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彩凪翔&タカラヅカ・ライブ・ネクスト始動!『アプローズ』~夢十夜~開幕!

雪組の核となる男役スターとして活躍した彩凪翔主演による、「タカラヅカ・ライブ・ネクスト」第一弾公演The Beginning of TAKARAZUKA LIVE NEXT!! 『アプローズ』~夢十夜~が、東京日本青年館ホールで開幕した(9日まで。のち9月23日~26日まで宝塚バウホールで上演)。

「タカラヅカ・ライブ・ネクスト」は高い技能と豊富な舞台経験を有する宝塚OGたちが、退団した後もそれぞれの特長を活かした活躍の場の提供や、宝塚歌劇OGを起用したショーやコンサート等の企画・プロデュースを行っていくことを主眼として設立された新会社。宝塚歌劇団創立100周年以降の右肩上がりの隆盛を牽引した前歌劇団理事長小川友次社長のもと、活動が展開されている。

今回の公演はその「タカラヅカ・ライブ・ネクスト」旗揚げ公演で、雪組の中核メンバーとして活躍した彩凪翔を主演に迎え、所属アーティストの音花ゆり、貴千碧、透水さらさ、風馬翔、星乃あんり。ゲストにこの春彩凪と共に雪組を卒業した元娘役の笙乃茅桜。歌唱力に秀でた男役として知られた元宙組の星吹彩翔。更にスペシャルゲストとして、元月組トップスターの彩輝なお(日本青年館ホール出演)、元雪組トップスターの水夏希(宝塚バウホール出演)という、この作品が退団後の初主演公演である彩凪翔にゆかりの深い二人の元トップスターが駆けつける豪華な布陣での公演になっている。

【STORY】
19世紀初頭に開場した古風なオペラハウス「アプローズ座」。舞台の幕が下りた終演後、雅なドレスも、大理石の宮殿も、美しく輝いていた月さえもしんしんと眠りについているこの劇場では、ありとあらゆる時間と場所で、舞台に情熱を注ぎ、夢を追い続けた全ての魂が今も自分たちの出番を待っている。

そこにまた一人、この舞台に立つことを夢見る者「翔」(彩凪翔)がやってくる。舞台への情熱ひとつを胸に抱え、ここまで旅してきた翔の想いに応えるように、劇場の眠っていた時間が動き出し、夢追い人たちの魂がそこここに姿を現す。時を越えて舞台に息づく魂たちに叱咤激励され、憧れだけではここに立てないと悟った翔は努力を重ねていく。そんな翔がやがてたどり着く場所とは……。

宝塚歌劇団が日本に根付いた女性だけで演じ、歌い、踊る「歌劇文化」の牽引者として100年を超える歴史を築いてきた中、折々に交わされてきたのが、「歌劇」のなかで発展し、進化を続けている「男役芸」「娘役芸」が宝塚退団と同時に消えていくことを惜しむ声だった。確かに、生徒と呼ばれる彼女たちは、中学卒業から高校卒業までという若さからずっと、宝塚歌劇の男役、娘役として鍛錬を続けている訳で、そこで培った技術や魅力が、いざ退団した途端に全く白紙になるのはあまりにもったいない話だった。だがその一方で、舞台だけでなく客席もある種の共犯関係になって夢の世界、虚構の美を追求し続けている宝塚歌劇団には、その世界観自体が持っているマジックがあって、その魔法の園で重用されてきたものと、一歩外に踏み出した時に求められるものが明らかに異なっていくのも事実だった。「宝塚っぽい」という言葉はそこでは決して褒め言葉ではなかったし、この世界を愛している人々の口からさえも「宝塚と同じことをするなら退団しなければよかったのに」という嘆息が聞かれることも珍しくはなかった。

だが、本当にことはそんなに明快なものだろうか。実際には、タカラジェンヌである前に、彼女たちにはひとりの女性としてのそれぞれの人生がある。しかも、毎年基本的には40人の初舞台生を迎える宝塚歌劇団が、プロ野球の各球団の支配下登録選手ほどの厳密さではないにしろ、抱えられる人数に限りがあるのは当然のことで、「退団しない」という道を易々と誰でもが選べる訳ではないのも自明の理だ。そしてほとんどのタカラジェンヌにとっては、退団後の「宝塚OG」としての人生の方が遥かに長い。その人生の選択肢のなかで、尚舞台に夢をかけ、培ってきたものを発揮しながら、退団しなければできないものにも挑戦していける、そんなライブパフォーマンスとの関わりを持つ道が何故ないのだろう。

「タカラヅカ・ライブ・ネクスト」はそうした長きに渡る問いかけに応えようとした、おそらく初めての組織だ。宝塚OGに充実した2ndステージ、プロとしての仕事の場を提供しつつ、夢の国の一員とはまた違った、個人としてのチャレンジも続けていける場所へ。この理念はあるようで全くなく、古いようでとても新しいもので、だからこそ道程は険しいかも知れないが、その新しい一歩には大きな期待を寄せずにはいられない。

そんな、これまでも繰り返されてきた宝塚OGが集う華やかなイベントとは一線を画す、今回の旗揚げ公演『アプローズ』~夢十夜~の主演を担った彩凪翔に、どれほど大きなプレッシャーがあったかは想像に難くない。また、作・演出の三木章雄のクリエイションにも、非常にスムーズに流れる部分と、探究の余地がある部分とが含まれていて、この作品自体の全てがひと言で言えばThe Beginning of TAKARAZUKA LIVE NEXTなのだと思わせられる。けれどもだからこそここには大きな可能性の萌芽があるし、作品自体がメタシアターであり、「翔」という役柄も宝塚を巣立って新たに歩みはじめる彩凪翔その人の、これまでとこれからが詰まった「メタ」であることに興趣が募った。理知的で時代の先を読む鋭い目を持った人物を演じる機会が多かった彩凪のなかにある少年性。若手男役として注目されはじめた頃の彼女の舞台でまず印象に残った整ったビジュアルと、何よりもキラキラした瞳がこの再び巡り来た等身大の役どころで際立ったのが嬉しい。これはやはり彼女の美点を知り尽くしたスタッフ陣が用意したステージだからこそ強く発揮されたもので、ここから始まる彩凪翔の第二章にも期待が高まった。

同じことが「タカラヅカ・ライブ・ネクスト」の所属アーティストの面々にも言えて、音花ゆりのゴージャスで豊かな歌声。貴千碧のダンスリーダーぶり。透水さらさの歌唱力のなかにある現代性。 風馬翔のキャラクター性豊かなダンスと芝居。ヒロイン経験豊富な星乃あんりの地に足の着いた愛らしさ。と、宝塚時代から各自が重用されてきた個性の上に、新しい経験が加味されていることがきちんと伝わるよう、それぞれに大きな働き場が用意されているのが旗揚げ公演ならでは。ゲスト参加の笙乃茅桜のダンサーであると同時にどこかコケティッシュな味わい。「コーラスの宙組」を支えたシンガーとしてだけでなく、味わい深い演技者でもあった星吹彩翔が、まるで同じ仲間としか感じられないほど座組に馴染むのも、宝塚OG同士だけが持つ強みだ。

そして、スターを夢見て劇場に訪れた翔と劇場の魂たちが「幸福の王子」などの劇中劇を通じて成長していく物語を紡いだあと、ガラリと空気を一変させてスペシャルゲストの彩輝なおが登場してくるのも、ノンストップの舞台に力強いメリハリをつけた。一瞬にして舞台の色を変える彩輝のトップスター経験者としての輝きはやはり別格の趣だし、宝塚受験生時代にその彩輝に憧れていたという彩凪が、瞬時に可愛い下級生の顔になるのも組み合わせの粋。日本青年館ホールゆかりの作品主題歌を持ってきた彩輝のセンスも効いていて、なんとも懐かしく、また温かいものが舞台を包んでいた。彩凪が新人時代に雪組のトップスターだった水夏希がスペシャルゲストとなる宝塚バウホール公演では、いったいどんな邂逅が待っていることだろう。この舞台のライブ配信も決定し、宝塚ファンのツボをついてくる企画に早くも加速がかかってきたのは喜ばしい。主演の彩凪はもちろんのこと、ここからはじまる「タカラヅカ・ライブ・ネクスト」の歴史が豊かなものになるように注目していきたい、そう改めて思わせてくれるステージだった。

【公演情報】
The Beginning of TAKARAZUKA LIVE NEXT!! 『アプローズ』~夢十夜~
作・演出◇三木章雄
出演◇彩凪翔
音花ゆり 貴千碧 透水さらさ 風馬翔 星乃あんり
(Guest)
笙乃茅桜 星吹彩翔
(Special Guest)
彩輝なお(日本青年館ホール公演)
水夏希(宝塚バウホール公演)
●9/8~9◎日本青年館ホール
〈お問い合わせ〉梅田芸術劇場 0570-077-039(10:00~18:00)
〈料金〉S席 10,000円 A席 6,000円
●9/23~26◎宝塚バウホール
〈料金〉全席 9,000円
〈お問い合わせ〉梅田芸術劇場 06-6377-3888(10:00~18:00)
〈公演公式サイト〉https://www.takarazuka-live-next.co.jp/stage/2021/applause

【ライブ配信情報】
『アプローズ』~夢十夜~ 宝塚バウホール公演
●9月25日(土)16:00(スペシャルゲスト:水夏希)
※開演前に配信視聴者限定彩凪翔からのメッセージ&終演後星乃あんりMCによる彩凪、音花ゆり、透水さらさのアフタートークショーまで配信。
〈配信チケット料金〉
・ライブ配信視聴券:4,000円(税込)⇒[Go Toイベント]適用で3,200円
・公演パンフレット郵送サービス付きライブ配信視聴券:5,500円(税込)⇒[Go Toイベント]適用で4,400円(限定枚数)
※アーカイブ配信なし。
〈チケット発売日〉2021年9月9日(木)10:00~開演30分後まで購入可能
〈視聴・購入方法〉チケットぴあ https://t.pia.jp/pia/events/pialivestream-userguide

【取材・文・撮影/橘涼香】

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