の稽古中も、河原さんの一案が加わったことにより、モチベーションが上がった部分もありました。本当にありがとうございます。

さて、そんな河原さんからのご相談ですが、大好物な辛いものに年々弱くなっているご様子…もうこれは、その優しさが原因なのでは…? みたいに思えてきてしまいますね。

だって、20数年前の河原さんだったら、唐辛子を客席にぶち撒くことも想定内な気がしますし…私がたまたま観ていないだけで、もうやってたらすみません。

今回の作品をご一緒するまでは、辛いものなんかに負けやしない河原さんのイメージは十分ありました。
しかし、今回作品づくりをご一緒し、さらにご相談もいただくと、辛いものに弱くなってきている河原さんのイメージもしっくりきます。きっと、あらゆる粘膜も優しくなってきているのでしょう。

とはいえ、美味しいと思うものを食べられないほどつまらないことはありません。何としても食べて行きたいですよね。

辛いものを食べてお腹を下す際は、身体が防御システムを働かせ、辛い食べ物をとにかく早く身体から出そうと腸の中を速く移動させるため、水分を吸収するという通常の働きが作用せず、結果、お腹を下すことになってしまうそうです。

腸の動きを止めずに、腸内の水分バランスを調整する正露丸を、辛いものを食べる前に飲む、というのも手かもしれません。

さらに防御するのであれば、食前に牛乳を飲み、胃に粘膜を貼り、刺激物を浸透しづらくする。

さらにさらに、日ごろからできることとしては、日々少量のカプサイシンを摂取していくことによって、身体をならしていく方法もあるそうです。
お味噌汁やお蕎麦やおうどんなど、汁物に日々ちょっとずつ一味や七味をかけて、刺激に強い身体に改造していく。

さらにさらにさらに、下すのではないか…という恐怖に打ち勝つためには、もう「食べてから下す」を超えて、「下してから食べる」という概念で食べる。

そのサイクルが軌道に乗れば、究極、いったい何を食べて下したのかわからない…そんな桃源郷まで行けるかもしれません。

今回の作品でもしばしば登場する、自己肯定。
辛いものを食べるなら、「下すことを受け入れる」。
最終的にはこれに限ると思います。

とはいえ、同年代の私たちもあちこち身体がボロボロになってまいります。
まずは今回の作品が無事千穐楽までたどりつくよう。そして、またいつかどこかでご一緒させていただけるよう、お互い胃腸の粘膜を大事に、健康で生きてまいりましょう。

 

■ラッキー待ち受け

フジタヴァンテから24年後、河原さんに健康に気を付けましょうね…なんて話してるなんて、20代の私には想像できませんでした。
長く生きてみると、面白いこともありますね。
日々刺激物に慣れていく用の、なかなか刺激的なお粉を劇場にお持ちしますね。粘膜、鍛えてください!

■河原雅彦さん今後の予定
「オリエント急行殺人事件」
演出:河原雅彦
日程:2020年12月8日(火)~27日(日)
会場:Bunkamuraシアターコクーン
詳細→ https://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/20_orientexpress.html

 

【筆者プロフィール】
池谷のぶえ
いけたにのぶえ94年より04年の解散まで劇団「猫ニャー」の劇団員として活動。解散後は、ケラリーノ・サンドロヴィッチ作品、NODA・MAP、蜷川幸雄演出作品など数多くの舞台に出演。

[出演情報]

【舞台】
PARCO Produce PARCO劇場オープニング・シリーズ “ねずみの三銃士” 第4回企画公演「獣道一直線!!!」(作:宮藤官九郎、演出:河原雅彦)
2020年10月6日(火)~11月1日(日) 
PARCO劇場 ほか、長野・北海道・京都・福岡・高知・沖縄 公演あり
https://stage.parco.jp/program/judo/

【映画】
「浅田家!」(監督・脚本:中野量太)
公開中
https://asadake.jp

【映画】
「星の子」(監督・脚本:大森立嗣)
公開中
https://hoshi-no-ko.jp

【テレビ】
Eテレ アニメ「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」
毎週火曜 18:45~18:54
声:銭天堂の店主・紅子役
https://www6.nhk.or.jp/anime/program/detail.html?i=zenitendo

【テレビ】
日本テレビ「メグたんって魔法つかえるの?」再放送
毎週日曜 25:40〜
https://www.ntv.co.jp/megutan/

【テレビ】
NHK「LIFE!〜人生に捧げるコント〜」準レギュラー
https://www.nhk.or.jp/life/

【動画配信】紙芝居風ラジオドラマ
紙立体映画館「ローマの休日」

https://www.youtube.com/watch?v=-9NMgpRPYPk

「roomaの休日」zoom風収録風景バージョン
https://www.youtube.com/watch?v=6R_3w_dLiE4

【動画公開】イキウメ「外の道WIP」
https://sotonomichi.jp

【動画配信】無観客配信ライブ 入江雅人×池谷のぶえ 二人朗読「ローリングサンダーリーディング」
https://live.line.me/channels/2632380

 

▼▼▼今回より前の連載はこちらよりご覧ください。▼▼▼

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