【池谷のぶえの「人生相談の館」】第26回 もたい陽子さん(もたい村村長・女優)
むしろこっちが人生相談したい気持ち満々のコラム、「池谷のぶえの人生相談の館」です。
あと一週間で48歳になるわけですが、同じ誕生日の大竹まことさん、嶋大輔さん、庵野秀明さん、亀田史郎さん、ナオミ・キャンベルさん、東京スカイツリーさんも、おめでとうございます。
こう並べてみると…なかなかな…なかなかなメンバーですね。そんな中に入れていただき身が引き締まる思いです。
残り少ない40代を前に、まだやれてないこと…たくさんありますが、その中でも「人に迷惑をかける」ということを、重点的にやっていきたいと思っています。
じゃあこれまでかけてこなかったんかい! と言われると、そりゃいろいろかけてきたのではありますが、率先してはかけてこなかったと自負しています。
というか、怒られること、嫌われることが一番嫌いな自分としては、「人に迷惑をかける」なんて、一番怒られたり嫌われたりする状況じゃないですか。
でももうどんなに頑張って生きたって、あと40年ほどです。
いろいろ試して、挫折して今世を卒業するのも悪くない気がしてきました。やっと。
さてじゃあどうやって迷惑をかけるか…ですが、突然水をかけるとかではなんなら犯罪です。
捕まってしまっては、迷惑をかけることも全うできません。
犯罪につながりそうなこと以外で、私の中で最大の「人に迷惑をかける」といえば、「私から声をかける」ということです。
私から声をかけられて嬉しい人などいるはずがない…これだけは、きっと墓場まで持って行くであろう基礎部分です。
この基礎部分を少しずつ削ってみたいのです。それでガラガラと崩れてしまったら、それはそれで今世終わりでもいい。
ちょっと前から、少しずつ試していますが、みなさん概ね快く対応してくださる。でも、声をかける前にも後にも心臓がギューッと痛くなりますし、やっぱり撤回しようかとも思いますし、たとえ快く対応してくださっても「ああ、気をつかってくれたんだろうなぁ…」とガンガン思います。
でも、そうやって迷惑をかけてしまった分を貯金して、自分にかかる迷惑にも大らかに対応していけたらと思うのです。
こんなこと…みなさんもうとっくに自然にできてるんでしょうね…48歳になりそうなくせに池谷さん、なに言ってんだろ?…でしょうね。
私だって池谷さん本人じゃなかったら、なに言ってんだろ池谷さんですよ。
ということで、私の近辺にいる方々には近々ご迷惑をかけていきますので、すぐさま離れて行ってください。よろしくお願いいたします。
さて、今回のご相談はそんな私の春の迷惑「突然のお花見」に、忙しい中顔を出してくれたもたい陽子さんです。
*****
のぶえさん、こんにちは。
のぶえさん、大好きです。
さて、この6月に初めて演劇を企画して立ち上げることになりました。もたい村と言います。わたし村長になりました。
それからは、芝居を観に行く度に、ちゃんと作品がお届けできるのか不安。自分のお芝居が不安。お客様が来てくださるか不安。脚本を書くのも演出をするのも國吉さん(くによし組)にお任せしているのに、不安だらけです。
不安だらけの中、のぶえさんに悩みを相談する機会を頂けてとてもありがたいです。
お金もないのに何処かに行きたくてたまらないのですが、どうしたらいいでしょうか?
もともとは出不精で劇団時代の旅公演も宿と劇場の往復しかしていなかったのに、30半ばから旅行に出るのが大好きになってしまって、空の飛行機を眺めながらあれはどこに行くんだろう…と想いを馳せる始末です。
でも、旅に出るのはお金がかかります。行きたい想いと金銭が釣り合いません。
どうしたらいいでしょうか。
もたい陽子さん(もたい村村長・女優)
*****
お金…あらゆることを自由に実行するには、やはりお金は大きいですよね。
ただお金を得るには、働く、当たる、もらう…くらいしか手立てが思い浮かびません。
仮想通貨のように、新しいお金を誕生させる…という壮大な手立てもなくはないですが…。
まずは働いてお金を稼ぐ…こんな回答見たくもないと思いますが、一番現実的ですよね。
その次は、宝くじやら株やらで当てる…リスクを伴うので、なんなら旅行が遠のきますよね。
では、もらう。もうこれしか手段がないような気がします。
私が「人に迷惑をかける」ブームなので、迷惑をかけることに惹かれてしまっているのかもしれませんが、いろんな人に頼ってみてはどうでしょうか。
いろんな頼り方があると思います。
私の勝手なもたいさん像は、友達も知り合いもたくさんいて、面倒見もよくて、そして行動力があると見えています。全然違ったならごめんなさい。
でも全然違っていたとしても、そう見えるということはまんざら違うわけでもないはずです。
なので、きっと頼っていい人たちがたくさん周りにいるはずなのです。
まずは、その周りの人たちに、旅行したいのだということを言葉にしていく。
言葉にするとそれを拾ってくれる人が出てきます。
拾ってくれた人の提案がもしかしたら実現が難しいことかもしれませんが、その人とそうした交流をしたことすら旅行のはじまりです。
心にもないいいこと言えました!!
この調子で、どんどん心にもないことを言っていきましょう。
なんなら、お互い実現が厳しいね~という話になる場合もあるかもしれません。
でも、少し先の旅の話って、とても希望が持てますよね。
たとえそれが実現しないとしても、じゃあそのために頑張って働こうとか、じゃあそのために辛いことも乗り越えようとか、遠くを見ることができる。
逆に、遠くに不安なことがある時は、いまを見ればいいですし。
視点を変えるとほんの少し楽になるし、発見もある。
旅行に行くということも、ここじゃないどこかへ、新しい何かを、リセット…など、視点を変えたいという想いなのかもしれません。
そういう点では、今回のもたい村もなかなかな大旅行ですね。
演劇なんて旅行は、なんなら清々しい旅行というより、どうしたって途中濁々としがちな旅行です。
そんな旅行に一緒にテイクオフしてくれる仲間がいるなんて、素晴らしいことですね。
さあそこで、その演劇旅行を土台に、さらに頼りながらの旅行を実現させていくには、「もたい村ふるさと納税」計画です。
いいことっぽいこと言えました!!
ただ、具体的な内容まではまだゴールまでは見えていません。
しかし、まず響きがいい。
そして、何か展開ができそうだ。
もたい村に上演してほしいみなさんから納税していただき、そのお返しにどこか地方に公演を持っていくことが出来たら素晴らしいと思うのです。
それもこれも、以前もたいさんが東北の方で公演されていて、その様子がなんだかとても生き生きと楽しそうだな…と、感じたからなのです。
身軽に旅行したいという気持ちでご相談いただいたのだろうな…というのは重々承知なのですが、なんだかもたいさんという人の印象はいろんなことを巻き込んだ方が楽しいような気がします。もちろん、大変なことも多くなるとは思うのですが、それすらももたいさんの印象です。笑
今回の回答では完璧な答えがでませんが、「もたい村ふるさと納税」計画、閃いたらお話ししますね。
もと、村おこし会社勤務時代の血が燃えます。
■ラッキー待ち受け
旅行に行きたい…というご相談に回答しながら、旅行に来ております!!
ケンカ売ってんのかい!! となりますよね。すみません。
念願の「太陽の塔」に47歳でやっと来られました。なかなか時間はかかるものですね。お土産買っていきますね。
■もたい陽子さん今後の予定
もたい村第1回公演「タイトルロール・ワズ」
作・演出:國吉咲貴(くによし組)
日程:6/21(金)~23(日)
会場:新宿眼科画廊
詳細→ もたい村Twitter @motatokiku
【筆者プロフィール】
池谷のぶえ
いけたにのぶえ94年より04年の解散まで劇団「猫ニャー」の劇団員として活動。解散後は、ケラリーノ・サンドロヴィッチ作品、NODA・MAP、蜷川幸雄演出作品など数多くの舞台に出演。
[出演情報]
【舞台】
シス・カンパニー公演「恋のヴェネチア狂騒曲」(作:カルロ・ゴルドーニ、上演台本・演出:福田雄一)
7月5日(金)~7月28日(日)新国立劇場 中劇場
【テレビ】
テレビ東京系「執事 西園寺の名推理2」毎週金曜20時~
【映画】
「長いお別れ」(監督:中野量太) 5/31(金)公開
▼▼▼今回より前の連載はこちらよりご覧ください。▼▼▼
★単行本『贋作 女優/池谷のぶえ~涙の数だけ、愛を知る~』えんぶ★ショップにて独占販売中!
Tweet