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東西の伝統あるライブハウスで単独LIVEを開催! 妃海風インタビュー

宝塚歌劇団の星組トップ娘役として活躍し、退団後は女優としての確かな歩みを続ける妃海風が、5月12日東京・COTTON CLUB、5月23日大阪・Billboard Live OSAKAで、「妃海風 LIVE 2019 Magic of jazz」を開催する。

宝塚退団後元娘役の単独ライブとして話題になった「Magic」を大成功させた妃海が2年ぶりに開く、待望の単独ライブ第2弾となる今回のステージには、どんな趣向が凝らされるのだろう。大きな注目が集まるステージを前に、想いと意気込みを聞いた。

 

GirlからLadyへと変貌するLIVE

──待望の妃海風LIVE第2弾ということになりましたが、今回は東京が COTTON CLUB、大阪が Billboard Live OSAKAでという、会場のイメージもガラリと変えての開催になりましたね。

お酒も飲めて、お食事も楽しんで頂きながらのLIVEにしたいと考えました。会場自体が大人の雰囲気ですし、私も今月で30歳になりもう立派な大人なので(笑)、GirlからLadyとしてのLIVEを、と考えています。

──その中で「Magic of jazz」のタイトルですが、全体にジャズをフューチャーするのですか?

ジャズというタイトルをつけましたが、しっとりとしたものよりはビッグバンドをイメージしたノリの良いジャズを選曲しています。もちろんジャズだけではなくて、ミュージカルナンバー、宝塚やミュージカルをお好きな方はもちろん、そうでない方でも必ずどこかで耳にしたことがあるだろうという有名な楽曲もありますし、ちょっとオールディーズなディスコサウンド的な洋楽も取り入れます。基本的には前奏を聴いただけで「あ、知ってる!」と皆さんに思って頂ける、思わず身体が動いてしまうような楽曲ばかりでの構成を考えています。

──今回も構成は妃海さんご自身で?

そうです。でも前回の『Magic』では構成から編曲まで、すべてを自分一人でしていて、隅々にまで自分の想いと愛情がこもっていたので、それはそれでとても楽しかったのですが、今回はプロの手もお借りして、皆さんのご意見も柔軟に取り入れながら創っていこうと思っています。理想がビッグバンドなので、楽器編成もサックスも入れた本格的なものになっていますし、ミュージシャンもジャズの経験値の高いプロの方々ですから「ここにソロを入れたらカッコ良いのでは」等の話し合いをしながらやっていて、自分だけでは生まれない発想の中で、色々と挑戦させてもらいたいなと。

──ご自身のやりたいことに、別の視点からの意見が加わることで、より広がっていくものもありますか?

それはすごく感じます。前回は何もかもを自分一人で背負っていましたが、多様な意見の中でディスカッションをしながら「こんなこともできるんじゃない?」と提案して頂くことによって「あぁ、私にこんな色もあるのか」と新たな発見があります。やっぱり自分だけで構成していくと、大好きな昭和歌謡まっしぐらになったり(笑)、「明るく元気!」というカラーだけになってしまうところを、可能性を広げていただけるので楽しいです。

リッチな気分で素敵な夜を楽しんで頂きたい

──前回もステージごとに変化する部分がありましたが、今回東京2ステージ、大阪2ステージで、回替わりの企画なども?

全部を変えることはできないながら、ステージ毎に楽曲の構成には変化を加えています。私がお客様側だったとしてもその方が楽しいですし、1st、2stを続けて観て頂いてもどっちも楽しいというものにしたいので「全部観てください!」という気持ちです。

──大阪での公演を待ち望んでいらした方達も多いと思います。

そうなんです。去年の舞台もほぼ東京だけだったので、大阪でできるのが嬉しいです。お客様の反応も東西で違うので、特に今回Ladyな内容を(笑)どう受け留めて頂けるか、私もとても楽しみにしています。

──やはり、こういうオシャレな会場のLIVEですと、舞台と客席でのお客様との関係性とは、全く違うものがありますね。

それは私も実際に観客としてLIVEを経験して感じました。普段よりちょっと良いお酒を飲んで、美味しいお食事を頂いて、自分も髪も綺麗にまとめておしゃれをして聞くLIVEというのは、舞台の観劇とは全く別の楽しさがあります。ステージと客席もとても近いですし、本当に素敵な体験になるので、それを私のファンの方達にも味わって頂きたいです。きっとCOTTON CLUB やBillboard Liveに足を踏み入れるのも初めて、という方達もいらっしゃると思うんですね。その方達にも劇場でミュージカルを観る、お芝居を観るというのとはまた違った、こんな楽しい時間もあるんだよ、とひとつのきっかけを提供できたら尚嬉しいなと。その為にも空間丸々を含めた演出を考えていて、如何に素敵な夜をリッチな気分で楽しんで頂けるか?に腐心しています。

──何を着て行こうかな?から、もうLIVEの楽しさがはじまっていますものね。

そうなんです!着ていくものや、アクセサリー、バッグや靴をどうしようって、考えることはもちろん手間もかかりますが、でもその分特別な夜を過ごしたという充実感につながるので、是非おめかししていらして欲しいです。

力みすぎるのは良くないと気づいたからこそ

──そんな中で、先ほど昨年のお仕事が東京中心だったというお話もありましたが、今振り返ってみていかがですか?

自分の中でとても大きな年になったと、改めて思っています。宝塚を退団して去年から本格的に舞台活動をさせて頂いたのですが、何しろ宝塚しか知らずにここまで来ましたから、すべてにおいて勝手が違いました。第一男の人もいるし(笑)、あまりにも新しいことだらけで、それぞれのお稽古場にいる間は必死過ぎて、果たして何が自分にとってプラスになっているのかすらわかっていない、という状態だったんです。でも1年が経って自分で振り返ったり、宝塚時代を共に過ごした方達とお話しする時間を持てたりすると「あぁ、私変わったな」と思いました。やはり宝塚歌劇という世界でタカラジェンヌとして過ごしている間というのは、本当に大切な教えも様々に頂きましたが、一方で同じものを見て、同じ目標に向かって歩いている、ある意味で似た感覚を持っている人たちとしか接していなかったんです。それが育ってきた環境も、やってきた仕事のフィールドも全く違う方々とご一緒させて頂く日々を経たことで、ものの考え方ひとつを取っても驚くようなことも多く、だからこそ自分にとってとても大切な出会いをたくさんさせて頂けた、大きなものを得たと感じています。

──その受けた刺激の中で得たものというのを、具体的に言葉にするとしたら?

力み過ぎるのはよくないな、と感じました。特に深く関わる立場にいた共演者の方達が、良い意味で力みのない方々で。それがきっかけになって自分が楽になったところがあります。自分の心や、周りの人々がちゃんと見えた上で、地に足を着けて歩いていきたいなと。今までの私はとにかくしゃかりきになって、地面に足を着く間もなく次の足を出して飛ぶように前へ、前へと進んでいこうとするタイプだったんです。でもそうではなくて、ちゃんと一歩、一歩しっかりと道を踏みしめて歩いていきたいと思うようになりました。

──そうした姿勢になったからこそ、進んでいきたい方向性はありますか?

舞台も映像もたくさん観て、良いインプットを続けていく中で「これがやりたい」という気持ちも芽生えてくると思いますが、そこに向かってがむしゃらになる、急ぎ過ぎてしまうのはいけないなと。ゆっくり進んでいく方が周りもよく見えるし、吸収率も高い。がむしゃらになっていた頃って、今思うと何も見えていなかった気がするので。

──明日のことを考えるだけで精一杯という日々が長くあったでしょうから。

そうなんです。とりあえず寝る前に「明日は何時に起きる。スケジュールはこれとこれ、OK!」と確認する毎日でした。それはそれでもちろん良い経験でしたが、月単位、年単位でもちゃんと自分のゆく道を考えて生きていけるようになりたいです。でも一方で、自分の叶えたい夢や、会いたい人などの希望は絶対に心に持ち続けていたい。それは変わらずにずっと思っている部分です。宝塚時代からそうした想いは常に胸の中にありましたし、願い続けていることって叶うんだ、という気持ちが年々確信に変わってきたので。ただ、「この願いに向かって狙い撃ち!」ではなくて(笑)、心に願いを持ちながらゆっくり歩いて、夢に向かって吹いてくる風を感じながらしっかり進んでいきたいです。

──そうした考え方は、今回のLIVEにも反映されてきそうですね。

そうですね。やっぱり前は「私、頑張ってます!皆もノッてる?どう?楽しんでる?楽しい?」みたいに(笑)、それこそしゃかりきになってしまったところがあったのですが、自分も海外にも行って様々なショーを拝見したりする中で、余裕を持って「私はこれが素敵だと思っているのですが、どうですか?」と答えをお客様に委ねられるものに。GirlでなくLadyだから(笑)ゆとりのある女が魅せるLIVEを目指したいと思っています。とは言ってももちろん盛り上がるものにしますよ!しっとり静かにではないですが、その中にも余白を持たせられるものにしていきたいです。

──ますますLIVEへの期待が高まりますが、では改めて楽しみにしている方々にメッセージを。

前回の「Magic」はありがたいことに楽しかったというお声をたくさん頂けて、今回第二弾ができることを本当嬉しく思っています。宝塚を退団したばかりの娘役が開くソロライブというのが、前回の思い出になってくださっているとしたら、今回は妃海風がCOTTON CLUB とBillboard Live OSAKAで開く初めてのLIVEという思い出を持って帰って頂けるように、特別な夜を一緒に過ごしたいなと思っています。非日常の「Magic」の世界を楽しみに是非いらして下さい!お待ちしています!

ひなみふう○09年宝塚歌劇団入団。星組に配属後、歌唱力に秀でた娘役として頭角を現し数々の作品でヒロインを務める。15年、北翔海莉の相手役として星組トップ娘役に就任。歌唱力を活かした役どころで活躍。16年『桜華に舞え』『ロマンス!!(Romance)』で宝塚を退団後、女優に転身、舞台に映像にと活動の幅を広げている。近年の主な出演作品に『江戸は燃えているか  Touch and Go 』『ドゥ・ユ・ワナ・ダンス?』音楽劇『道(La Strada)』、TV『朝だ!生です旅サラダ』旅サラダガールズレギュラー出演中。

【公演情報】

妃海風 LIVE 2019 『Magic of jazz』

●5/12◎東京 COTTON CLUB

〈料金〉全席指定・8,000円

〈お問い合わせ〉COTTON CLUB 03-3215-1555

http://www.cottonclubjapan.co.jp/jp/

●5/23◎大阪 Billboard Live OSAKA

〈料金〉サービスエリア 8,000円 カジュアルエリア 7,000円

〈お問い合わせ〉Billboard Live OSAKA 06-6342-7722

http://www.billboard-live.com

 

 

【取材・文/橘涼香 撮影/岩田えり】

 

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