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シアター・ドラマシティ 30 周年記念コンサート 『 Dramatic City “夢” 』開幕!

宝塚歌劇団の様々な公演から、海外との大型プロジェクトなどの革新的公演までを次々と製作し、大阪の文化発信基地としての大きな役割を果たしている、大阪・梅田茶屋町の梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ。

1992年の開場から様々なエンターティメントを世に送り出してきたこの劇場が、今年映えある開場30周年を迎えるのを記念して、同劇場に縁の深い宝塚OGが集い、この劇場から発信さたれ作品の懐かしい楽曲、宝塚定番のナンバー、また新たな挑戦の楽曲を散りばめたスペシャルコンサート、シアター・ドラマシティ30周年記念コンサート『Dramatic City“夢”』が本日9月9日、東京建物Brillia HALLでの東京公演が開幕する(10日まで。9月16日~18日大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで上演)。

それに先立つ9月8日、公開ゲネプロが行われ、2幕40曲超を11名の宝塚OGが歌い踊る中村一徳構成・演出によるコンサートステージが全容を表した。

幕開けは、宝塚歌劇団がシアター・ドラマシティで上演した90作品のポスター映像が、直近の和希そら主演の雪組公演『心中・恋の大和路』から過去へと遡って映し出されてはじまる。あの作品、この作品ともう少しだけゆっくり投影して欲しいと思うほど、懐かしいポスターが怒涛のように流れていったあと、宝塚歌劇団が行ったニューヨーク公演で、はじめは現役トップスターとして、二回目の公演では宝塚OGが現役生を率いるという異例の形でセンターを担った大浦みずきが踊る映像が流れ、この公演に選抜メンバーとして参加し、大浦に次ぐダンス力を高く評価された風花舞がスクリーンの前に飛び出してきて共に踊り出す。このシアター・ドラマシティと宝塚歌劇団の幸福なタッグがはじまった歴史が、一瞬にして蘇る中村一徳の意表をつくオープニングのアイディアに、一気にステージに引き込まれた。

そこからカラフルな衣装で全員が勢ぞろいしてスタートした1幕は、シアター・ドラマシティで宝塚歌劇団が上演した作品から、まず各スターたち自身が主演した作品の主題歌を披露。麻路さきが『ライト&シャドウ』から同名主題歌、稔幸が『聖夜物語』から「クリスマスストーリー」和央ようかが『W-Wing!』の同名主題歌と、いまのようにライブ配信などがまだない時代、シアター・ドラマシティに行かなければ観られなかった作品たちが時を超えて蘇る。歌っているスターたち自身も、大劇場作品の主題歌とは違って、退団後のこうした宝塚OGが集うコンサートでもほぼ歌ったことがなかったという楽曲が、このシアター・ドラマシティ30周年コンサートならではの特別感を盛り上げる。

続いて、風花舞が『銀ちゃんの恋』から「今が幸せ」大鳥れいが『カナリア』から「幸不幸」と、歌詞を聞いていると「本当に宝塚の曲!?しかも娘役の曲!?」と驚くような、リアルな内容を持った楽曲が続き、シアター・ドラマシティでの宝塚公演は、大劇場公演ではできない宝塚の枠を広げるような冒険的作品にもどんどん取り組んできた、という歴史が見えるようだ。再演を重ねた『銀ちゃんの恋』には、北翔海莉がヤス役で、愛月ひかるがジミー役で出演している!という話も飛び出し、その北翔が『風の次郎吉』から「風をきれ、闇を切れ、悪を斬れ」を爽快に。愛月ひかるが『不滅の棘』の「フリーダ」をしっとりと歌い、作品が今にも蘇ってくるよう。

そこからは様々な組み合わせで、シアター・ドラマシティ所縁の名曲が続く。麻路、稔、北翔、愛月と、星組の歴史に連なるメンバーでの『龍星』の「星を継ぐもの」や、互いに宙組にも所縁の深い北翔と愛月での『A/L(アール)』など、中村一徳らしい全員をよく見た目配りがそこかしこに生きていく。比較的新しい作品『ハリウッド・ゴシップ』『マスカレード・ホテル』等々が、羽純るい、夢妃杏瑠、星吹彩翔、彩月つくしのメドレーで歌われる楽しさも膨らんだ。

そして1幕大詰めは、和央がこの作品で宝塚歌劇団現役生として菊田一夫演劇賞を受賞した『BOXMAN』から「Reason Why」を、現役当時のスタイリッシュな男役像に瞬時に帰って披露すれば、稔がサヨナラショーにも使った『Love Insurance』の「風」を深い思いを込めて歌い、麻路が『ライト&シャドウ』の「哀しみはイエスタディ」をダンディにと、それぞれの個性が際立つ。更に全員での『Action!』へと続いて、シアター・ドラマシティ30周年を駆け抜けた1幕の幕が下りた。なんとも濃密な時間だった。

休憩を挟んだ第2幕は、シアター・ドラマシティ開場の旗振り役となった宝塚歌劇団元理事長・小林公平の、2022年が奇しくも十三回忌にあたることから、小林の作詞家としてのペンネーム・公文健作詞の楽曲を中心に、小林が愛した曲にも内容を広げた、各スターのこれぞという楽曲が続いていく。公文健作詞と言えば、この曲がないとはじまらないという代表曲から、なるほどそういう所縁があったのかと思わされる、意外な楽曲もあって興趣が深まる。特に1幕はカラフルだった衣装が、第2幕ではモノトーンに統一されたなかで、楽曲に合わせた衣装替えも多々あり、目に耳に楽しい。

そこからいよいよラストスパートは、一人ひとりが歌ってみたかった曲をチョイスしての色合いもジャンルも異なる曲が趣向をこらして披露される。それをやっちゃいますか!?とびっくりしながら、あなたが大将!と喝采ものの曲もあれば、ミュージカルの大曲中の大曲もあり、OGたちが宝塚を卒業してから、それぞれに獲得してきたキャリアの蓄積が眩しかった。

ラストも納得の楽曲で、シアター・ドラマシティの歩み、宝塚OGたちの学年を超えた絆と変わらぬ宝塚愛が感じられる豊かな時間が過ぎていった。

こうした宝塚OGが集う公演は近年多く作られているが、宝塚大劇場公演以外の楽曲にフォーカスがあてられることは非常に稀で、隠れた名曲がまだまだあることだろう。そういう意味でも今回のシアター・ドラマシティ30周年を寿ぐという楽曲の編纂は非常に貴重で、例えば宝塚バウホール公演でも、同様の企画が成立するのではないか。あの曲をまた聞きたいという夢も広がり、何より宝塚OGたちが、現役時代、卒業後と蓄えてきた力を存分に発揮する場に立ち会えることが嬉しいコンサートになっていて、企画の主眼であるシアター・ドラマシティ公演の配信も決まり、楽しみも夢も広がる時間だった。

愛月ひかる 大鳥れい 和央ようか 麻路さき 稔 幸 風花舞 北翔海莉

初日を前に、キャストを代表して麻路さき、構成・演出の中村一徳からコメントが届いた。

【コメント】
麻路さき
本日はシアター・ドラマシティ 30 周年記念コンサート『Dramatic City“夢”』にお越しくださり、ありがとうございます。
69 期生から 97 期生という幅広い学年層からなる 11 名のメンバー、共通して言えるのは在団中に出演したシアター・ドラマシティ公演ではとても刺激的で楽しく公演した思い出が一杯あるという事です。 ドラマシティの 30 年間に出演したことのある大勢のタカラジェンヌを代表してこのコンサートに参加出来る幸せを胸に、メンバー一丸となり心を込めてお届けしたいと思います。どうかよろしくお願いします。

構成・演出:中村一徳
本日は『Dramatic City“夢”』にお越しくださいましてありがとうございます。宝塚歌劇110周年を目前に控える中、今年は宝塚歌劇ととても縁の深い大阪梅田のシアター・ドラマシティが開場30周年という記念すべき年を迎えることになりました。今ではあらゆる日本の芸術、文化を発信し、日本全国の皆様から親しまれ、愛される劇場となりました。そんな劇場への感謝と、そして何よりこれまで足をお運びくださったお客様、報道関係の皆様へ感謝の気持ちを込めて、宝塚歌劇団卒業生11名が、この偉大なるシアター・ドラマシティの記念コンサートをお届けいたします。30年という歴史を振り返るには限られた時間の中で、学年、組を超え、中には初めて顔を合わせるメンバーもいる出演者達ですが、稽古を重ねるにつれて深まる絆、劇場とお客様への愛がまさに強くなり、様々な思いが駆け巡るコンサートとなりました。シアター・ドラマシティの30周年のお祝いと共に、今でも変わらない卒業生達の愛と夢に溢れるパフォーマンスを最後までお楽しみください。

【公演情報】
シアター・ドラマシティ 30 周年記念コンサート 『Dramatic City “夢”』
構成・演出:中村一徳
出演:麻路さき、稔 幸、和央ようか、風花舞、大鳥れい、北翔海莉、愛月ひかる
羽純るい、夢妃杏瑠、星吹彩翔、彩月つくし
●9/9 ~10◎東京・東京建物 Brillia HALL
〈料金〉S 席 11,500 円、A 席 7,000 円
〈お問い合わせ〉梅田芸術劇場 0570-077-039
●9/16~18◎梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
〈料金〉全席 11,500 円
〈お問い合わせ〉梅田芸術劇場 06-6377-3888
〈公式サイト〉https://www.takarazuka-live-next.co.jp/stage/2022/dramacity30/

【ライブ配信情報】
◆9 月 16 日(金)14:00 公演 ※配信限定、出演者メッセージ映像付き
9 月 16 日(金)18:00 公演 ※アフタートークショー有り
※いずれもアーカイブ配信なし。
〈料金〉配信のみ:4,500 円
パンフレット郵送サービス付き:5,500 円※送料別途必要
※「公演パンフレットの郵送サービス付き」は数量限定販売のため、予定枚数に達し次第、受付終了
◆視聴チケット購入サイト:PIA LIVE STREAM https://w.pia.jp/t/dramacity30/
◆情報掲載ページ:https://www.takarazuka-live-next.co.jp/stage/2022/dramacity30/
◆視聴・チケットに関するお問い合わせ(平日 10:00-18:00)
電話:017-718-3572 / メール:event@linkst.jp

 

【取材・文・撮影/橘涼香】

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