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舞台『まほろば』が代役で開幕。休演の生越千晴は9日から復帰予定。

東京芸術劇場で5日に初日を迎える予定だった舞台『まほろば』が、ユリア役の生越千晴の体調不良で、初日となる5日夜の公演と6日の昼夜公演が中止になった。代役の種川遼により7日の公演から開幕。休演の生越千晴は9日から復帰できる予定。

この舞台は蓬莱竜太の作で、08年に初演され第53回岸田國士戯曲賞を受賞、12年にも再演されている。日本の現代演劇の名作戯曲といわれるこの作品を、今回は劇団チョコレートケーキの演出家・日澤雄介により、新たなアプローチで立ち上げた。
舞台となるのは長崎。高橋惠子演じる母・ヒロコを中心に、新旧5世代にわたる「女性の在り方」に焦点を当て、旧世代の象徴的な存在ヒロコの心象が物語を通して徐々に変化し、子供たちの生き方を受け入れ、また自分も変わろうとする。そんな“女性のたくましさ”を描き出す作品だ。

【ストーリー】

とある田舎町、祭囃子が聞こえる中、宴会の準備をする母・ヒロコ(高橋惠子)。長女・ミドリ(早霧せいな)は東京に出て行って、仕事を理由に結婚をせず、次女・キョウコ(中村ゆり)は父親不明の娘・ユリア(生越千晴)を出産し、今もこの家に住み着いている。かつて地元の名家として知られた藤木家は男の跡取りもなく、ヒロコは娘たちに苛立っていた。 そんなある日ミドリが突然帰ってくる。さらにユリアまでもが前触れもなく現れる。祖母・タマエ(三田和代)、見知らぬ近所の子供・マオ(安生悠璃菜・八代田悠花/Wキャスト)も加わり、女たちの赤裸々な会話が進む中、ミドリから衝撃的な告白が───

いかにも地方の旧家という重厚な舞台美術の中、祖母、母、娘、孫と4世代の女たちが登場、この「藤木家」を巡って、お互いの立場や生き方をぶつけ合う。「妊娠」「家」「血脈」などに関わる生々しい言葉が、あっからかんとあけすけに、だが切実に飛び交って、そのぶつかり合う会話の中で、生きることの重さと繋いでいく命への愛おしさが迫ってくる作品だ。

この公演の初日を前に高橋惠子、早霧せいな、日澤雄介が会見、それぞれ意気込みを語った。
(※ 公演中止前の会見なので、中止については触れていません)

日澤雄介 高橋惠子 早霧せいな

──まず日澤さんから一言
日澤 今回名作と言われる『まほろば』を演出させていただけて、たいへん光栄に思っております。
──蓬莱さんの言葉をどう演出しようと?
日澤 まず新演出というので、ヒロコさんを真ん中におきまして、色々なことが起きますけど、ヒロコさんの目線と家というものを象徴的に使いまして、家にしがみついている、家にとらわれている、家というか旧い何かにとらわれていて、でも必死に生きている、そこのところを色濃く出していければと。そして三田さん演じるお祖母ちゃんから高橋さん演じるお母さん、そして早霧さんへと、時代を超えてバトンが渡っていく、そこを大切に演出していきました。
──高橋さんと早霧さんを起用の理由は?
日澤 新国立劇場での初演が名作という評判でしたから、今回はまったく新しいものをということで、作品のイメージと逆というか、ぶつかるキャスティングを考えました。高橋さんの印象は上品で気品ある女性なのですが、ヒロコは逆なので、稽古場でも聞いたことのない高橋さんの声が聞けて、非常に面白かったですね。早霧さんはストレートプレイはこれが初めてだそうで、宝塚でトップだった方なので華やかなのですが、今回のミドリはがさつでだらしなくてというところが、本当に真逆で(笑)。早霧さんはコメディエンヌなので、その部分がどんどん出てくるので、期待して観ていただきたいです。

──ストレートプレイはやはり違いますか?
早霧 そうですね。音楽に助けられたり歌詞や振付に助けられてずっとやっていたんだなと改めて実感しました。だからこそ台詞劇に挑戦できているという実感もあって、稽古場で高橋さんはじめ家族の皆さんの雰囲気の中でお芝居できているのが楽しいです。
──高橋さんは今回主役ですが。
高橋 いえ、これは主役はいないというか、1人1人がドラマがあってちゃんと描かれているので、主役が誰というのではないと、稽古に入ってすごく感じました。だって家族ってふだん誰が主役ってないでしょ? それと同じように家族それぞれの立場がちゃんと描かれているので、それが面白いんです。

──役と作品についてはいかがですか?
高橋 日澤さんがおっしゃったように、今までやったことのない役なので、新しい面をお客様に観ていただけたら。そしてやっぱり、この『まほろば』という作品の持っている力というか面白さがあるんです。笑わせたりホロッとさせたり、そういうものがお客様に伝わって、この平成最後の月にこういう作品で、日本人が大事にしていきたいもの、ああ、こういうことが大事だなと思うようなことを伝えられたらと。それに早霧さんのあんな姿が観られるとは。
早霧 いえいえ!そのお言葉返します!(笑)
高橋 (笑)。やっぱり大先輩の三田和代さんの演技を目の当たりにして勉強になったり、中村ゆりさんのキョウコや子役さんも、みんなすごく生き生きとその場で輝いているので、そういうところを観ていただきたいと思います。


──早霧さんはいかがですか?
早霧 本当は初ストレートプレイというのは内緒にしておきたいんですけど、お客様には関係ないので。作品に集中してご覧いただきたいんですけど。
高橋 ここで言っちゃったから、もうダメよ(笑)。
早霧 (笑)それくらい自分の中で壁を作らずにこの作品の中で生き抜けたらいいなと思っていて。正解はないというか日々感じることは違うと思いますし。それに日澤さんもおっしゃっていたように、高橋さんも三田さんも、中村ゆりちゃんも土台というか経歴が全員違う、そういうみんなが集まったことが私にはスペシャルな経験という気がして、こういう経験で初ストレートプレイを踏ませていただいて、本当に有り難いなと。1回1回、一瞬一瞬で、勉強させていただいている舞台です。家族に色々事件が起きるんですが。
高橋 まあ次から次へと起きるのよね。
早霧 (笑)そこから温かいものがお客様にじんわり伝わったらいいなと。あと長崎県出身者としては長崎県が舞台で、方言も出てきますから、そこは誇りを持って(笑)。こういうお芝居に出られてよかったなと。

──今月で元号も変わりますが、令和への抱負は?
高橋 まずはこの『まほろば』でしっかりと。今、自分に与えられたものをやりきって、その先にまた新しいものが見えてくるのだろうなと思っています。まずはこの『まほろば』を大事に、良い作品でなかなか出会えないと思っていますので。
早霧 誰一人逃げないキャラクターたちなんです。自分の言葉で立ち向かっていく集まりというか家族の話なので、私もそこから何かをいただきたいなと。
高橋 言いたいことを言い合えるんですよね。こんなにズケズケ言っても仲良くいられる家族というものの温かさというか。『まほろば』って素晴らしい場所という意味もあるらしいですが、へんに気を遣いすぎたり、遠慮しすぎたりしないで、言いたいことを言って、でもそれでもOKという場所っていいなあって。

──では稽古場も温かい場所だったんですね。
高橋 そうですね!
早霧 最初はみんな座っている位置がバラバラだったんですけど、やっぱり寂しいというので、制作さんにお願いして一緒のところに座らせてもらうくらいで、稽古場からどういうムードが自然に。
高橋 生まれましたね。そして女性ばかりで、日澤さんはたいへんだったかなと(笑)。
日澤 華やかな稽古場でした(笑)。
高橋 強い女性ばかりだとおっしゃってましたね。
早霧 ハハハ(笑)。
日澤 強かったですよ!言いたいことをどんどん言うという(笑)。それで良い稽古場になったので、すごく有り難かったんですけどね。みんなが演出家みたいな。
高橋 交通整理していただきました(笑)。これは無し、これは生かしましょうと。みんな積極的に、とくに早霧さんなんか色々なアイデアを出して、すごいなと思いました。
早霧 いえいえ。
高橋 ストレートプレイ初めてなのにね(笑)。

──改めて見どころを。

早霧 全部です!
高橋 2時間休憩なしなので、全部見逃さないでください。
日澤 とにかく色々なことが起きますから、考える暇がないくらい起きますから。それに振り回されながらも、必死で生きている女性のおかしみだったり温かみだったり、そういうものを観ていただければ。

〈公演情報〉

『まほろば』

作◇蓬莱竜太

演出◇日澤雄介(劇団チョコレートケーキ)

出演◇高橋惠子 早霧せいな 中村ゆり 生越千晴 安生悠璃菜・八代田悠花(Wキャスト) 三田和代

●4/7~21◎東京芸術劇場シアターイースト

●4/23・24◎梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

〈料金〉東京/6,800円  大阪/7,500円 (全席指定・税込) 

〈お問い合わせ〉梅田芸術劇場[東京]0570-077-039  [大阪]06-6377-3888

〈公式サイト〉http://www.umegei.com/mahoroba/

〈公式 twitter〉@mahoroba_2019

 

【取材・文/榊原和子 撮影/友澤綾乃】

 

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