お芝居観るならまずはココ!雑誌『えんぶ』の情報サイト。

ジェットラグプロデュース『終わらない世界』に主演! 緒月遠麻インタビュー

作・演出を益山貴司(劇団子供鉅人)が手がける舞台『終わらない世界』が、12月に博品館劇場で上演される。一昨年、初演されて好評だった作品で、今回はキャストを一新、よりグレードアップした内容での再演だ。

「…もう一度繰り返します。世界は終わりません」
小惑星の衝突を回避した人類は救われた。が、「世界が終わる」と信じていた人々は大混乱。
そんな中、往年の大女優、七瀬ミワコの復活公演が初日を迎えようとしていた。
しかし、劇場に現れたのは、彼女を慕う小道具係の守口トモル、ただ一人。
果たして幕は上がるのか?役者たちは舞台に帰ってくるのか?──

終わるはずだった世界が「終わらない世界」になって、世界の終わり以上に混乱する人間たち。そんな彼らの悲喜劇と舞台への愛を、歌や踊りとともに綴るエンターテイメントコメディだ。その作品で主人公の大女優、七瀬ミワコを演じることになった緒月遠麻に、作品と役柄に取り組む思いを聞いた。

5年ぶりの男役はダンディなギャング?

──今作の見どころの1つに緒月さんの久々の男役があります。

台本を読ませていただいたら、意外とがっつり男役場面があって、読んでいて、「これ私の役?劇中劇で男役やるんだ!」とびっくりしました(笑)。

──宝塚退団後、男役での舞台は?

今年1月の「『ベルサイユのばら45』~45年の軌跡、そして未来へ~」という公演にアラン役で出演しました。宝塚を卒業して5年になりますが初めての男役でした。

──すぐに男役に戻れましたか?

周りの出演者も、それぞれ久しぶりに男役や娘役を演じるという環境でしたから、あまり違和感なく、一緒にその世界に入って行けた感じです。でもこの『終わらない世界』では私1人だけ男役で、しかもダンディなギャングというガチな男性の役で(笑)。宝塚時代も男役メイクをしていないと男っぽくすることが恥ずかしいタイプでしたし、しかも5年も経っての男役ですから、ちょっとハードルが高いのですが(笑)。

──宝塚時代の緒月さんはまさにダンディな男役でしたね。そこから女優になるのはたいへんだったのでは?

意外とすっと変われました。というか宝塚での男役も女役も、女優になって女性の役をやるのも、演じ方や気持ちの運び方などは同じだと思っていますから。ただ、基本的な歩き方や座り方など所作の面では、油断すると男役が出てきて、よく指摘されました。それを5年の間に少しずつクリアしてきた感じです。

──そういう所作を、今回またやることになるわけですが。

やれと言われたら、やっぱり男役の所作もこれまた難しいですね。また、勉強の日々です(笑)。

世界が終わるときに居たいところは舞台

──作品の内容ですが、ある舞台の初日を前に、「世界が終わるかもしれない」というたいへんな状況から始まりますね。

その最後の時、私が演じる七瀬ミワコは舞台に来るんです。何があろうと舞台をやるんだ、最後に居たいところは舞台なのだという、ミワコの気持ちはすごくわかります。もし私ならどうするだろうと考えたときに、舞台の初日だったら行くだろうと思いますから。

──そして、この舞台は大女優のミワコにとって10年ぶりの復活公演です。そこも久しぶりの男役という緒月さんと重なりますね。

ミワコはプレッシャーを感じているんですが、私も、宝塚の頃はほぼ1年中稽古と公演で長いお休みなどなかったので、今ちょっと舞台から離れている期間があると、ちゃんと出来るのかしらと恐くなったりします。それに『ベルばら45』のときも、お客様はその当時のままの絵で覚えていらっしゃるので、それを裏切ると申し訳ないというプレッシャーがありました。そういう意味ではミワコと重なるところは色々あります。

──物語はその後、世界が終わらなかったという展開になりますが、そこからは舞台裏の人たちのドタバタコメディになるのですね。

かなりのドタバタコメディです。でも、バックステージものってそれだけで面白いですよね。舞台関係の方って良い意味で変わってる方が多いし、自分も含めてですけど(笑)。でもこの世界では、ちょっと人と違った感覚というのはある意味大事かもしれないので。

──緒月さんは、わりと常識人みたいに見えますが。

いえ、絶対普通の人とどこか違うと思いますよ(笑)。

──ここは人とちょっと違うなと自覚しているところは?

マイペースすぎるところでしょうね。少しは流れに呑まれよう流されてみようと思ってみても、気がついたら呑まれず流されずにいつものまんまです。

 

会うと話が止まらなくて8時間くらい喋っている

──緒月さんは宝塚時代からいい意味でクールな感じがありました。でも意外に退団してからはOGの方たちとの交流が密ですね。

皆さん良い人ばかりなんですよ、上級生も下級生も。不思議な現象ですけど同じ組に一緒にいた頃よりも、退団してからのほうが一緒にいる時間が長いんです。現役時代は、稽古場では一緒ですけど、稽古が終わったらそれぞれ個人個人の生活という感じで、それが当たり前だったんです。でも今はわざわざ時間を作って会って、一緒にご飯を食べたりして。その中で今まで知らなかった部分もわかったり、お芝居についての考えを聞けたり。一度会うと話が止まらなくて、8時間くらい喋ってるとか(笑)、そういうことが珍しくないんです。

──仕事の話が多いのですか?

仕事のことも話しますけど、それより世間一般の話で、お天気のこととか、最近健康診断行ってる?とか(笑)。そういうふうになんでも話せてしまう関係は、宝塚という同じ場所にいたからこそで、本当に大事な仲間を得られたと思っています。

──今回、そんな宝塚OGの十碧れいやさんと花陽みくさんが共演しますね。

十碧さんは宝塚時代には組も違っていたし縁がなくて、今回まったくの「初めまして」なんです。新鮮で楽しみです。みくちゃんは『ベルばら45』で初めて同じ舞台に出たのですが、もうすっかり仲良くなって、「一緒にご飯行こうね」という仲です(笑)。

──ほかの公演でも宝塚OGの方と一緒になることはあると思いますが、やはり安心感がありますか?

ありますね。でもそれに甘えてしまう自分がいるので、良し悪しなんです。一緒に稽古してもらおうとか、わからないところを聞こうとか、そういう甘えが出るので。まあ自分が甘えなければいいだけの話なのですが(笑)。でもやっぱりいてくれると助かるんですよね。みんなよく気がつくし、フォローしてくれるし。もちろんOGが1人もいない公演もそれはそれで好きなんです。1人でがんばっていこうという気になるので。

──結局いてくれる公演も、いない公演も,それぞれの良さがあるということですね。

そういうことですね(笑)。

集めたバラバラなものがパズルのように嵌まる瞬間

──退団してから幅広いジャンルの舞台に出演していて、強い女性役から母親役まで違和感なく演じていますね。

年齢的には母親役が多いです(笑)。でも色々な役をさせてもらえてすごく楽しいです。こんなに色々な人の人生を生きられるなんて、すごく楽しませてもらってます。

──緒月さん自身から見て、自分のどんな資質がこの世界に合っていると思いますか?

私、子供の頃はとても恥ずかしがりやで、この世界に行くことになるとは思ってなかったんです。それは親が一番驚いてますけど(笑)。先程、男役メイクをしていないと男っぽくできないと言いましたけど、それと同じで芸名だからやれているんだと思います。本名では絶対できない。芸名という仮面があるから出来るんです。

──仮面があればできるというのは、根底ではやりたいことなのでしょうね。

やりたいことだと思います。というか自分の中では実はやりたい気持ちのほうが大きくて。ベースには恥ずかしがりやというのはあるんですが、最近、裏の自分が出まくってて(笑)。結局この仕事が好きなんです。

──その仕事で、生き甲斐を感じるのはどんなときですか?

作品に関わる過程で資料で勉強したり、色々なものを見たり、積み重ねていくわけですよね。その積み重ねが実って、自分の中で「おおーっ」という瞬間があって。その瞬間がすごく好きですね。最初はバラバラで、手探りで集めたものが、カンパニーの方たちと話し合ったり、自分なりに考えていく中で、パズルがうまく嵌まるみたいにある瞬間ぱちっと嵌まる。すると「なるほど!」となって、出来る気がする(笑)。根拠はないんですが、出来る気がするんです(笑)。

緒月遠麻が今まで培ったものをすべてお見せします

──積み重ねると言う点では、緒月さんは宝塚の頃から努力家として知られていました。

できないし、劣等生なので、自分で「できる」と思えるところまでやらないと心配なんです。でも、その練習を見られたくないんです。恥ずかしいから。(笑)。宝塚でも小さな教室とかに行って1人でできるまでやってて、よく探されてました(笑)。とりあえずみんなのレベルまでは1人でがんばりたい。自分でちゃんとやれてから加わりたいんです。

──そういう努力が今の緒月遠麻を作りあげたのですね。

人並みになるための努力なんです。自分が出来ないという自覚、これは一生ついてまわるでしょうね(笑)。

──今回もその努力の成果を楽しみにしています。最後に改めて作品のアピールをいただきたいのですが。

昨年上演されて好評だった作品の再演ですが、台本がだいぶ変わります。私の演じるミワコのキャラクターも劇中劇も変わりますので、色々な面で初演とは違う新しい展開が見られると思います。私は女優の役なのですが、劇中劇で男役も演じます。宝塚を卒業してから5年、今年1月の『ベルばら45』では、ある意味落ち着いて男役を演じることができたと思っていて、5年という年月を経たからこそ、人間としての深みをアラン役の中で出せたのではないかと思っています。それを経た私の男役をぜひ観ていただきたいですし、華やかなショータイムもあります。緒月遠麻が今まで培ったものをすべてお見せできたらいいなと思っております。ぜひ劇場へいらしてください。

おづきとおま○愛知県出身。2000年『源氏物語~あさきゆめみし/ザ・ビューティーズ』宝塚歌劇団で初舞台。雪組に配属。12年に宙組へ組替え。15年『白夜の誓い/PHOENIX宝塚!!』宝塚歌劇団を退団。以降、女優として活躍中。主な出演作品は、『希望のホシ』『罠』『月の角度』『新版 国性爺合戦』『ロマンシング サガ THE STAGE ~ロアーヌが燃える日~』『信長の野望』シリーズ『伊賀の花嫁その二~鬼は外編』『「ベルサイユのばら45」 ~45年の軌跡、そして未来へ~』『天狗ON THE RADIO』朗読劇『青空』『トムとジェリー 夢よもう一度』など。

【公演情報】
ジェットラグプロデュース
『終わらない世界』
作・演出◇益山貴司(劇団子供鉅人)
出演◇緒月遠麻 上遠野太洸 中尾拳也 十碧れいや シューレスジョー 花陽みく 藤田奈那 結城洋平 間瀬富未子 安楽信顕/田野聖子 成島敏晴
●12/11~15◎博品館劇場
〈料金〉前売/S席¥8,500 A席¥7,800 学生¥4,500[当日は各¥500増](全席指定・税込・未就学児童入場不可)
〈お問い合わせ〉ジェットラグ 080-5076-0481
http://www.jetlag.jp

 

【取材・文/榊原和子 撮影/友澤綾乃】

記事を検索

宝塚ジャーナルの最新記事

クリスマスミュージカルの決定版に!『ELF The Musical』一路真輝・沙央くらまインタビュー
絵本『えんとつ町のプペル』が、原作者キングコング西野亮廣による新たな書き下ろしで舞台化!
立ち現れた哀しくも美しい人間ファントム ミュージカル『ファントム』~もうひとつのオペラ座の怪人~
万葉集meetsミュージカル『令和にそよぐ風 ~若き歌詠みの物語~』ビジュアル公開!
大阪松竹座・桂米朝五年祭記念『喜劇 なにわ夫婦八景』2020年2月上演!

旧ブログを見る

INFORMATION演劇キック概要

LINKえんぶの運営サイト

LINK公演情報