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【フォトグラファースギノユキコ with えんぶ WEB CLOSE to my HEART】13 森戸宏明

えんぶにて脚本家・演出家・俳優を撮り続けて約20年(長期中抜け有り)。
いわゆる非日常を創作する彼ら・彼女らの姿を
日常的でありながら、そっと風変わりな目でつかまえるスギノの写真。
このコーナーではえんぶ誌面では掲載しきれなかった
“スギノお気に入り”の写真達とともに演劇人を紹介。
インタビュー&写真から現れるその心にフォーカス。

File.13 森戸宏明
(2020年10月取材/撮影)


“こんな人”がいると表現が豊かになっていく。

“喜劇”のようなものを作り続けて27年の歴史を持つ劇団動物電気の創立メンバーのひとり森戸宏明。 主役でもなく、脇役とも言いがたい独特の立ち位置で、不思議な存在感を醸し出し、“喜劇”をより豊かなものにしていく。 創作の場に“こんな人”がいると表現の幅がぐっと広がる! そんな森戸の曰く言いがたい存在、森戸の魅力に近づいてみたい。

高校演劇からの出発

――ご出身は東京ですよね。

多摩方面ですね。所沢で生まれて、小学校1年生に上がると同時に立川に引っ越して来ました。

――演劇に興味を持ったのはいつ頃ですか?

はっきり覚えてるのは、兄が家でセリフの練習をしていて「相手役のセリフを読んでくれ」って、頼まれて読んだら「お前セリフうまいな」って言われて(笑)。兄は高校演劇をやっていたので、それで僕も高校に入って芝居を始めました。

――動物電気のイメージからするとあんまり高校演劇とは結びつかないですね。

高校演劇と言っても、僕らがやってたのは第三舞台のほぼ真似みたいな感じなんですけどね。

――楽しくやってたんですね。

そうですね。コピーバンドみたいな感じで(笑)。

――じゃあ小劇場とかもご覧になってたんですか?

小さい所は……下北沢とかあんまり行かなかったです。

――でも楽しいスタートですね。で、大学は明治で、学部は?

演劇学専攻です。

――じゃあ4年間も演劇を勉強したわけですね。

はい。日本とか、西洋の演劇史とか……。

――そうですか、は~~~。

いや! でも不思議なくらい覚えてないんです。

――でも卒業したんですよね?

はい。でも授業でやったこと全く覚えてなくて。本当に卒業したのかなって今でも不安になります(笑)。

――(笑)。当時、仲間はもういたのですか?

いました。今も一緒にやっている、政岡(泰志)、姫野(洋志)は同じクラスで、高橋(拓自)は経営学部でした。小林(けんいち)は1年下ですね。

――で、みんなで活劇工房に入った?

部室があって、公演できるような教室もあったので、そこにしました。

なんか面白そう だからで27年

――動物電気は在学中に作ったんですか。

はい。活劇工房は2年生から3年生になるのと同時に引退なんですね。それでなんか「俺たち引退したけどやろうぜ」みたいなよくある流れで。

――じゃあ長いですね。20……

27年とかですね。

――すごいですね!

長いだけです(笑)。

――その頃、どんな演劇をやりたいとか、将来どんな風になりたいとかあったんですか?

う~~~ん。

――バリバリ“小劇場演劇”が盛んな頃ですよね。

そうですね。皆はあったのかもしれないですけど、僕は、なかったですね(笑)。なんか面白そうだからついていこう、みたいな感じでした。

――でも大学だから就職のこととかあるわけでしょ? 就職活動はしたんですか?

ほとんどしなかったですね(笑)。

――皆そんな感じで?

どうですかね? 就職活動した人なんて覚えてないですね(笑)。それに成功した人はその時点でたぶん演劇、辞めてます。

――そうですね。とりあえず演劇をしてるのが面白くてしょうがない、みたいなとこですか?

そうですね。劇団の年2回の公演と客演に呼ばれたりすると、稽古して本番やって、暇もそんなになく、ただただ金がなくなるっていう(笑)、大変な時期でした。

――学生の時はいいですけど、卒業すると色んな問題も出てきますよね?

ほんとですね。皆がどうやってきたのかわかんないですけど(笑)。

――すごいですね。それで27年間楽しく過ごせたなら!

ほんとですね。

――ここまで良い人生ですね。

(笑)ほんとですね。

――劇団を始めて何年間とかは、他に憧れてる集団とかあったんですか?

憧れ……う~~ん。

――あんな風になりたいとかは?

少しは観に行ったりとかしてましたけど、あんな風になりたいとかはあんまりなかった……ですね。

――劇団自体があんまりそういう事は考えなかった?

と、思いますね。どだいあんなことできないし、みたいな(笑)。

――まあ、そういう意味では動物電気は不思議な作風ですよね。それが森戸さんには合っていたんですね。

そうですね。

すぐに言えない 性格が幸いした?

――27年間やってきて、森戸さんなりにこれはちょっとやばいとか、もうやめようとか、考えたことはなかったんですか?

あったと思いますね。

――それはどんな時?

どんな時……お芝居終わって一息ついて、辞めますって手あげようとすると別の人に「僕辞めます」って言われちゃって、「今は言えないな」みたいな。そのままずるずると。

――良かったですね。すぐに言えない性格で。その間は何が面白くて、何が嫌だったんですかね?

そうですね。何だろう……。

――自分たちでも飽きちゃうっていうことはないんですか?

あっはっはっは! あったのかもしれないですね。

――逆に言ったらなんで続いてるんですかね?

うーん、何でだろう……僕まで辞めたら劇団が無くなっちゃうのかなとか思ったのかなぁ。

――責任感が強いんですね。

……と思います(笑)。まあ僕がいなくても、続くものは続くんでしょうけどね。

前よりやっていて 全然、楽しい

――実は僕、動物電気、途中で飽きちゃって、中期が抜けてるんですよ。最初の頃は結構観てて、でも何か、あんま変わんねえなって思っちゃって。すみません。

あっはっはっは!

――そういうお客さん他にもいると思うんですが……。

そう思います。同居人に言われたんですけど、「初見すごい面白いなって思う。で2回目行ってもまだ面白いなって。で3回目でアレアレ同じだぞってなって4回目から行かなくなる」って(笑)。

――で、途中抜けてて、ここ4、5回前かな、何となく行ってみたらすごい面白くて(笑)。「え~、ウソみたい!」って。わりと普通の喜劇を作っていくみたいなんですけど、どこかこう、欠落? プラスの欠落部分があって不思議なお話になっていくというのは、演劇界広しといえども動物電気ならではの、唯一無二の面白さですよね。ご自分達もそういうところを楽しんでるわけですね。

……まあ楽しむしかないですよね(笑)。

――どこかでお芝居の中身に変化があったんですか?

どこらへんからですかね。ある時、普通になんか家族というか、身の回りによくあるようなことをやってった方がいいんじゃないかと思ったんすかね。で、それが歳をとってきて自分らに合ってたんじゃないかと。

――でもまあ、今までやってきたトリッキーさ、ヘンテコな面白さは身についてるから。

それもやられずにはおれない(笑)。

――それがうまくハマったっていうことなんですかね。

そうですね。僕も前よりやってて全然、楽しいですね。なんか、う~ん、気楽とは言わないけど。

――そうですよね。みなさんの一生懸命さが素直に出てきて、すてきなお芝居になってますよね。その“気楽”の中心に森戸さんがいるような気がしています。

リモート演劇で垣間見た森戸の魅力

――この前にやったリモート演劇『さわるな! キケン! 演劇部』をなんとなく観て(笑)。あれ、森戸さんの戸惑う感じがよく出てましたよね(笑)。

(笑)……ご覧になりました?

――はい。

あれはもう本当に大変です。

――機械を操作するのが得意じゃないってことですか?

それもありますけど。

――ちゃんと流れがないとその場に居づらいってこと?

僕はやっぱり流れで芝居をやってしまうので。そうするともう……すっごい言われます(笑)。

――でもまあ、その戸惑いが森戸さんの特徴の一つで、それをキチッと芝居の中に落とし込んでいく、っていうのが森戸さんの魅力ですからね。

……(力弱く笑)。

――ところで、お兄さんはまだ演劇をやってるんですか?

兄は高校演劇でスパッと辞めて、今は某国立大学で理系の准教授をやってます(笑)。

――お兄さんは決断力があるんですね(笑)。

(笑)兄に心配されてます。年に1、2回くらいしか会わないんですけど。「大丈夫か、お前」って。

――いやいや弟は初志貫徹して、立派に面白い演劇作ってますよね。

(笑)。

来年6月は 駅前劇場で公演!

――では、基本的には動物電気そのものは、2年に1回の公演を続けて行ければいいんですかね。

そうですね、僕としては今の感じがとてもいいんじゃないか、と思いますけど。

――来年の6月に公演がありますね。

そうですね、駅前劇場なんですが。

――せっかく皆さんが期待してる時だからやりたいですね。

そうですね~。

――まだどんな話になるかはわからないんですか?

それはまだ政岡君の頭の中にしかないと思います。10月の終わり(取材は10月初旬)くらいに次回公演のことで集まるので、その時に「こんな話にしようと思うんだけど」ってなんとな~く言うんじゃないかな、と思います。

――わかりました。僕らも2年に1回、楽しみを積み重ねて行ければ嬉しいです。

【森戸宏明プロフィール】

もりとひろあき〇埼玉県出身、1973年生まれ。俳優。93年旗揚げより動物電気全作品に参加。的確なつっこみと多彩なキャラを演じるセンスは劇団の中枢ポジション。ブログの猫日記では意外な一面も。外部活動も意欲的に行う。

【出演予定】

動物電気2021初夏公演
『肉のマサオカ ~商売繁盛記!~』6/5~13◎下北沢駅前劇場

「肉のマサオカ ~商売繁盛記!~」公演詳細

【スギノユキコプロフィール】

すぎのゆきこ○神奈川県出身。
日本女子体育短期大学舞踊科卒業。
在学中に演劇好きな友人に連れられ
初観劇。たまたまその公演後オーディションがある事をチラシで知り、
勢い余って受けた事がある為、今でも爆風スランプRunnerが耳に入るとゾワゾワする。
通信社等を回り、写真を学ぶ。
instagram▶https://www.instagram.com/sugino_yukiko/?hl=ja

【構成◇坂口真人 文◇矢﨑亜希子 撮影◇スギノユキコ】

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