新国立劇場演劇研修所 試演会『燃ゆる暗闇にて』間もなく開幕!
新国立劇場演劇研修所の 2020 年入所の第 16 期生は、 8 月の朗読劇『ひめゆり』をへて、10 月18 日から開幕する試演会『燃ゆる暗闇にて』に臨む。
本作は、1949 年初演の『ある階段の物語』で新しいスペイン演劇の幕開けとなるデビューを飾ったアントニオ・ブエロ・バリェホの戯曲で、翌 50 年に上演され、劇作家としての地位を 確立した秀作。20 世紀半ばのフランコ政権の圧政に反発する寓話としても捉えられ、近現代スペイン演劇史の中で重要な作品のひとつとして位置づけられている。
舞台は、ある盲学校。そこでは、杖を持たずに勉学やスポーツに励むという校長夫妻の教育方針のもと、 生徒たちは幸せで穏やかな学校生活を送っていた。 そこに、白杖を持って歩く、転校生イグナシオがやってくる。彼は目が不自由なことに絶望し、目が 見えることへの強烈な憧れを持っていた。 この学校に対する彼の反逆的な態度は、周りの生徒たちにも影響を及ぼし、学園内の人間関係も変化していく……。
自由がなく抑圧された時代に書かれた本作は、無力感や敗北感にまみれた現状から抜け出そうと足掻く者と、現状の幸せを盲目的に受け入れている人々が対照的に描かれ、当時のスペイン情勢と無批判な市民たちへのバリェホの痛烈な批判が込められている。 盲目や苦悩の暗闇と可能性や希望の光の交差を描くことによって人間の普遍的な姿に深く斬り込んだこの作品を、2017 年第 11 期生の試演会にて『ある階段の物語』を手がけた田中麻衣子の演出で贈る。
【ものがたり】
守られた空間内で、杖を使わずに自由にふるまう教育方針の盲学校に、転校生イグナシオがやって くる。彼は目が見えないことを生徒たちに突きつけ、優等生カルロスと対立する。その影響は他の 生徒たちにも広がり、恋人同士のカルロスとホアナの関係にも変化が……。
《ダイアログ・イン・ザ・ダークでの事前研修》
稽古開始の前に、第16期生は「ダイアログ・イン・ザ・ダ ーク」を訪問した。
こちらでは、純度 100%の暗闇の中を、視覚障がいのあるインストラクターに導かれながら白杖を片手に 90分間探検。人間の五感の約90%を占めている視覚が閉ざされた中、芝生、砂利道、坂道、電車、民家、橋、公園など、移り変わる環境を触覚や聴覚、臭覚を頼りに進んでいく。
研修生たちは、最初は恐る恐る歩いていたが、徐々に不思議と暗闇の世界の自由さ、寛容さ、暖かさを楽しむようになっていた。
白杖を頼りに道を進んでいく緊張感や不安、グループ内で声をかけあい互いの居場所を知ることで得ら れる安心感、匂いや手足の裏の感覚で周囲の様子を把握した時の喜びなど、90 分間のすべてが濃密な体験となった。
【公演情報】
新国立劇場演劇研修所 第16期生試演会『燃ゆる暗闇にて』
作:アントニオ・ブエロ・バリェホ
翻訳:佐竹謙一
演出:田中麻衣子
出演:新国立劇場演劇研修所 第 16 期生
伊海実紗 越後静月 岸朱紗 笹原翔太 都築亮介 藤原弥生 松尾諒 宮津侑生 安森尚 米山千陽
林田航平(第 5 期修了) 坂川慶成(第 8 期修了) 神野幹暁(第 15 期修了)
●10/18~23◎新国立劇場小劇場
〈料金〉A 席3,300 円 B 席2,750 円 Z 席(当日券)1,650 円 ジュニア席(小~中学生)・学生席1,000 円(全席指定・税込・未就学児童入場不可)
※Z 席・ジュニア席(小~中学生)・学生席など詳細はHPにて
〈チケット問い合わせ〉新国立劇場ボックスオフィス 03-5352-9999 (10:00~18:00)
新国立劇場 Web ボックスオフィス http://pia.jp/nntt/
〈公式サイト〉https://www.nntt.jac.go.jp/play/nntdramastudio-the-burning-darkness/