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藤山扇治郎と北翔海莉が躍動する痛快娯楽時代劇『蘭~緒方洪庵浪華の事件帳~』公演中! 

「守るべきものがある」ことの大切さをテーマに展開されるエンターテインメント性に溢れた痛快娯楽時代劇『蘭~緒方洪庵浪華の事件帳~』が、9月21日~23日の大阪松竹座公演を華やかなゴールとして、現在、全国公演を展開中だ。

『蘭~緒方洪庵浪華の事件帳~』は、築山桂の人気小説「禁書売り」「北前船始末」を原作に、松田健次脚本、錦織一清演出、岸田敏志音楽で2018年に初演された。若き日の緒方洪庵と、在天の姫の東儀左近という、全く違う世界に生きる二人が、大阪の闇を切り裂く、笑いあり涙あり、加えて殺陣あり歌ありの盛りだくさんな内容が大反響を呼び、2019年、更にパワーアップしての大阪松竹座、名古屋御園座公演を含めた全国公演として再演された。

【物語】
天下の台所として栄える商人の町・大坂。緒方章(のちの緒方洪庵・藤山扇治郎)は、蘭学医・中天游(石倉三郎)が主宰する思々斎塾で医学研究に没頭する日々を送っていた。学問に夢中で本の虫の章は、天游の妻で思々斎塾併設の診療所で女医を務めるお定(久本雅美)に怪我人の治療を頼まれてさえも、本を読みながら手伝う有様だ。
そんなある日、章は天游から幕府が刊行を禁止している「禁書」の入手を持ちかけられる。それは、お上に見つかれば手が後ろに回る行為だったが、医学の発展の為に欠かせないその医学書を入手する為ならば!と章は天満宮で怪しい本屋と待ち合わせるが、なんとそこで本屋が殺されてしまう。辺りが騒然とする中、章は宮中の舞楽を担う「在天楽所」の楽人・東儀左近(北翔海莉)に出会う。大坂の町を守り千年の歴史を持つ闇の組織「在天別流」という別の顔も持つ左近は、天然痘の撲滅の為にどうしても禁書を手に入れ、人の命を守る学問を究めたいという章の情熱に打たれ、禁書入手にひと役買うことにする。
そんな折、港では北前船の船頭が賊に襲われ、船に乗っていた子供が誘拐される事件が起こる。一方禁書を追っていた左近は、人の命を救うはずの薬で大儲けを企む商人の存在に気づき、章と共に事件解決の探索に乗り出す。そんな見目麗しい若侍の姿で協力してくれる左近に、章はいつしか異性として惹かれていくが……

舞台全体を通して貫かれているのは、娯楽色ふんだんに展開される、エンターテインメントとはかくあるもの!という精神だ。これが日本に男性アイドル文化の祖を築き、数々の大スターを発掘・育成してきた故ジャニー喜多川の薫陶を受け、演劇界で今俳優としてだけでなく、演出家としての存在感を高めている、錦織一清の目配りによる魅力なことは言うまでもない。他愛ない会話から、時代劇ならではの華やかな殺陣シーンはもちろん、噂話がひろまる様や、次々に転がっていくドラマを随所にショーアップしていく手腕には、やはり非常に大きなものがあって、この痛快娯楽時代劇をその名の通りに楽しく、心躍るものに仕上げている。

それでいて、ドラマがただ明るく、賑やかなものだけに終わらず、人はそれぞれの立場で生まれ、守るべきものと果たすべき使命がある、という大きなテーマをきちんと届けたのは、キャストたち全員が作品に真摯に向かい合い、各々の力量を発揮しているからこそだろう。実際、ほとんどワルフザケに近いような台詞の掛け合いの中にも、次の展開に関係する重要なワードが込められている松山健次の脚本や、複雑な心理描写を歌にして届ける岸田敏志の音楽を、キャストたちが見事に具現化していく様には、胸のすくものが多くあった。

そのキャストの要となる主人公緒方章、のちの緒方洪庵を演じる藤山扇治郎の、動きのひとつひとつにも愛嬌がある所作と、この人が根底に持っているおおらかな優しさと鷹揚さが、猪突猛進に突っ走る章に独特の味わいを与えている。この確かな芝居力と存在そのものの温かさが、この『蘭~緒方洪庵浪華の事件帳~』全体の色を決めていて、謎が謎を呼んで転がっていく展開の中で「章頑張れ!」という気持ちを、素直に湧き起こさせる効果を生んでいた。

一方、在天の姫・東儀左近の北翔海莉は、ほとんどのシーンで若侍の扮装をしているこの役柄を、元宝塚歌劇団男役トップスターの出自を活かし、盤石に演じている。謎めいた行動をとる左近に自然に視線を集めてしまう大きな舞台ぶりは余人に代え難く、心情を吐露する「左近のテーマ」も持ち前の歌唱力で切々と聞かせる。ひと場面、浪花名所案内をする町娘の扮装も見せるが、そこでの立て板に水の台詞術も素晴らしく、華麗な殺陣も見事だ。

章を見守る蘭学医・中天游の石倉三郎と、天游の妻お定の久本雅美は、石倉が飄々とした持ち味を随所に発揮すれば、久本が身体的な動きの面白さも加味した演技で、互いに個性を存分に発揮。この夫婦に藤山が揃うと、どこまでが台詞でどこからがアドリブなのかがわからないほどで、自然な可笑しみが爆発する。

他にも左近と常に行動を共にする楽人・若狭の大川良太郎の、大衆演劇の世界で座長を務める人ならではの形が綺麗に決まる殺陣や、大向こうへ颯爽と見栄を切る色気も強烈に目を引くし、天游の息子・耕介の上田堪大も、2.5次元舞台などで大役を務めている姿の良さが、頼りなさの残る役柄を演じても決して情けなくならない効果になっている。更に大きな役柄が多数あり、時代劇のお約束的な展開もある為、個々に触れにくいのだが、いずれも非常に個性的で、くっきりとした役柄の造形を披露して作品を支えていた。

何よりも、全国を回る公演で見事な満開の桜を見せるなど舞台の作り込みも美しく、名古屋・御園座と大阪松竹座公演にのみ用意されている、キャストが役柄のまま劇中歌を歌い踊る『蘭 RAN ライブ』も必見で、名古屋、大阪の観客を羨む気持ちにさえなる、痛快な作品になっている。

【囲み取材】

久本雅美 北翔海莉 藤山扇治郎 石倉三郎

全国公演初日の埼玉県戸田市文化会館大ホールでの公演を前に囲み取材が行われ、藤山扇治郎、北翔海莉、石倉三郎、久本雅美が公演への抱負を語った。

──ではまず一言ずつご挨拶をお願い致します。
藤山 藤山扇治郎です。今日はたくさんお集まりくださいましてありがとうございます。今回緒方章役、再演なのですけれども、石倉さん、久本さん、北翔さんありがとうございます。皆様お忙しいスケジュールの中、こうして巡業公演をさせて頂けることが本当にありがたいです。お客様に喜んで頂けますよう、意気込みは満々ですから、怪我をしないようにお客様に何回も観たい!と思って頂けるよう、頑張りたいと思います。よろしくお願い致します。

北翔 北翔海莉でございます。本日はお暑い中、皆様お集り頂きましてありがとうございます。昨年させて頂きました作品をまたこうして再演できるというのは本当に光栄なことだと思っております。でも逆に嬉しい反面、更にパワーアップしたものをお届しなければならないというプレッシャーもございますが、演出の錦織さんのもとたくさんお稽古を重ね、前回より更にグレードアップしたものをお届けできるのではないかという意気込みがあります。ですから全国の皆様、いつも大阪や東京にはなかなかこられないという地方の方々のところに、お近くに私達がいけることもありがたいことなので、皆様に喜んで頂ける舞台を一生懸命務めたいと思います。頑張ります!

石倉 これほど早く再演が決まるとは思っていなかったので、嬉しい限りでございます。とにかく皆さんで力を合わせまして、前よりもより一層輪をかけたパワーアップを目指して頑張りますので、よろしくお願いします。

久本 いつもありがとうございます。本当に再演ができるということで、皆様おっしゃったようにパワーアップしてお客様に喜んで頂きたい、また全国巡業させて頂きますので、普段は会えなかった方々にもこの面白いお芝居で元気になって頂いて、皆様と笑いや感動とか、色々なものを共有させて頂けたらと思っております。私は石倉さんと夫婦役で、本当に二人の主役がビシッと決まっている中、二人で遊ばせて頂いておりますので(笑)、是非遊びに来て頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

──改めて再演が決まった気持ちはいかがでしたか?
藤山 とても嬉しいです。でも石倉さん、久本さん、北翔さん皆さんスケジュールがお忙しい方々なので、メンバーが変わってしまったらどうしよう…と思っていたのですが、初演のメンバーでやれるということで。僕はこのお芝居の中ではウロウロしているだけで(笑)、このご夫婦と北翔さんあってのエンターテインメント劇ですので、僕はもうどれだけ汗をかくかだけなので、このメンバーで再演させて頂けたことが本当に嬉しいです。皆さんありがとうございます。
久本 とんでもないです!扇治郎さんは台詞の量が半端ではありませんから!もう本当に素晴らしいです!

──気持ち的には初演と再演では違いますか?
藤山 観にこられるお客様は毎日違いますので、初演をご覧になった方にはパワーアップしたところを観て頂きたいですし、脚本もストーリーは変わっていないのですが、台詞が変わっていたり、道具が変わっていたり、趣向的にも変化しているところが色々ありますので、そこを楽しんで頂きたいと思います。北翔さんは殺陣あり歌ありですし、石倉さんと
久本 もう超カッコいいですよ!

──それは見どころですね!この衣装でも殺陣を?
北翔 この衣装ではないです。これは舞楽用なので。

──石倉さんも殺陣を?
石倉 私は、殺陣は一切ございません!(笑)でもこんなに早く再演の声がかかるとは思ってもいなかったので、本当に嬉しいです。

──久本さんとの夫婦役は?
石倉 もう手慣れてるのでね。呼吸が良いので楽です。
久本 本当に先輩の胸をお借りして楽ですね。二人共お笑いの方をやっているので、間ですとか、アドリブを言ってもお互いがお互いを面白がってできるので、本当に楽しくて!何を言ってくるかな?と期待してしまうほどです。

──初演とは台詞も違うのですか?
久本 幅が広がっていますね。ほとんど変わらないのですが、新しいキャストの方もいらっしゃるので、そこも上手く組み込まれていて。殺陣も本当にグレードアップしていて!
石倉 カッコいいよね!

──藤山さんは前回のこの公演がご縁で北翔さんとご結婚されて。
藤山 そうですね。本当に不思議なご縁ですし、こういう機会、この作品がなかったら北翔さんとも出会えなかったので、感謝の気持ちでいっぱいです。その作品を再演させて頂ける、舞台人としては北翔さんは大先輩ですから、その方とまたご一緒に舞台に立たせて頂けるのも喜びです。

──忘れられない舞台ですね。
藤山 強烈なインパクトのある舞台です。

──お芝居の中で思いを寄せて、それが現実にもとなった訳ですから。
藤山 もう導いて頂いています。お芝居なのか現実なのかわからない感じもありますが、そこはしっかりサポートして頂いているところもありますから嬉しいです。

──北翔さんはいかがですか?
北翔 公演中は何もなかったのですが。

──そうだったんですか?
北翔 本当に千秋楽が終わってからのことだったので。

──傍でご覧になっていてわかりませんでしたか?
久本 北翔さんは人柄が抜群に良いんですよ!扇ちゃんってかまってあげなきゃいけないところがあるんです。片付けが遅かったりね(笑)それをいつも北翔さんがマネージャーの如く世話をしてあげていて、トップスターって人柄も素晴らしいな!と思っていたら、こういうことに!でも私はずっと扇ちゃんに「早く結婚した方が良い」と言っていたので、まさかこの素敵な女性をゲットするとは思ってもいませんでした!びっくりしましたね。だってほら身長からね(爆笑)。扇ちゃんって座敷犬みたいで(笑)人懐っこいし、誰からも愛されるし、可愛いんです。すごく素敵なご夫婦だと思います。

──お二人は結婚されて初共演ということになりますね。
藤山 そうなんですが、舞台にあがらせて頂いている時には本当に緒方章と左近なので、結婚したからどうではなく、僕は助けて頂いていることばかりです。僕は舞台に立たせて頂いていて、チームワークで周りの皆様に助けて頂いての主演なので、僕一人ではできないことが多いですので、ありがたい公演です。
北翔 稽古場に入っても、こうして舞台稽古をしていても全く違和感がないです。

──逆にお宅に帰ってもいらっしゃる訳ですから、仕事から抜け出せない感じなどは
北翔 それもないですね。オンオフはしっかり切り替えているので。

──改めて見どころは?
藤山 全てです!見どころは?というご質問を頂くことが多いのですが、エンターテインメントなので、お芝居だけではなく、石倉さんと久本さんの夫婦愛、殺陣も、また北翔さんは在天という男装の麗人の役で、男であり女であるという特殊な役柄でもあって、この舞台全体が見どころです。その中で僕の緒方章、のちの緒方洪庵という実在の人物ですけれども、医学を学ぶと共に人の愛情とか、薬だけではなく人の心を癒せるような人間になろう、そう周りの方に気づかせて頂ける話ですので、そういうところをお客様に観て頂きたいです。難しいお話ではなく、お子様からお年寄りまで楽しんで頂ける作品ですので、是非家族で劇場に観に来て頂ければありがたいなと思います。

──全国公演に向けては?
藤山 物を無くさないようにしないといけません!(爆笑)間違って別の会場に送ってしまったりすると取り返しがつきませんし、無くし物が多いので、靴下とか道具を忘れたりするので(笑)。あとは皆さんとの団体行動で、本当に先輩が男チームをまとめてくださって、舞台でも師匠ですが、日常でも師匠ですのでありがとうございます。子供みたいなので、また長丁場色々ご迷惑おかけすると思いますが、よろしくお願い致します。
石倉 ご丁寧にありがとうございます(爆笑)。

──チームワークはバッチリですね!
藤山 はい、バッチリです!

──では最後に皆様にメッセージを。
藤山 是非皆様劇場の方に足をお運びください。お客様のご声援、お力で盛り上げて頂かなければ良いお芝居にはなりませんので、どうぞ劇場に観にきてください。よろしくお願い致します!

 

【公演情報】
松竹特別公演 『蘭~緒方洪庵浪華の事件帳~』
原作◇築山桂
脚本◇松田健次
演出◇錦織一清
音楽◇岸田敏志
※御園座、大阪松竹座のみ特別ステージ『蘭 RAN ライブ』もあり。
出演◇藤山扇治郎 北翔海莉
渋谷天笑 大川良太郎 上田堪大
平田裕一郎 松村沙瑛子  高倉百合子 小林功
丹羽貞仁 笠原章
石倉三郎 久本雅美
9/21~23◎大阪松竹座〈お問い合わせ〉06-6214-2211
https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/shochikuza1909_02/

[全国公演スケジュール]
8/11◎戸田市文化会館〈お問い合わせ〉048-445-1311
8/17◎新庄市文化会館〈お問い合わせ〉0233-22-7029
8/18◎奥州市・前沢ふれあいセンター〈お問い合わせ〉0197-56-7100
8/24~25◎仙台市・電力ホール〈お問い合わせ〉022-225-2251
8/31◎松戸市・森のホール21〈お問い合わせ〉047-384-3331
9/1◎立川市・たましんRISURUホール〈お問い合わせ〉042-526-1311
9/5◎神戸国際会館〈お問い合わせ〉078-231-8161
9/7◎天草市牛深総合センター〈お問い合わせ〉0969-73-4191
9/ 8◎鹿児島市・宝山ホール(鹿児島県文化センター)099-223-4221
9/14~16◎名古屋市・御園座〈お問い合わせ〉052-222-8222
9/ 18◎金沢市・北國新聞赤羽ホール〈お問い合わせ〉076-260-3555
9/19◎岡山市民会館〈お問い合わせ〉086-223-2165

 

【取材・文・撮影/橘涼香】

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