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日本のミュージカル史に燦然と輝く大ヒットミュージカル『エリザベート』合同取材会レポート

日本にウィーンミュージカルの魅力を知らしめた作品として、上演の度に熱い旋風を巻き起こし続けている大ヒットミュージカル『エリザベート』が、2015年、2016年の上演に続く3シーズン目の出演となるタイトルロールのエリザ—ト役の花總まり、トート役の井上芳雄に、新たなエリザベート役に宝塚歌劇団退団後の初舞台・初主演となる愛希れいか、トート役に古川雄大という、魅力的な新キャストを加えて6月7日〜8月26日まで有楽町の帝国劇場で上演される。

『エリザベート』は、のちに『モーツァルト!』『レディ・ベス』等多くの人気ミュージカルを世に送り出す、脚本・歌詞のミヒャエル・クンツェ、音楽・編曲のシルヴェスター・リーヴァイによって、1992年にウィ—ンで初演されたミュージカル。作品はたちまちにして大評判となり、1996年小池修一郎の潤色・演出により宝塚歌劇団で初演。2000年には同じ小池修一郎が新たな演出で東宝版として初演。オーストリア=ハンガリー帝国の皇妃エリザベートの自由を求め続けた人生に、彼女を愛し死の世界へと誘い続ける黄泉の帝王トート=死を絡めて描いた作品は、日本でも絶大な人気を集め、上演を重ねてきた。今回2019年の上演は東宝版としては3年ぶりの上演で、新キャストも多く、大きな注目を集めている。

そんな期待の公演の合同取材会が、新元号「令和」の発表に沸く4月1日都内で開かれ、エリザベート役のWキャスト花總まりと愛希れいか、トート役の井上芳雄と古川雄大が登壇。公演への抱負を語った。

古川・愛希・花總・井上

【登壇者挨拶】

花總 皆様本日はお忙しい中お越しくださり本当にありがとうございます。エリザベート役を演じさせて頂きます花總まりです。今日は最後までどうぞよろしくお願い致します。
愛希 皆様本日はお越しくださりありがとうございます。エリザベート役を務めさせて頂きます愛希れいかです。精一杯頑張りたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。
井上 本日はどうもありがとうございます。3回目のトート役を演じさせて頂きます井上芳雄です。僕は初舞台が『エリザベート』のルドルフ役で、僕にとっては故郷のようなホームのような作品なのですが、また新たなメンバーも迎えて、新しい気持ちで、年号も変わりましたし、新しい『エリザベート』を創っていけたら良いなと思います。どうぞよろしくお願い致します。
古川 本日はありがとうございます。トート役を演らせて頂きます古川雄大です。僕は2012年にルドルフ役を演らせて頂いた時から、このトートという役に憧れておりました。ミュージカルをやっていく上で死ぬまでにできたら良いなと思っていたのですが、まさかこんなに早くチャンスを頂けるとは思っていなくて、正直びっくりしております。できる限りのことをやって、今までにないトートを演じられたらと思います。よろしくお願い致します。

【質疑応答】

──いよいよ2019年新たなメンバーで開幕ということで、今のお気持ち、また意気込みをお願い致します。

花總 まだ自分の中では先のような気がしていたのですが、今日こうして合同取材会をさせて頂くことになって、いよいよ近づいてきたんだなというドキドキ感と、新たなメンバーで『エリザベート』が創れることにすごくワクワクしています。


井上 またやれることは素直に嬉しいということと、昨今ミュージカルブームと言われて久しいですけれども、確かに色々なところでミュージカルを取り上げて頂けていて、追い風が吹いているなという気がしています。その中でも日本のミュージカルの中でこの『エリザベート』は独自の進化を遂げている大切な演目だと思うので、今ミュージカルを好きになったけれども、まだ『エリザベート』は観たことがないという方もたくさんいらっしゃると思うので、今までのファンの方にはもちろん楽しんで頂きたいですし、初めて『エリザベート』をご覧になる方々には、これが俺たちの『エリザベート』なんだというものをしっかりお見せしないといけないという、責任感があります。『レ・ミゼラブル』には負けていられないなと(爆笑)、東宝の人も苦笑いという(笑)。もちろん競う必要はないのですが、同じくらい日本を代表する演目になっていると思うので、しっかりとその矜持を持ってやりたいなと思っています。
愛希 今は緊張の気持ちが大きいのですが、新しいことに挑戦できるという楽しみな気持ちと緊張が入り混じっております。
古川 芳雄さんがおっしゃったように日本を代表するミュージカルで、僕も大好きな演目でもあります。ですからこの作品にまた参加できる喜びと共に、緊張やプレッシャーの中にいるんですが、勉強させて頂きながら、楽しみながら初日に向かっていけたらなと思っています。


──『エリザベート』にはたくさんの魅力的な楽曲がありますが、皆様が特にお好きな楽曲はありますか?
花總 『エリザベート』の歌は本当に全部大好きです。中でも幕開きの亡霊たちが登場してくる曲が大好きで、あれを聞くと出演者ながら鳥肌が立つくらい好きですが、全ての曲が好きです。
愛希 私も全部大好きですが、中でも「パパみたいに」は少女時代のエリザベートの全てを表わしている曲で、とても難しいのですが、大好きです。
井上 色々な曲があるのですが、トートとしては「最後のダンス」という曲が代表的なナンバーですし、エリザベート役の方を振り回すと言いますか、エリザベートはほとんど歌わず「やめて!」とか「イヤよ」とか言うだけで(笑)振り回させてもらっていて。僕、普段は本当に穏やかに人に嫌われないようにしているのですが、トートで「最後のダンス」を歌っている時だけは、自分の中にこんなにSっ気があったか!っていう(笑)。自分の中の暴力性や、攻撃性を出しても良いと言われるというのは、本当にこの仕事やっていて良かったなと思うので(笑)、今年も楽しみにしています。
古川 僕はトートの歌で言えば「最後のダンス」です。それがトートに憧れているひとつの理由だというくらい大好きなナンバーで、それくらい魅力的な曲です。あとは精神病院のシーンも僕は好きで、あの場面の曲にもグッときています。

──続投のお二人は今回役に臨むについての新たなプランがありますか?また初役のお二人は今の時点で考えられている役作りについて教えてください。

花總 それは秘密です(笑)。自分の中ではああしたいな、こういう風に持っていきたいなというものはあるのですが、だんだんそれが稽古中に変化していくかも知れないし、本番が始まっても初日から千秋楽まで更に変化していくかも知れないので、自分だけの楽しみと目標として、今は秘密として頂けたらと思います。

井上 僕もちょっとまだ何をどうとはハッキリ言えないのですが、いつも思うのはトートという役は「死」という概念なので、ある種哲学的なところも必要な役だなと前から思っていて。それは簡単に答えが出るようなものではないのですが、「死」を描くということは「どう生きたか?」を描くということだと思うので、登場人物たちが苦しんだり楽しんだりしながら、生き生きと生きていく様子がお客様に伝わるような死神であったら良いなと。それは本番までわからないですし、今回で答えが出るというものでもないと思うのですが、そのテーマに関しては今年も考え続けてやりたいなと思っています。

愛希 私もああしよう、こうしようという想像ばかりが膨らんで、稽古に入るまではわからないという部分がたくさんあるのですが、生きるエネルギーをしっかり持って頑張りたいと思っています。
古川 僕もまだわかっていないのですが、観た方がそれぞれに考えさせられるようなトートであれたら良いなと思います。人によって捉え方も違いますし、同じ人であってもその時の感情や精神状態によって色々なものに見えるかも知れない。その人が生み出しているものなのか、対峙している人に見えているのかとか、自分でも考えている内にわからなくなっている部分もあるのですが、深層心理や色々な表情を見せられるトートを目指していきたいと思います。


──愛希さんと古川さんは新キャストでありつつ、それぞれ『エリザベート』には大変縁の深いお二人でもありますが、今回の2019年版のオファーを受けられた時の気持ちはいかがでしたか?
愛希 この作品の大ファンでしたので、出演させて頂けるということがすごく嬉しかったのと、宝塚歌劇団に在団させて頂いていた時にエリザベート役をさせて頂いているので、もう1度挑戦できるんだ!という気持ちがありました。でもすごく愛されている作品ですので、責任があるな、頑張らなければと思いました。
古川 前回のルドルフ役で迎えた千秋楽のカーテンコールの時に「ルドルフを卒業します」みたいなことを宣言したんです。ですからしばらく『エリザベート』はやれないのかなと思っていたところ、トートでというお話を頂けて、ちょっと自分でもわりと早くチャンスを頂けたという想いなので、すごくびっくりした気持ちが正直ありました。さっきも言いましたがプレッシャーの方が大きいです。

──花總さんと愛希さんがお互いに抱いている印象を教えてください。
花總 『マリー・アントワネット』を観に来てくださった時に、一緒にエリザベート役をさせて頂くということでご挨拶したのですが、その時は宝塚を退団された直後で、愛希さんからもう私にはない湯気が立っていました! それを感じて嬉しい気持ちになりました。今の今まで燃えていました!というとても懐かしく感じる湯気でした。
愛希 お会いした時には本当に緊張していたのですが、私は宝塚時代の舞台もたくさん拝見させて頂いていたので「お姫様」というイメージが強かったのに、お会いしてとても気さくに話しかけてくださって、笑顔が素敵な方という印象です。雲の上の存在だったので、嬉しかったです。


──『エリザベート』と言えば小池修一郎さんの存在が大きいですが、こと『エリザベート』ならではの小池先生のエピソードなどがあればお聞かせ下さい。

井上 僕は今日この席に小池先生がいらっしゃると思っていて、良い意味で一安心していたのですが、あ、いらっしゃらないんだという感じがある。それくらいいらっしゃって当たり前と言いますか、勿論ウィーンで生まれたものではあるのですが、こと日本の『エリザベート』に関しては小池先生がずっと創り上げてきたと言って良い作品だと思うので。でも『エリザベート』だから特に違うということはないように思います。東宝版は何年かに1度ずつリニューアルと言いますか、演出を変えるので、何がすごいと言って同じ作品をこんなに何パターンも演出している演出家っていないと思います。その一方で宝塚版はほとんど初演から変えずにやられているので、先生の中でその棲み分けはされていると思います。今回のバージョンは3回目になりますから、初めて作り直す時ほどではないと思うんです。やはり今まで何回もやってきているものを新しくまた生み出すというのは大変なことなので、結構毎回小池先生も試行錯誤しながらエネルギーを持ってやっていらっしゃるなと思います。ですから『エリザベート』だからと言うよりも、毎回チャレンジしている方という印象です。中でも『エリザベート』の演出を受けている時には、作品全体を見渡せているという、先を見とおしている感覚があります。「どんなに一生懸命稽古場でやっていても、トートという役に関しては舞台上にいって、衣装をつけヘアメイクをして照明の中でやらないと完成しないよな」ということを稽古場でおっしゃっていて、その時僕は稽古中だったので、よくわからなかったのですが、舞台上に行ってみて「あ、確かに!」と。なんて稽古場ではやりずらかったんだろう、稽古場ではやりたくない(笑)、古川君はできるかもしれないけれど(笑)、稽古着で(トートの手つきをして)これをやるのはなかな厳しいと思ったし、小池先生はそれを見据えた上で演出していらっしゃるんだなと思いました。
古川 僕は小池先生とはたくさんご一緒させて頂いていて、と言いますかほとんど小池先生とご一緒なのですが、『エリザベート』だからということは僕にもよくわかっていませんが、どの作品でも変わらずにすごい熱量を持って創っていらっしゃるなと思います。あとは初演であれ、再演であれ変わらずに追求していかれる姿勢が素敵だなと思います。

花總 小池先生は雨が降ろうが、風が吹こうが、何があろうが、小池先生は小池先生ということです。どんな作品でも相手が誰でも、小池修一郎という先生は動きようがないです。
井上 何か忘れられないエピソードとかないんですか?
花總 たくさんあります。
井上 言えないやつがほとんどでしょう?
花總 はい、そうです!(笑)。色々乗り越えましたけれども、それがすごいところだなと。
井上 よく伝わらないと思うけど(笑)、言えないところが小池先生だと。
花總 でも皆さんもよくご存知だと思います!小池先生は小池先生で、いつまでも変わらない素晴らしい方です。
井上 最後上手く着地しましたね!(笑)。でもエネルギー量も全然変わらないですよね?
花總 そうです。ご本人は「もうダメだ、もうダメだ」とおっしゃっていますが、色々な教えを受ける私たちからしたら、やっぱり小池先生だなと言うところを突いてきます。
井上 ちょっと丸くなったかな?と思いきや、別の部分がすごく鋭くなったり、油断できない方ですよね。
花總 そう!油断できない方です!
愛希 私も皆さんと同じ想いなのですが…
井上 言っちゃった方が良いですよ!(笑)
花總 たぶんね宝塚の演出家と生徒としての小池先生と、ちょっと微妙に違う印象を私は受けました。
井上 僕も宝塚OGの方には厳しいなという印象を東宝の稽古場で受けました。
花總 私達には何を言っても良いという感じがあるので(笑)、愛希さんが1番この稽古場で「あれっ?」って思うかも知れない。
井上 稽古場にくるのがイヤになっちゃいますよ!愛希さんが(笑)。
花總 (笑)私もその違いを感じたので。
愛希 私は宝塚時代にもコテンパンな方だったので。どのくらい優しくなるんですか?
花總 いや、違う、違う!(笑)
井上 OGの人には違う厳しさを見せるの!
愛希 じゃあ、覚悟して!
井上 でも古川君だって色んな目に遭ってるよね…色んな目っていうのもなんだけど(笑)。
古川 そうですね。小池先生の演出作品ではなくても楽屋にいらしてダメ出しをされるんですが、それが正しいことをおっしゃっていると思えるのでちょっと悔しいです(笑)。
井上 それくらい熱いってことですね。

──長い稽古、また公演期間にコンデイションの整え方にはどんなものがありますか?また今回新たにチャレンジしてみようと思っていることは?
愛希 エリザベートにちなんで器械体操をやりましょうか(笑)。今まではやっていませんし、今のところやる予定もないのですが(笑)。
井上 それはダメでしょう(笑)。
愛希 はい!(笑)。でもちゃんと体力をつけて、喉のケアをしていきたいと思います。
古川 風邪をひかないようにを必死で気をつけています。1番特殊なところで言うと「鼻うがい」を1日2回やっています。風邪の8割は鼻からくるそうなので。
井上 それ痛くないの? 鼻うがいって。人様には見せられない感じ?(笑)。
古川 はい、だから風呂場でやります(笑)。でも風邪をひくことは減りました。あとは吸入もやっています。


井上 僕基本的にトートをやっている時はすごく楽しくて。稽古場では落ち着かなくて辛いんですが、舞台に行ってしまえばこっちのものだ!という感じで楽しくやれていた気がして。まぁ、今回はわかりませんけど(笑)。『エリザベート』をやっている時に思うのは、皆さんがご存知のようにこの作品はエリザベートがタイトルロールで主役で、如何にこのお二人が健康に気持ちよくやってもらうかで、僕の力でどうこうできる訳ではないのですが、でも気にはしていて。傍から観ていても大変な役だと思うんです。トートは全然そんなことなくて(笑)、ちょっと出て来てワッと歌えばすごく印象深いと言われて、一生トートをやってたいと思うくらい良い役だな(笑)と僕は思っているのですが、エリザベートは花總さんを見ていても、全身全霊を捧げてやっていらっしゃるなという感じがしていて、なんとか気持ちの上でだけでもサポートを、「元気かな?」とか「大丈夫かな?」「こうしたらやりやすいかな?」と常に思っていることが、役にもつながってくるのかな?ということでしょうか。あとは『エリザベート』は貸切公演が多いので、貸切の挨拶も頑張りたいです!
古川 貸切の挨拶ってトートがやるんですか?
井上 二人でやって、最後はエリザベート役の方がやるから、ちょっと温めてから「ではどうぞ」と(それは井上さんだけなのでは?と訊かれて)、えっ?僕だけなの?(笑)でもまぁ、そういうことです(笑)。
花總 私は今までの傾向として頑張り過ぎてしまうところがあるので、お稽古中から頑張り過ぎず、考えるのは稽古場だけ!みたいにして、夜寝る時にはすべて忘れると思って今回は稽古に臨もうかなと思っています。どうも引きずってしまうと体調が悪くなってくるので、そこを今回ちゃんと切り替えて臨んでみようと思います。

──ミュージカルブームの中で、今回初めて『エリザベート』を観にくる方に、見どころを教えて下さい。
井上 よく訊かれるのですが、魅力があり過ぎて「これです!」とズバッと言うのが難しいし、多分訊かれる度に違うことを答えていると思うのですけれど、今のミュージカルブームということから言うと、別世界ということでしょうか。僕たちが普段生きている日常からは、国も時代も違いますし、エリザベートという人は今の時代の僕たちから見てもとても魅力的な方ですし、そこにトートという「死」の世界観、実際には見えないものが加わって、ここにしかないものが出来上がっていることがすごい魅力なんだと思います。そろそろディズニーランドに行きたいなと思うのと一緒で、非日常に身を置くことでまたリフレッシュして日常に戻っていって頂く。それが素敵にできる作品なんじゃないかなと思っています。
花總 この作品は本当に良くできていて、曲も大変素晴らしいのですが、決して幸せなお話ではなくて。実際にハプスブルグ家もなんとも言えない最後を迎えていく訳です。エリザベートも、フランツも、ルドルフも、ゾフィーも実際に生きられた方々の人間模様は、決して幸せなものではないにしても、それを観た私たちが多くのことを共感し、考えさせられ、逆に希望も持てる。その全てが『エリザベート』という作品には詰め込まれていて。現実を忘れてたった3時間ですけれども、その何百倍も何千倍も感じることができる素晴らしい作品だと思います。
愛希 花總さんのおっしゃったように決して幸せなお話ではないし、初めてミュージカルをご覧になる方はハッピーミュージカルの方が観やすいかな?と思ったりする方も多いかと思いますが、本当にこの作品を観終わった後には、生きる勇気や明日からも生きよう!と思えるエネルギーをもらえるので、是非初めての方にも観て頂きたいです。
古川 美しさでしょうか。小池先生演出の美しい世界観。そして先ほど芳雄さんもおっしゃったこのお話にはトートがいるという要素が入って、すごくダークな中に美しい旋律があったりする。そういう美しさは『エリザベート』以外にはない部分かな?と思うので、そこが魅力です。


──ミュージカルスターの皆様は歌の上手い方々ですが、どうやったら歌が上手く歌えるようになれるのでしょうか。
古川 僕が知りたいんですが。音大に行く。
井上 いや、行ったってそんなに上手くない人いっぱいいる!(爆笑)。
古川 そうなんですか?(笑)ええと、努力です。僕がお三方に訊きたいです。
愛希 あの、私も訊きたいです!
井上 ちょっとこういう流れいらないから!
花總 良い流れじゃないですか!(笑)。基礎を学ばないといけないから(笑)。
井上 いや、本当にこの流れはいらない!(笑)
花總 え、良い流れなのに!(笑)そうですね、歌は心です!
井上 つまり、今三人の答えを聞いて頂いてわかるように、すごく難しいことなんですね。どうやったら上手く歌えるのか?って。ミもフタもないのですが、良い声帯を持っていれば良い声が出るので。実際に音大もそういう世界です。良い楽器(声帯)を持っている人が神というか。でも普通に歌う分には、技術でいくらでも上手くなると思います。もちろん「三大テノール」みたいにはなれなかったとしても、声帯も筋肉なのでスポーツと一緒で、腕を鍛えたり足を鍛えたりするように、喉の声帯を鍛えるやり方があって、鍛え続けていれば足が速くなるのと一緒です。自分の癖や力が入ってしまうところを取っていけば、ある程度までは技術でいかようにでも上手くなれます。ただ、最後は持って生まれたものですね。あぁ、ごめんなさい、これだと記事になる気が全然しないですね!じゃあね、あ、何か僕必死になっていますが(笑)、ミュージカルの特徴というのは、気持ちや言葉を歌にすることなんです。花總さんもおっしゃっていたけれど、怒りでも喜びでも良いので、自分が感じたものに合った歌を歌う。『雨に唄えば』という有名なミュージカルのテーマ曲がありますが、あれは嬉しすぎて雨の中でも歌って踊っちゃうという、結構誰にでもあるものを具現化したものなので、そういう自分の気持ちに合ったものを歌うというのはどうでしょうか!
花總 私は何よりも気持ちが大切だと思ってここまで乗り切ってきました。少々音が外れても気持ちさえあれば気にならない!(笑)
井上 なんだかどんどんドツボにハマってきた(笑)。
花總 でも形通りのものでは成り立たない、上手く歌おうとすればよいものではないので、やはり歌は心です!

──井上さんと古川さんはお二人共ルドルフ役を経てトート役を演じられますが、同じ作品の中で違う役を演じる面白さと難しさは?
古川 まだトートを演じていないのでなんとも言えないのですが、面白さとしてはトートの譜面をもらった時に、色々な発見がありました。こういうフレーズを歌っていたんだ!とか、新しい発見があって。ルドルフの気持ちはわかっているので、トートの存在として更に膨らんでいくものがあるのかな?と思います。
井上 僕はルドルフを卒業してから間があいてトートをやらせて頂きましたし、演出も変わっていましたので、新しい作品に入らせて頂くという感じでしたが、よく知っている分緊張する面もありました。自分が見てあぁ良いなぁと思ってもいたので、トートってこうじゃなければとか、あそこが素敵だったとかの想いがあり過ぎて、手を出しにくいという感じもあったんです。でも実際に稽古をやっていく内に新たなものが見つかっていきますし、同じ作品でも役が替わると見える景色が全く違いますので、そこは面白いところです。難しいのはトートとルドルフって「闇が広がる」というデュエットがあって、そこでどっちにいけば良いのかわからなくなってしまうんです。ルドルフのパートを実際に歌いそうになったことが、本番中にもありました。「いや、俺はトートだ!」と思うんだけれど(笑)。上下のハモリもバージョンによってどっちが上にいくかが違っていたり、リフレインの度に変わるというバージョンもあったので、訳がわからなくなるという辛さがあると思うので、気をつけてやりたいです。ユニゾンになっちゃったりするので(笑)。

──では、一言ずつメッセージをお願いします。
古川 本日はありがとうございました。今回トート役でやらせて頂きます。限られた時間ですが、できる限りのことをして、今までにない新しいものを生み出していけるように頑張りたいと思います。よろしくお願い致します。
井上 またやれることがとても嬉しいですし、今こうしてフランクに話させて頂いていますが、花總さんは日本で初めてエリザベート役を演じた方で、また今年もやるというのはすごいことだと思うんです。その方とまた一緒にやらせてもらえることをありがたいと思います。前回「レジェンド」と言い過ぎて、今回は別の呼び名を考えようと思うのですが、まだ浮かんでいないんですけれども(笑)、でも本当に一緒にやれることを無駄にしないで、また愛希さんという新しいエリザベートを迎えますので、トートとしては二人を支えて、最後に命を奪いますが(笑)、支えつつ、奪いつつ、大きなカンパニーで長い公演ですので、最後までできる限り作品のテーマとは裏腹に元気にやっていきたいなと思います。
愛希 本日は本当にありがとうございました。私もこの作品が大好きで出演できることを幸せに思います。素晴らしいキャストの皆様と、また花總さんとWキャストでやらせて頂けることを本当に光栄に思うので、たくさん学び、全力で取り組みたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。
花總 本日は本当にありがとうございました。最後にこんなに立てて頂いて(笑)。でもまたこうして2019年にエリザベート役で出させて頂けるというのは、ありがたいことなんだなと今つくづく実感致しました。1回1回を大切に心残りのないように、素晴らしいキャストの方々と一緒に2019年版の『エリザベート』を一生懸命創って参りたいと思います。どうぞ皆様、最後までよろしくお願い致します。

【公演情報】

ミュージカル『エリザベート』

脚本・作詞◇ミヒャエル・クンツェ
音楽・編曲◇シルヴェスター・リーヴァイ
演出・訳詞◇小池修一郎
出演◇花總まり/愛希れいか(Wキャスト)井上芳雄/古川雄大(Wキャスト)田代万里生/平方元基(Wキャスト)京本大我(SixTONES/ ジャニーズJr.)/三浦涼介/木村達成(トリプルキャスト)未来優希  剣 幸/涼風真世/香寿たつき(トリプルキャスト)山崎育三郎/成河(Wキャスト)
植原卓也 原慎一郎 松井工 秋園美緒 真瀬はるか ほか
●6/7〜8/26◎帝国劇場
〈料金〉S席14,000円 A席9,500円 B席5,000円
〈お問い合わせ〉東宝テレザーブ 03-3201-7777(9時半〜17時半)
〈公式ホームページ〉http://www.tohostage.com/elisabeth/

 

【取材・文・撮影/橘涼香】

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