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いよいよ開幕!オリジナルミュージカル『ゴヤ -GOYA-』 仙名彩世インタビュー

スペイン最大の画家ゴヤの激動の半生を、今井翼主演で描くオリジナルミュージカル『ゴヤ -GOYA-』が、本日、4月8日から東京・日生劇場で幕を開ける。(29日まで。5月7日~9日、愛知・御園座でも上演)

オリジナルミュージカル『ゴヤ -GOYA-』は、フランス革命からナポレオンが世界で戦いを繰り広げた激動の時代。人生半ばで聴力を失いながらも「黒い絵」と総称される14枚の絵や「裸のマハ」などの傑作を生みだしたスペイン最大の画家フランシスコ・デ・ゴヤの画家としての人生だけではなく“人間ゴヤ”の波乱万丈な生き様、混沌とした社会の中で如何にして芸術家となっていったのか?に焦点をあてて、G2が書き下ろした新作ミュージカル。

演出に鈴木裕美、ミュージカルの作曲・音楽監督に初挑戦するピアニストの清塚信也と強力なスタッフ陣が集結。約1年半の休養期間を経て、復帰後の「初主演」を果たす今井翼をはじめ魅力的なキャストも揃い、全く新しい作品の創造に大きな期待が集まっている。

そんな作品で、ゴヤのパトロンとも愛人とも伝えられているアルバ公爵夫人を演じる、元宝塚歌劇団花組トップ娘役の仙名彩世に、作品や役への思い、また宝塚時代の貴重な経験について語ってもらった。

アルバには人の才能を見抜く力がある

──ミュージカル『ゴヤ -GOYA-』への出演が決まった時の気持ちを教えて下さい。

まずG2さんの脚本を鈴木裕美さんが演出される、しかも清塚信也さんが初めてオリジナルミュージカルの作曲を手掛けられるということをお聞きして、これは間違いなく大変熱量の高い作品ができるんだろうなと、大きな期待を持ちました。

──そこから今、実際にお稽古に入っていかがですか?

再演が繰り返されてきた歴史のある素晴らしい作品も数多くありますが、今回は一から作りあげるオリジナルミュージカルです。作品がひとつずつ立ち上がっていく現場にいますと、自分たちが先駆けなんだ、作品を自由に創れるんだという喜びを感じます。もちろん、だからこその難しさもあるのですが、色々な発想を働かせて、あらゆるところからヒントをもらい、自分の中で集約させていく作業はとても楽しいです。「やったもの勝ち」と言うと、直截な表現かもしれませんが(笑)、アンサンブルの方々も素晴らしいですし、「エチュード」として即興で作ってみて、そこから本格的な振付に入っていった場面もあり、皆さんの即興で作る力の大きさにも感動しています。

──その中で演じるアルバ公爵夫人についてはいかがですか?

スペイン有数の資産家ということでまず憧れますが(笑)、それだけに美術品などもきっとたくさん所蔵していて、芸術に触れる機会が多かったからこそ見る目も自然と養われていったのだろうなと。史実ではゴヤのパトロンであり、愛人関係にもあったのではないか?と伝えられていますが、今回の脚本の中では何よりもゴヤの才能に惹かれた女性として描かれていて。演出の鈴木裕美さんからも「アルバには先見の明があって、人の才能を見抜く力がある」と言われています。普通ですと画家が絵を描かなくなったら、もう芸術家としての生命は終わったと考えて見向きもしなくなると思うのですが、アルバはそうではなく、「あの才能を腐らせてはいけない」と、逆に乗り込んでいく。ゴヤの人生にとっても重要な役割を果たすので、責任ある、大変良い場面を与えていただいたなと感じています。アルバは生粋のスペイン人女性で、キムラ緑子さんが演じるフランスの血を継いでいる王妃様、マリア・ルイサをどこかで馬鹿にしてもいる。自分はスペイン人なんだという誇りも高いですし、流行にもとても敏感で、そういったところがコミカルに描かれている場面も多いので、個性的で強烈な女性として皆様の記憶に残るといいなとお稽古に励んでいます。コミカルな表現については色々と研究しているところですが、稽古場で皆さんが笑ってくださるととても嬉しくて!何かする度に反応してくださるのがありがたいです。

発想が発想を生む自由な稽古場

──ゴヤの人生を描くと伺うと、かなりシリアスなのかな?と思いますが、明るい場面も多いのですね?

もちろん場面によりますけれども、清塚さんの音楽がとても苦しい場面を敢えて綺麗なバラードで表現されていたり、ジャズアレンジのかなり現代的な楽曲もあって、非常に全体の流れをうまく乗せていかれているんです。清塚さんの大胆かつ緻密に計算し尽された音楽が、ミュージカル『ゴヤ -GOYA-』をとても豊かにしていると思います。

──清塚さんの楽曲がそれほど面白いのですね!

最初に聞かせていただいた時から本当に面白いと思いました。清塚さんが表現されたいものがとても明確にありながらも、その上で個々の役者に合うように変化させてもくださっていて。今稽古場でもピアノだけではなく、カホンも入れながら進めているんです。稽古場では音楽はピアノだけで進む現場が多いので、稽古の段階からカホンも入れていただけるのは、スペインの土着的なリズムを感じられてすごくありがたいです。

──演出の鈴木裕美さんについてはどうですか?

私が表現したことに対して、一番先に気づいて、ビビットに反応して下さるのが裕美さんなんです。まず役者のやることを尊重して、受け入れてくださってから「そう持っていきたいなら、こうやってみたらどうだろう」と提案してくださる。決して否定から入らずに、どんどん発展させていただけるのがありがたいです。だからこそ「だったらこうしてみようか」という役者側にも更に新しい発想が生まれる、とても自由な稽古場です。

──製作発表会見では、裕美さんから創作に対して皆さんが常に前向きで、絶対にそれはできないとは言わない「血が綺麗になる現場」という言葉がありましたが。

血が綺麗になる!確かにそう思います!面白いものを創っている感覚がすごくあるんです。特に裕美さんが「これはこういうコントだから」と説明してくださることがあって(笑)。シリアスな場面の中にも「こういう面白い要素があるよ」と解説していただけることによって、前の流れをどう汲んでいけばいいのか計算もできていますね。

──フラメンコも盛り込まれているそうですが。

フラメンコは佐藤浩希先生が振付して下さっています。やはりフラメンコの音楽を聞いた瞬間に「あ、スペイン!」と思えましたし、生粋のスペイン人役としては血が騒いで、踊らなくてもいいところでも動いてしまったりしています(笑)。実際にスペインに行ったことがない方も、この作品をご覧になればきっと「これがスペインなのか!」と感じていただけると思います。ダンスナンバーは上島雪夫先生が振付してくださっているのですが、「ほぼほぼ全場面で振付をしている!」と先生が仰るほどたくさん踊りの場面があります!作品と音楽にすごくマッチした、おしゃれで素敵な振りをつけてくださっています。

ビジュアル撮影で表現しているものが役の根底にある

──宝塚歌劇団時代にはひとつのカンパニーでずっと作品を作っていらして、いま、こうした作品ごとに集まる新しい人たちと作品を作ることについてはどうですか?

宝塚時代の気心が知れた人たち同士で作る熱い舞台もとても素敵だったと思っていますが、いま、新しい作品に向かう度に新しく出会った方々と、一から関係を構築していく舞台作りが本当に楽しいです。そこにあるのはまさしく「出会い」で、それが大好きだからこそ、この仕事ができているのかなと思っています。誰かと出会いたい、出会った人たちを知りたいという気持ちが大きな喜びだと感じています。

──そのなかで、今井翼さんが率いる今回のカンパニーについては?

皆様の個性がとても強いです。お一人おひとりが豊富なキャリアをお持ちの素晴らしい方々というだけではなくて、皆さんがすごくナチュラルにしていらして。舞台についてはもちろんですが、それ以外のお話をしている時間もとても楽しくて、こういう方だからこそこんなお芝居ができるのか、という皆様の人となりからも良い刺激をいただいて、それが共鳴しあっているカンパニーです。

──今井さんが創られるゴヤ像はどうですか?

本読み稽古の段階から、一つひとつの台詞を噛みしめながらお芝居をなさっている、その姿勢が素晴らしいなと思いました。ゴヤという人物は、怒りにかられている場面がかなり多いこともあって、蠢いている感情が強いエネルギーとなって全身からあふれているのに惹きつけられます。フラメンコを踊られている姿も含めて、もっともっと俳優としての今井さんを知りたいと感じます。

──ポスタービジュアルが非常に斬新な現代の衣装ですが、製作発表では18世紀の時代感のあるお衣装でしたね。

そうです。私もビジュアル撮影をした時には「本番もこれで行くのかな?」と思ったのですが(笑)。でもこのビジュアル撮影で表現しているものが根底にあって、それぞれがすごくカッコイイです。全体のイメージと言うと、皆さんが「ちょい悪」で(笑)。この撮影も合成じゃないので。

──そうなんですね!

はい、ちゃんと皆が揃ってスモークを焚いて、煙でいっぱいの中で撮影していて。それぞれが単独で撮ったものではないというところも、私はすごく好きです。アルバはお金持ちでゴージャスなだけでなく、生き方がアーティスティックで「それが上手くいかないなら、こうしてみたらいいんじゃない」という発想力も豊かな人なので、その片鱗がこのビジュアルの中にあるなと感じます。

すべての経験があって、いまの私がいる

──特に注目して欲しい場面などはありますか?

冒頭がゴヤの《黒い絵》の一連の作品をモチーフにはじまるのですが、音楽も振付も動きも全て絵から感じる負のエネルギーそのもので、鳥肌が立つような感覚があります。絵を振付で表現するのも面白いですし、全編通して登場する数々の絵に、これもゴヤの絵だったのかとか、ゴヤの画風の変遷もわかってくると思うので、その辺りも楽しみに感じていただけると思います。きっと作品を観たあとには、ゴヤという画家により深い興味を持っていただけるのではないかなと。人生を終えたあともずっと鑑賞され続ける絵が世に残るってすごいことですし、おそらく画家自身が絵を描いている時に、後世に残そうとして描いている訳ではないですよね。でもその絵が後の世にも何かを伝え続ける。私自身も実際にゴヤ本人が描いた絵を見られる。そこに芸術の不思議な力を感じます。

──そんな作品に邁進している仙名さんに、宝塚時代のことも伺いたいのですが、特にこの瞬間が大切なエポックメイキングだったというポイントはありますか?

経験した全部がないといまの私はいなかったと思います。本当に色々な経験をさせていただきしたが、どれも忘れられないです。宝塚ではヘアメイクも全て自分でしますし、髪飾りやアクセサリーなども手作りして、自己プロデュースしていく。自分をどう見せるか?を考えていくことを重ねてきました。今はこうした撮影のときなどにも、ヘアメイクさんやスタイリストさんが色々と助けてくださるので本当にありがたいのですが、宝塚時代はそれらを全て自分でやるのが当たり前だと思っていましたから、そうして必死にやってきたことで培われたものは大きいです。

──本当に様々な作品と役柄を演じていらして、選ぶのは難しいと思いますが、特に心に残っている舞台についてはどうですか?

博多座公演でさせていただいた『あかねさす紫の花』は、ずっと大好きな作品でいつかは携わりたいと思っていました。あの時は峰さを理さんが振付に入ってくださっていて、演じた額田女王役の心もそうですし、作品への向かい方、何が大切なのか?を教えていただいて。言葉だけではなく、峰先生から発せられるエネルギーにもとても大きなものがあって、今でもその姿が目に浮かぶだけに、突然の訃報は本当にショックでした。あの作品は峰先生なしにはできませんでしたし、作・演出の柴田侑宏先生もとても大きな存在で、私にとって柴田先生の作品に出られることは本当に嬉しくありがたいことだったので、お二人への感謝と共に、私にとって大きな意味のある作品です。

──峰さんの訃報はあまりに突然で、私達にも大変な衝撃でしたが、仙名さんの中に峰さんの教えが残られていると伺えたのは、何かひとつ救いのようにも感じます

本当にお近くで学ばせていただけたのは貴重なことだったので、大切にしていきたいです。

──そんな仙名さんにとって宝塚とはどんな存在ですか?

皆さんが「青春だった」とおっしゃいますが、本当にそうだったなと思います。若者たちが切磋琢磨して築き上げる、あの時にしかできないもので、いまもし戻りなさいと言われても、体力的にももうちょっと無理なんじゃないかなと(笑)。あの時の自分でしかできなかったことだなと感じる、どこか部活動にも通じるような、全力を注いだ日々だったと思います。日常でもあり、戦いの場でもありましたね。

──そこからいま新たに女優として様々な活躍をされていますが、今後のビジョンや夢などはありますか?

先ほどもお話したように、新しい方々と出会いたいという気持ちが原動力になっているので、その出会いを求めるためには自分のスキルをあげていかなければならないと思っています。その中でも、声の仕事をしてみたいという思いがあります。ナレーションですとか、声で演じる世界に行くことができたら、そこでまた新しい出会いがたくさんあるだろうと思うので、それは目指していきたいです。色々なジャンルの朗読劇も盛んなので、そういう経験もできたら、自分の中でまたたくさんのものがハマって、今までにないものも生まれると思います。だからこそ、自分の目の前にきてくれるお仕事は全てやりたい!という気持ちでいます。

──ではこれからも様々な仙名さんにお会いできることを期待していますが、まずこの舞台ミュージカル『ゴヤ -GOYA-』を楽しみにされている方々にメッセージをお願いします。

ミュージカル『ゴヤ -GOYA-』は本当にエネルギッシュで、これまであまり観たことがない!と思えるところのたくさんある作品になっていると思います。最初の台本からどんどん変化していて、日々新しいものが生まれていますから、私も全力で稽古に挑み、幕が開いてからもどんどん積み上げて、皆さんと大切に作りあげていきたいので、是非楽しみにご覧いただけたらと思います。

せんなあやせ○宮城県出身。2008年宝塚歌劇団94期生として首席入団。2017年花組トップ娘役に就任。『仮面のロマネスク/EXCITER!!2017』『ポーの一族』『あかねさす紫の花/Santé!!~最高級ワインをあなたに~』などに出演。2019年『CASANOVA』で退団後、2020年ミュージカル『シャボン玉とんだ 宇宙までとんだ』で女優活動を開始。『Play a Life』『MIYA COLLECTION』に出演のほか、広告モデル、番組MCなど多彩な活動を展開している。

【公演情報】
ミュージカル『ゴヤ -GOYA-』
原案・脚本・作詞:G2
演出:鈴木裕美
作曲・音楽監督:清塚信也
出演:今井翼 小西遼生 清水くるみ 山路和弘 仙名彩世 塩田康平 天宮良 キムラ緑子 ほか
●4/8~29◎東京・日生劇場
〈料金〉S席13,500円 A席7,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉チケットホン松竹 0570-000-489
●5/7~9◎愛知・御園座
〈料金〉S席13,500円 A席7,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉御園座チケットセンター 052-308-8899
〈公式サイト〉https://www.shochiku.co.jp/engekiw/lineup/musical_goya/

【取材・文/橘涼香 撮影/田中亜紀 ヘアメイク/小泉千帆(éclat) スタイリスト/津野真吾(impiger) 衣装/Antoinette】

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