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新コンテンツ!《たからづか♪あいうえお》その1&Specialその2『アクセサリー」&『青い星の上で』

新型コロナウィルス感染予防で公演が行われない中、演劇キック「宝塚ジャーナル」では、宝塚を愛する方々への娯楽の一端になれば、との思いで新コンテンツを立ち上げています。《橘涼香の名作レビュー館》《TAKARAZUKA NEWS PICKUP!》に続いてお届けする、連載企画第三弾は《たからづか♪あいうえお》です。これは週1回土曜日更新の中の、月に1回~2回程度で、宝塚に関するあらゆるワード、スター名、キャスト名、スタッフ名、作品タイトル、楽曲タイトル、更に関わりの深い事柄や、ちょっとした小物まで、あらゆるジャンルから「あいうえお」順に、旬の話題や、その場のインスピレーションで思い付いたワードを手掛かりに深堀りしていこう!という企画です。

その第1回「あ」では、宝塚歌劇の華麗なステージを盛り上げるのに欠かせない「アクセサリー」の魅力を取り上げていきます。

宝塚の舞台を華やかに彩るだけでなく役づくりの一環ともなるアクセサリーの数々!

宝塚歌劇の舞台の華やかさの象徴と言えば、トップスターが作品の最後に大階段を降りてくる時に背負う大きな羽根、そのフィナーレで出演者全員が持つシャンシャンと呼ばれる持ち物と共に、早替わりに継ぐ早替わりでスターたちが纏う豪華絢爛な衣装が挙げられると思います。特にここ最近では、宝塚大劇場に併設する「宝塚歌劇の殿堂」はもちろん、東京宝塚劇場前に位置する商業施設「日比谷シャンテ」でも頻繁に衣装展が開催されていて、キラキラと眩い衣装の生地、レース、刺繍、スパンコール、光物の装飾など、一つひとつのデザインがどれほど緻密に作り込まれているかを、間近で見られる機会も増えました。スターたち本人はもちろんですが、これらこだわりぬいた衣装の数々が、宝塚歌劇という夢の世界を構築している重要なピースであることがよくわかります。

その中で更に、スターたち個々の想いが伝わってくるものに、アクセサリーがあります。昔から特に娘役さんは、衣装に合わせたアクセサリー作りが舞台に立つ為の重要な仕事のひとつで、公演初日が近づくとほとんど徹夜になる…という話をよく聞いてきたものでした。時によっては衣装のハギレなどがもらえる場合もあるとのことで、衣装デザイナーさんが衣装と共にデザインしているのでは?と思えるような、場面にピッタリのヘッドドレスやイヤリング、ネックレス、ブレスレットなどが十数秒しかない早替わりの間にも巧みに付け替えられていて、美しくあることを追求し続けるタカラジェンヌの心意気を感じることもしばしばです。

わけてもお芝居では、アクセサリーは役柄を表す重要な手がかりにもなっていて、いくら宝塚でも、更にはトップ娘役でも、必ずしもキラキラしたアクセサリーばかりが使われている訳ではありません。あの大舞台で遠目にもちゃんと見えて、しかも役柄のキャラクターが身に着けていることが不自然ではないアクセサリー、という苦心のあとが伺えるものがとても多いのです。ビーズ細工などがお好きな方にはお馴染みでしょうが、色味のないクリスタルのスワロフスキー素材ひとつをとっても、白い光のものや、虹色に光るオーロラ加工のもの、メタリック加工など種類があり、ダイヤモンドカット、プリンセスカット、しずく型等々形も様々で、可能性は無限大なだけにアクセサリーの数々はスターのセンスの見せ所。特に群舞などでは、同じ衣装でもアクセサリーがかぶらないように、隣の人と打ち合わせてデザインを変えている、という話もよく聞かれ、あぁあの人のアクセサリーが可愛い…と意識しはじめると、もう目がいくつあっても足りない!という気分になります。

一方で強烈に思い出されるのは、1993年新装なった宝塚大劇場のこけら落とし公演だった、VISAシアター グランド・ショー『PARFUM DE PARIS(パルファン ド パリ)』(作・演出 小原弘稔)で、祝賀作品だったこともあり、衣装の全てを「色の魔術師」と呼ばれた世界的デザイナー高田賢三が担当。髪色や、メイク、ヘッドドレスまでがKENZOワールドで貫かれていた為、高田氏らしい色彩の氾濫と共に、統一美が前面に押し出された公演になっていました。この公演がきっかけとなって、宝塚メイクの定番だったブルーのアイシャドウが役柄によっては使われなくなり、次第にメイクの色味もナチュラルになっていった、あとから思うと重要な分岐点になった公演でもあるのですが、16人なら16人全員が同じヘッドドレスをつけた集団美の美しさに十分理があるのは認めつつも、それぞれのスターが個々工夫をこらしたアクセサリーで舞台の美を作っている従来の形も、やっぱりいいなとも思ったものです。自分に何が似合い、何が似合わないかを基本に、このキャラクターなら、この場面ならとタカラジェンヌひとり一人が創意工夫をしている姿から、この舞台を愛している人の心が集まって、「宝塚歌劇」が作られていることが伝わるのは、やはり素敵だと思います。

そんな中で、かつての花組トップ娘役桜乃彩音は、退団記念に出した写真集でアクセサリー作りについて語っていて、退団公演が2010年『虞美人─新たなる伝説─』(脚本・演出 木村信司)だったこともあり、素材探しとイメージ作りの為に海外にまで行ったことや、アクセサリーを身に着けた時に衣装の布地を傷めないように、裏にすべてフェルトを貼るといった舞台人ならではの気遣いも披露していました。特に印象的だったのは、求めていた素材にピッタリだと思い、同じタイプのネックレスを大量に購入したけれども、それ自体が手作り感あふれるアクセサリーだったことから、バラして素材として使うことに心が痛んだというエピソードで、自分が追求する美の世界だけでなく、作った人への敬意も感じられて胸打たれたものです。

同じ花組つながりでは、近々のトップ娘役だった花乃まりあが、今年2020年3月に立った博品館劇場『グッバイ・チャーリー』の舞台で、衣装としては主人公チャーリーの葬儀シーンでの喪服以外は、全編を通して白いブラウスに赤のフレアースカートの組み合わせの衣装を着ていたのに、何回も着替えているような錯覚に陥ったことが思い出されます。よくよく考えたら、パールがパッと目に入るカチューシャをあしらったアップスタイル、赤いリボンで束ねたポニーテール、黒のカチューシャにゆるくカールさせたダウンスタイルと、登場の度にヘアスタイルをチェンジさせることで、同じ衣装が全く違う印象を与える効果になっていたのです。この辺りのこだわりはさすがだなぁと思いましたし、娘役OGさんたちが自分でデザインした手作りアクセサリーのお店や、アクセサリー教室を開催して人気を呼んでいるのも、宝塚で身につけたひとつの芸が生きていく嬉しさを感じます。

もちろん男役さんも蝶ネクタイにあしらうブローチや、カフスボタン、また片耳シングルが定番のイヤーカフなど、年々歳々豪華になるアクセサリーが目を引きます。光物の中に敢えてマットな石を入れることでカッコ良さが出たり、シャープなカッティングにすることで本来の顔の形の印象まで変わるので、侮れないところなのでしょう。特に男性がごく普通のカジュアルなスタイルにもアクセサリーを合わせることが定番になった現代では、男役のアクセサリーもどんどん豊富になり幅は広がるばかり。逆に、2000年のミレニアムに月組で上演されたミュージカル・ファンタジー『LUNA』─月の伝言─』(作・演出  小池修一郎)で、実業家役だった紫吹淳が親指にリングをしているのを、ずいぶん変わっているな…と当時は思ったものでしたが、今は別段珍しくない世の中になっているのも面白いです。

こんな風にこだわりと思い入れの詰まったアクセサリーが、あの美しい舞台を彩り、役づくりの一助にもなっているのが宝塚で、その美学が詰まったアクセサリーにも是非注目していただくと、また新しい観る喜びが増えるに違いありません。特にDVDや専門チャンネルの映像で舞台を楽しむ今だからこそ、そうした細部をクローズアップしてみてはいかがでしょうか。

と、《たからづか♪あいうえお》その1「アクセサリー」をお届けしましたが、この記事を書いている5月29日、あまりにもタイムリーでびっくりするしかなかったもうひとつの「あ」の話題が飛び込んできましたので、Specialとして《たからづか♪あいうえお》その2をお伝えします。

元トップスター19人が紡ぐリモート歌唱「青い星の上で」公開! 

2020年5月29日、宝塚の元トップスターとトップ娘役、総勢19人によるリモート歌唱「青い星の上で」がYouTubeで公開されました。

この楽曲は2001年宝塚大劇場でのみ上演されたグランド・ショー『夢は世界を翔けめぐる─THE WORLD HERITAGE 2001─』(作・演出 草野旦)で使用された、公文健(元宝塚歌劇団理事長小林公平のペンネーム)作詞、三木たかし作曲による宝塚歌劇のオリジナル楽曲。この年『ベルサイユのばら2001』で退団した星組トップスター稔幸が歌い、同時退団のトップ娘役星奈優里が踊る場面で用いられたこともあって「笑顔と涙を胸に抱いて歩いていく見知らぬ明日に何が待っていても、この想いは消せはしない」といった趣旨の想いが歌われる、世界を覆う新型コロナ禍の只中にある今聞くと、更に特別な感懐が広がる1曲です。

そんなリモート歌唱を呼び掛けたのは、元星組トップスター柚希礼音。宝塚歌劇が上演を休止している今、「いつも私たちのそばにいて支えてくださっている、舞台を楽しみに待っていてくださる方々に感謝と笑顔を、歌を通して届けたい…」との提案に賛同した、元男役トップスター壮一帆、北翔海莉、凰稀かなめ、早霧せいな、龍真咲、朝夏まなと、紅ゆずる、明日海りお。元トップ娘役、夢咲ねね、愛加あゆ、蘭乃はな、仙名彩世、実咲凜音、妃海風、愛希れいか、咲妃みゆ、綺咲愛里、花乃まりあが集結。リモート会議で選ばれた「青い星の上で」に「また笑顔で会える日を楽しみに、今はそれぞれの場所で元気でいましょう」との想いを込めた歌唱が披露されました。

この楽曲と歌声の力と共に、何より素晴らしいのはそれぞれの場所からのリモート歌唱が、まるで一堂に会しているとしか思えないほど美しくリレーされていくことです。特に壮一帆&愛加あゆをはじめとした、元トップコンビがそれぞれの想いを互いに受け渡していく場面では、各コンビらしさが現役時代のままに立ち現われ、自然に目頭が熱くなります。凰稀かなめと朝夏まなと二代の相手役を務めた実咲凜音の抜群のスイッチや、明日海りおが、蘭乃はな、花乃まりあ、仙名彩世、歴代の相手役と手をつなぐ場面も緻密に作られていて、何度リピートしてもその度に発見があるほど。最後の最後のシーンまで目が離せません。

ここには、アレンジとピアノ演奏を担当した音楽プロデューサーの本間昭光、振付の大村俊介(SHUN)の力ももちろんですが、何よりも同じ「宝塚」という世界で育った人同士だけが共有できる空気感、愛情、底力があふれていて、今ひと時の眠りについている宝塚歌劇が、再び輝く舞台の幕を開けてくれる日がきっと近いと信じられる、大きなエールを感じられるものでした。この「#Our song for you ─また会える日まで─」と題された動画にもらった元気を胸に、希望を持って一日一日を進んでいきたいですね。19人の元タカラジェンヌの皆様、素晴らしい動画をありがとうございました!

《Youtube動画公開》
チャンネル名:#Our song for you ―また会える日まで―
URL:https://www.youtube.com/channel/UCIb4cC6eoKO8c3YZAuMyP4w
「青い星の上で」
作詞◇公文健
作曲◇三木たかし
出演◇壮一帆 北翔海莉 柚希礼音 凰稀かなめ 早霧せいな 龍真咲 朝夏まなと 紅ゆずる 明日海りお 夢咲ねね 愛加あゆ 蘭乃はな 仙名彩世 実咲凜音 妃海風 愛希れいか 咲妃みゆ 綺咲愛里 花乃まりあ
音楽アレンジメント◇本間昭光(bluesofa)
演奏◇本間昭光(ピアノ)NAOTO(ヴァイオリン)中村タイチ(ギター)
振付◇大村俊介(SHUN)
発起人◇柚希礼音コメント掲載
https://artist.amuse.co.jp/artist/yuzuki_reon/

 

【文/橘涼香】

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