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宝塚初の東京ガーデンシアターで真風涼帆率いる宙組が躍動!『FLY WITH ME』開幕!

2020年、東京ベイエリア「有明ガーデン」敷地内に、国内最大の劇場型ホールとして誕生した「東京ガーデンシアター」で、宝塚歌劇団宙組トップスター真風涼帆の初リサイタルである、SUZUHO MAKAZE SPECIAL RECITAL@TOKYO GARDEN THEATER『FLY WITH ME』が開幕した(12日まで)。

「東京ガーデンシアター」は、アリーナ席、三階層のバルコニー1、2、3の約7000席を有する(設営により増減あり)劇場型ホール。収容人数の多さに比して、ステージ全体を取り囲む形の客席配置が臨場感を失わない広大な空間となっている。この新たな舞台に、宙組トップスターとして円熟の時を迎え、なお進化を続ける真風涼帆が登場。EXILE、三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEなど数々のアーティストを生み出し、時代をリードするLDH JAPANのライブの企画・演出を手掛けるクリエイティブチーム「TEAM GENESIS」によるプロデュースと、宝塚歌劇団が誇るいま乗りに乗っている作・演出家野口幸作がタッグを組み、劇場全体を「空港」および「宙(ソラ)」に見立て、真風以下、宙組選抜メンバーが、「Love」「Dream」「Romance」をテーマに、様々なフライトに飛び出していくという構成で綴られるステージとなっている。

「MAKAZE AIRLINE」に搭乗し、タイトル曲「FLY WITH ME」から始まったリサイタルは、ステージ中央、上手、下手に設置されたLEDパネルをはじめとした映像効果や、ライブ感にあふれる照明効果も相まって、大きなスケールでスピーディに進んでいく。そこにはなるほどProduced by TEAM GENESIS from LDH JAPANと銘打たれただけの仕掛けを数多く感じるが、そこに非常に宝塚らしい、ちょっとレトロな選曲や、大幅な脚色を加えていると明言しての「真風涼帆ヒストリー」など、これまで近いところでは柚希礼音、明日海りおが行ってきたアリーナライブと共通する、良い意味のクラシックが持ち込まれていることが面白い。ここには宝塚愛が自らのなかで爆走していることを全く隠さない、構成・演出の野口幸作の視点が生きていて、宝塚にとって新たな歴史の1ページが、あくまでも宝塚歌劇団の世界観から浮かなかったことに感心した。このリサイタルのあとに宙組が上演することが決まっている、2015年に連続ドラマとして日本テレビ系列にて初放送され、2020年までにシリーズ5作、映画シリーズ7作が作られている大ヒット作品「HiGH&LOW」シリーズの隠された前日譚(THE PREQUEL)を描く、TAKARAZUKA MUSICAL ROMANCE『HiGH&LOW-THE PREQUEL-』という、宝塚歌劇の世界観としては相当に異色の作品も、きっと野口の宝塚愛が、何よりも宝塚歌劇団という劇団そのものの底力が、宝塚色に変換していくのだろうと思わせるパワーを感じられたのが嬉しい。

実際、このリサイタルの中でも「HiGH&LOW」シリーズの映像解説のあとで、宙組メンバーが登場人物たちに扮して歌い踊るショー場面が組み込まれていて、作品世界に感じていた一抹の不安が瞬時に期待に変わっていき、既に宝塚マジックがはじまっているのを実感させたのが頼もしかった。

そんなステージを引っ張る真風涼帆は、男役としての型を完全に確立していて、常に悠揚迫らぬ落ち着きを感じさせる人だけに、汗をいっぱいかきながら、広いステージを駆け回っている姿が新鮮に写る。男役としての大きな芸風と個性が、近年はまず前面に押し出されるようになっていたが、若手のころはダンサー枠だったことを思い出させる踊りっぷりも爽快で「さらなる高みを目指そう」と歌う真風の視線の先にある飛翔はどんなものなのだろう、と想像をかきたてる充実のパフォーマンスだった。

その真風の相手役潤花は、どこかで往年の美人女優を思わせる華やかな容貌のなかに、現代的なスピリットを多く内包していることが、こうした新しさもあるステージに打ってつけ。宝塚のトップ娘役としてはあまり多くないだろう、マニッシュな衣装や振付が抜群に似合い、『FLY WITH ME』の世界に見事に親和していることに、改めて潤の真価を感じた。

そして、宙組の贅沢さを代表している芹香斗亜が、真風とはハッキリ異なる自らの個性を押し出しながら、宙組の一員であることからも外れない絶妙な立ち位置を今回も披露。真風と、また潤と踊る場面も魅力的だし、次回作『HiGH&LOW-THE PREQUEL-』で演じるROCKYの扮装の決まり方には惚れ惚れする。次回作への期待感を高めたというポイントひとつをとっても貴重な存在だった。

「紫が似合うロイヤルPRINCE」と紹介された紫藤りゅうは、その言葉通りのプリンスチャーミングな持ち味を存分に発揮して目を引く。近年やや年かさの役柄が回ってくることが続き、紫藤らしい真摯さでそれらの役どころもきちんと務めているが、やはりこの人の真価は、こうしたロイヤルでノーブルな男役像のなかにあることを印象づけるキラキラ感が眩しい。宙組男役陣のなかでも突出した紫藤の魅力を、今後も是非大切にして欲しい。

また、定評ある歌唱力だけでなく骨太な存在感も纏うようになってきた鷹翔千空が、『HiGH&LOW-THE PREQUEL-』で演じる村山良樹を鋭く見せたし、秋音光、優希しおんのダンス力、若翔りつの歌唱力等々、宙組生適材適所のキャスティングが心地良い。若手ホープ亜音有星のスター性もやはり目に立つし、娘役も、ますます視線を集める力を身に着けてきた天彩峰里をはじめ、歌唱力の小春乃さよ、花宮沙羅、美貌の水音志保、山吹ひばりをはじめ全員が躍動。「東京ガーデンシアター」の広大な空間を、宝塚色に染め上げたキャスト、スタッフ全員に拍手を贈りたいステージだった。

初日を前に、宙組トップスター真風涼帆からのコメントが届いた。

【真風涼帆コメント】
まずは舞台に立てることが当たり前でない中、無事初日を迎えられますこと、関わっていただいた全ての方々に感謝申し上げます。
初めての劇場、初めての広大な空間で、幸いにもLDHさんのお力をお借りし、新たなことにもたくさん挑戦させていただいています。宝塚とLDHさんがコラボしたら、こんな風になるのか、というワクワクがたっぷり詰め込まれていますので、お客様にもどんどんご参加いただき、存分に楽しんでいただければ嬉しいです。こんな時だからこそ、多くの皆様に、明日への活力となるような特別な時間を過ごしていただけるよう、誠心誠意務めたいと思います。

【公演情報】
SUZUHO MAKAZE SPECIAL RECITAL@TOKYO GARDEN THEATER
『FLY WITH ME(フライ ウィズ ミー)』
Produced by TEAM GENESIS from LDH JAPAN
構成・演出:野口幸作
出演:真風涼帆、潤花 ほか宙組
●6/10~12◎東京ガーデンシアター
〈料金〉SS席12,500円 S席10,000円 A席6,000円 B席3,000円
〈お問い合わせ〉宝塚歌劇インフォメーションセンター 0570-00-5100
〈公式ホームページ〉https://kageki.hankyu.co.jp/revue/2022/flywithme/

 

【取材・文・撮影/橘涼香】

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