A NEW MUSICAL『ラヴズ・レイバーズ・ロスト─恋の骨折り損─』間もなく開幕! 村井良大インタビュー
2013年にニューヨーク演劇シーンの最先端を行く「パブリック・シアター」で上演された『ラヴズ・レイバーズ・ロスト』。
ウィリアム・シェイクスピアの傑作喜劇『恋の骨折り損』を、タキシードの紳士とハイヒールの淑女が闊歩する現代に置き換え、ロックサウンドで綴るスタイリッシュなミュージカルラブコメディへと生まれ変わらせた作品だ。その舞台が、いよいよ10月1日から、日比谷のシアタークリエで『ラヴズ・レイバーズ・ロスト─恋の骨折り損─』として、本邦初演を果たす。(25日まで)
『キューティ・ブロンド』『オン・ユア・フィート』『笑う男 The Eternal Love ─永遠の愛─』などの話題作を次々に手掛けてきた上田一豪の演出と豪華キャスト陣の集結による、ポップでキュートな祝祭劇。
その作品の劇中で、ナヴァール王国で国王と共に「勉学に身を捧げる為、三年間は恋愛禁止!」の誓いを立てた、大学の同窓生ビローンを演じるのが村井良大。ところがそこに大学時代にそれぞれが淡い恋心を抱いた女子たちが現われて…という、如何にもシェイクスピア喜劇らしい展開で転がっていく物語の、男子チームに於けるリーダー的存在の役柄だ。
ミュージカル、ストレートプレイと数々の作品で、爽やかな個性と深い演技力で観客を魅了し続ける村井が、そんな役柄、そして作品に臨む意気込みや期待を語ってくれた「えんぶ10月号」インタビューを別バージョンの写真とともにご紹介する。
コミュニケーション力に長けたリーダータイプの役柄
──まず、作品に感じている印象から教えてください。
元々がシェイクスピア作品ですので、台詞量が大変多いのですが、それが歌になっていて。自分の置かれた状況や心境を一人で語っている部分がミュージカルナンバーになるので、僕が演じるビローンにもそういったソロナンバーがあります。ですから全体にすごくポップですし、何より16世紀の物語を現代に置き換えていて、普通にスーツを着て今の言葉で話していますので、メロディーもとても聞きやすく覚えやすいものが多い、明るいラブコメディーとして目からも耳からも楽しんで頂けるのではないかと。一方でロックミュージカルでもあるので、とても力強いナンバーもありますから、音楽的にも多彩で面白く観てもらえる作品だと思います。
──その中で演じるビローン役についてはいかがですか?
ビローンって馴染みのない名前だなぁと思ったのが最初でした(笑)。役柄としては、メンズの中で一番頭が切れて知識が豊富なので、落ち着いた感じにした方が良いのかな? と思ったのですが、海外版を観ると結構ワイルドでセクシーだったんです。頭脳明晰なんだけれども、それをひけらかす人ではなく、周りの空気をいち早く察知していくまとめ役という感覚がありますね。日本人が考える如何にも頭の良い怜悧で理知的なタイプと言うよりは、コミュニケーション能力に長けたリーダータイプだと思います。
──海外では子供の頃からディベート力や、スピーチ力を必須として育っていく文化がありますものね。
そうですね。しかも頭が良い人って決して難しいことを難しく言わないんですよ。難しい言葉をたくさん使えるから頭が良いかと言うと、もちろんそれはそれでありですけれども、例えばアメリカのオバマ前大統領の「Yes We Can!」等が分かりやすいですが、キャッチコピーが非常に簡潔で誰にでも理解できるでしょう? ビローンにはそういうリーダーのイメージを持っています。とは言え元々がシェイクスピアなので1小節に入っている単語はものすごく多いんですけど!(笑)。でもその言葉数がロックのエレキやビートに乗ることが早口言葉みたいな効果になっていますし、若者のメラメラ感にも通じているので面白いです。若者の物語という世界観が満載です。
個性が粒だったバランスの良いメンズ5人
──フライヤーを拝見しても、そのポップな世界観が伝わってきます。
パーティ感がありますよね! この撮影をした時に三浦涼介さんと入野自由さんとは「はじめまして」だったのですが、男が集まってワイワイやってる会ってこんな風だよね、という雰囲気で撮影して行きました。この写真はまだカメラマンさんの指示をちゃんと聞いていた頃の(笑)かなり綺麗な状態ですが、ここから20分後くらいにはもう皆でどんどん暴走していって!(笑)それぞれから「こういう感じが良いんじゃない?」と次々にアイディアが出て、もちろん撮影ですから実際にお酒を飲んではいないんですけど、しまいには泥酔してベロンベロンみたいなカットも撮ったりしました(笑)。
──では、メンズの皆さんとの連帯感も早速生まれて?
そうですね! 主に渡辺大ちゃんが率先してアイディアを出して、大山真志がツッコんだりボケてくれたり(笑)。三浦さんはちょっとシャイでいらしたので「王様なんだからもっと前に出なよ!」と言ったり(笑)、入野さんも落ち着いた雰囲気の中からちゃんとご自分を出せる方だったので、それぞれが個性的でとてもバランスの良い5人だなと思いました。メンズたちが馬鹿をやるシーンが多い作品なので、皆で仲良く創っていけると感じられるので楽しみです。女子会との対比も出せていけたら良いなと思っています。
恋をしちゃいけないと言ったのに恋しちゃった!
──今回は日本初演の作品になりますが、初演作品ならではの楽しさは?
歴史を重ねてきた作品だと出来ているものの中にハマった上で、如何に自分らしさを出していくか? への挑戦になりますが、初演はそこに集った全員の個性を活かしながら皆でクリエイトしていく楽しさがあります。勿論その分時間がかかりますが、正解が定められていない、皆で創り上げる面白さは格別でとても好きです。
──物語の最初のキーポイントが「勉学に励む為に恋愛禁止」の誓いを立てることですが、村井さんご自身が何かを成し遂げる為に何かを禁止したことはありますか?
高校受験の時に受験勉強に集中する為にゲーム機を封印しました! 男の子あるあるなんですけど(笑)。姉貴に頼んで僕にはわからない所にしまってもらって、おかげで無事に合格できたので良かったなと思っていますが、今回の作品では「恋愛禁止」の誓いは開始5分~10分くらいで破られると思います!(爆笑)。そこがコメディなんですけど、でもやってはいけないと言われると余計にやりたくなることって本当にあると思うし、恋をしちゃいけないって言ったけれど恋しちゃったよ! という可愛い物語の中にあるパワーを感じて頂けたら。ポップな作品になっていますが、そこはシェイクスピアならではの非常に巧みに作られたストーリーでもあり台詞のロジックの楽しさもあるので、そこにも是非注目してもらいつつ、ロックありポップスありの楽しい音楽と共に、ノリ良く楽しんで観て頂きたいと思っています!
■PROFILE■
むらいりょうた○東京都出身。07年テレビドラマ『風魔の小次郎』で初主演。また『仮面ライダーディケイド』などでも活躍。近年は舞台作品で大役を立て続けに演じて、存在感を高めている。主な舞台作品に『里見八犬伝』『マホロバ』『カワイク・シアワセでなくちゃいけないリュウ』『殺意の衝動』『真田十勇士』『RENT』『きみはいい人、チャーリー・ブラウン』『99才まで生きたあかんぼう』『あなたの初恋探します』『アダムスファミリー』『魔界転生』などがある。
【公演情報】
A NEW MUSICAL
『ラヴズ・レイバーズ・ロスト─恋の骨折り損─』
原作◇ウィリアム・シェイクスピア
楽曲◇マイケル・フリードマン
脚色◇アレックス・ティンバース
翻訳・訳詞・演出◇上田一豪
出演◇村井良大/沙央くらま/渡辺大輔 入野自由 大山真志/中別府葵 田村芽実 伊波杏樹 樋口日奈
加藤潤一 石川新太 一色洋平/ 遠山裕介 ひのあらた 木村花代 /三浦涼介
●10/1~25◎シアタークリエ
〈料金〉11,500円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777(9時半~17時半)
〈公式HP〉https://www.tohostage.com/loves-labours-lost/
【取材・文/橘涼香 撮影/岩田えり】
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