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舞台『銀河鉄道999』さよならメーテル~間もなく開幕! 中川晃教・石丸さち子 インタビュー

松本零士の代表作『銀河鉄道999』の40周年を記念して、2018年上演された舞台『銀河鉄道999』~GALAXY OPERA~。終わらない大宇宙の物語を、劇場空間に描き出して大きな話題を呼んだ作品の続編、舞台『銀河鉄道999』さよならメーテル~僕の永遠が、4月20日から明治座で開幕する。

主人公星野鉄郎に再び中川晃教を迎えて、今回は鉄郎の新たな旅が、舞台だけのオリジナルストーリーで描かれるという刺激的な企画で、脚本・作詞を手掛けるのは石丸さち子。
互いに長い親交がありつつ舞台作品を共に創り上げることでは、初タッグを組むことになるという二人が、人々に愛され続けてきた物語を、舞台ならではの新作として紡ぐ想いを語り合ってくれた。

星野鉄郎=中川晃教が歌うことが、舞台『銀河鉄道999』の力に

──舞台『銀河鉄道999』続編のオファーを受けた時の気持ちから教えてください。
石丸 昨年の初演『銀河鉄道999』~GALAXY OPERA~では、歌詞を担当していました。勿論歌詞を書く為には松本零士先生の世界を深く知る必要があって、リアルタイムで映画を観た時に感動して泣いてはいたのですが、更にもう1度『銀河鉄道999』の世界を猛勉強しました。その中で何しろ舞台が宇宙ですから、これまでの作品では使えなかった壮大な言葉をふんだんに盛り込むことが出来て、とても良い経験になった、楽しかったという気持ちがまずあったんです。そこに「続編では台本も」というお話を、しかも「オリジナルストーリーで」という大胆なご依頼を受けたので、改めて作品に当たっていくと、『999』の登場人物たちには、キャプテン・ハーロックにしても、クイーン・エメラルダスにしても、自身が主役の作品群があるのですが、その時々で少しずつ設定が違っているなと(笑)。
中川 あっ、それはありますね!
石丸 でも『999』のテーマってそんな時間や場所の設定を越えたところにあるんだ! とある時思ったんです。この作品は大宇宙の中に生を受けた人間が、どう生きていくか? に真正面から対峙した人々の遺伝子の物語で、彼らが手渡していった魂を受け取った鉄郎が、機械の身体で永遠の命を得ることではなく、限りある命を生ききることの尊さに覚醒する。ですから人々が懸命に生きていく美しさを、大宇宙から定点観測のように見つめる物語を描けば良いんだと思いました。それほど松本先生が描かれた世界が大きなものだったので、この世界を愛している全ての方達に「こうつながるのか!」と驚いて頂ける新しい物語を、松本先生の世界を探検しながら書かせて頂きました。
中川 やっぱり僕たちの仕事ってまず「台本」があって初めて全ての現場が動き出すので、石丸さんがこの世界を本当に高い熱量を持って書いてくれたことが伝わるのが嬉しいです。書けるかどうかをもう1度考えたいと『銀河鉄道999』~GALAXY OPERA~を大阪まで観にきてくださったんですよね。そこで「見えた」とおっしゃってくれて。
石丸 そう。やっぱりこの舞台版の何が特徴かと言えば、「星野鉄郎が歌う」ということでしたから。そこにアッキー(中川)の唯一無二の歌声がある、それによって細かい説明を敢えてしないで、歌に託すことができると思えたのが力になりました。だからラストは壮大なロングナンバーになっていて、ひとつの冒険でもあるのですが「さよならメーテル、僕の永遠」というタイトルに帰結もし、松本先生の描いた大宇宙と、人が持つ記憶の宇宙が結びついたものになると思っています。

時空を超えた、劇場でしかできない壮大な旅を体験して欲しい

──実際に、星野鉄郎を演じてみて、感じたことはどうですか?
中川 大変でした。今まで有難いことに様々な作品を経験させて頂いてきましたから、舞台に向けてのペース配分などはわかっているつもりだったのですが、いざ舞台に立ってみると思った以上に大変で。と言うのも、この物語の中の星野鉄郎って全てを引き寄せる力を持つスーパースターだと気づいたんです。全人類を機械化させる目的の為に、鉄郎は『999』号に乗せられたとも取れるんですが、やはり彼の力がその運命を引き寄せて、道を拓き、母の仇の機械伯爵をコスモドラグーンで殺す。そこで鉄郎はただ仇だと思っていた機械伯爵にも、人間だった時代があることを知って悲しみを見出すんです。目標を成し遂げた瞬間に、彼の中で確実にひとつのものが死に、新しく生まれ変わる。石丸さんはさっき「覚醒する」とおっしゃったし、今回の続編の中にもそれが強烈に描かれていますが、何かを失うことで何かを得て、必ず希望に向かって進んでいく鉄郎の求心力が、全ての登場人物たちを引き付けて、終わらない旅が紡がれていく。そんな鉄郎を演じるのには本当に強いパワーがいることを実感させられる役です。
石丸 鉄郎が天才なんだ、とは私も強く思います。どんな困難にぶつかっても既成概念に囚われずに自由な発想で乗り越えていく。物語を、歴史を創る為には、こういう天才が絶対に必要で、それが中川晃教という天才にも通じているので。
中川 ミュージカル界でデビューさせてもらった頃から、演出助手や演技指導を通じて僕を知っていて下さった石丸さんに、そう言ってもらえるのは嬉しいです。作家と俳優という形で仕事をするのは、今回が初めてで。
石丸 本当に! 長い付き合いなのにね!
中川 それが『999』だったことにも、運命を感じます。僕は『モーツァルト!』のモーツァルト役でこの世界にデビューさせてもらったこともあって、20代後半までは天才的な役柄を頂くことが多かったんです。その後様々な役柄の経験を経て、大袈裟に言えば自分の中で1周回ったと思えていた時に、再び出会ったのが鉄郎というスーパースター、天才だったことが何か巡り合わせのようで。今、日本のミュージカル界に熱い風が吹いている時に、誰もが知っていると言っても過言ではない物語の『銀河鉄道999』をオリジナルミュージカルにすること、この壮大なプロジェクトに関われることに責任を感じています。今回確実に前作よりも音楽が重要なキーワードになっていて、木下晴香さん、伊波杏樹さん、前山剛久さん等の新しいメンバーが集まってきてくれているので、その音楽、動き、演出が一体となった時、お客様も鉄郎と共に時空を飛び越えて旅ができる。そんな体験のできる時間になりますので、僕たちと共に劇場でしかできない旅をしにいらして下さい!

なかがわあきのり○宮城県出身。01年自身が作詞作曲を手掛けた「I WILL GET YOUR KISS」でデビューし、同年の日本有線大賞新人賞を受賞。翌02年、日本初演となったミュージカル『モーツァルト!』の主役に抜擢され、読売演劇大賞優秀男優賞、文化庁芸術祭賞演劇部門新人賞、杉村春子賞など、初舞台にして数々の賞を受賞する前例の無い快挙を成し遂げた。以降、音楽活動と俳優活動を並行して行っている。16年に主演を務めたミュージカル『ジャージー・ボーイズ』では、読売演劇大賞最優秀男優賞および菊田一夫演劇賞を受賞するなど、更なる躍進を続けている。

いしまるさちこ〇演出家・劇作家。早稲田大学演劇専攻を卒業後、蜷川幸雄作品に、俳優/演出助手として数多く参加。09年独立後、自主企画作品のためのTheatre Polyphonicを立ち上げる。13年、ニューヨークの国際演劇祭に招聘されたNew Musical『Color of Life』が、フェスティバルアワードで、最優秀ミュージカル賞、最優秀演出賞、最優秀作詞賞などを受賞。日本でも16年初演以来好評を博し、19年5月東啓介、青野紗穂による上演が決定している。6月翻訳・演出作品『BACKBEAT(バックビート)』の上演が控えている。

【公演情報】

舞台『銀河鉄道999』さよならメーテル~僕の永遠
原作・総監修◇松本零士
脚本・作詞◇石丸さち子
演出◇落石明憲(東宝演劇部)
映像演出◇ムーチョ村松
出演◇中川晃教 凰稀かなめ 前山剛久 矢沢洋子 木下晴香
伊波杏樹(Wキャスト) 美山加恋 お宮の松
塚原大助(声の出演) 松下由樹(声の出演)平方元基
●4/20~29◎東京 明治座
〈料金〉 S席(1階席・2階正面・車椅子スペース)12,000円 A席(2階正面)9,000円 B席(3階席)6,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉明治座チケットセンター 03-3666-6666(10:00〜17:00) 
●5/10~12◎大阪 梅田芸術劇場メインホール
S席(1階席・2階席前方)12,000円 A席(2階席中通路以降)9,000円 B席(3階席)5,000円(全席指定・税込)
〈お問い合わせ〉東京音協(平日11:00~17:00) 03-5774-3030
〈公式サイト〉www.999-40.jp 
〈公式twitter〉@GalaxyEX999_40
 

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